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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆

839UNDERDOGS 第二十五話②:2009/05/23(土) 23:23:54 ID:AvRlB5jM
「クロノ!」

ユーノの悲鳴が遠くから聞こえて、クロノは自分が酷く冷静でいることに気がついた。もうすぐはやて達と同じ場所に逝くというのに、
死が訪れる瞬間を観察する余裕すらある。まるで泥の中にいるかのように、世界の動きがゆっくりだ。

《エイミィ………フェイト…………》

逃れようのない死の運命を前にして、クロノの脳裏に大切な家族の笑顔が思い浮かんだ。
最早、これまでなのか。そんな後悔すら胸をよぎる。
その時、眩い緑の輝きが、襲いかかるガジェットを焼き払った。

「提督、伏せてください」

背後から飛び出たディードが、クロノの体を引きずり倒して被害を免れたガジェットのコアに強烈な蹴りを叩き込む。
そして、すぐさまクロノを連れて大きく後退、前線指揮官であるギャレットの名を呼ぶ。

「ギャレット」

「はっ!? じ、実弾デバイス隊、撃てぇっ!」

ギャレットの号令で鉛玉の雨が降り注ぎ、接近していたガジェットの装甲に蜂の巣模様を描いていく。
無論、魔法のように一撃必殺とはいかないが、弾幕を張ったことでガジェットを足止めすることはできる。

「すまない、オットー、ディード。助かった」

「お気になさらずに」

「みんな、これを。ありったけ持ってきた」

実弾デバイス隊の側に着地したオットーが、ライディングボードで牽引してきたケースを開錠する。
そこには爆弾やミサイルなどの質量兵器こそないものの、大小様々な実弾デバイスとそれに用いる弾薬が詰められていた。
どうやら、クラウディアに備蓄されていたものを全て持参したようだ。

「ユーノ、魔法は?」

「ダメだ、盾もバインドも作れない。バリアジャケットを維持するのが精一杯だ。君達は?」

「…………ダメです、回復は十分とは言えない。レイストームは撃てて後2発、
ディードの腕も、くっついているだけで使いものにならない」

魔法は封じられ、戦闘機人である2人も消耗が激しい。
実弾デバイスがあるとはいえ、それだけでスカリエッティがいると思われるラボまで進撃するのは難しいだろう。
一度撤退し、態勢を立て直すべきかともクロノは考えた。だが、この機を逃せばスカリエッティはゆりかごを捨て、
どこか別の次元世界に逃亡するかもしれない。敵側についていたナンバーズが全て倒された今が、
彼を捕縛する最大のチャンスなのだ。
打開策が浮かばぬまま、ただ弾薬だけが無意味に消費されていく。
その時、クロノの懐の通信機が受信を告げた。

『提督、聞こえますか?』

「グリフィスか?」

『まずいことになりました。ゆりかごがミッドの重力に引きずられています』

「何だって?」

『事実です。僕達は派手にやりすぎたのかもしれません。今のゆりかごに、ミッドの重力から逃れる術は…………』

「駆動炉を破壊したことが裏目に出たか。グリフィス、地上への被害は?」

『待ってください、今、ルキノが概算を………えっ、そんな…………』

通信機の向こうから息を呑む音が聞こえ、場違いな静寂が訪れる。

「グリフィス? グリフィスどうした?」

『クラナガンが…………』

「なに?」

『ゆりかごの落下予想地点は、首都クラナガンです』

「なっ……………」

『事実です。バリアが弱体化しているので、大部分は大気圏の摩擦熱で燃え尽きますが、
残った部分が首都を直撃…………クラナガンは、この世から消滅します』

ゆりかごがクラナガンに堕ちる。それは文字通り悪夢のような光景だ。そこにいる誰もが、性質の悪い冗談であることを望んでいた。
だが、グリフィスはこんな時に冗談を口にするような人物ではない。ならばそれは、嘘偽りのない事実なのだろう。




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