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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆

817伊達眼鏡と狙撃銃5話 9/13 ◆vyCuygcBYc:2009/05/22(金) 01:09:32 ID:IN5TLEBM
 近頃のクアットロとディエチの不和もあり、空気が悪くなりがちだったソープ・ナンバーズの控え室。
 しかし、その日は以前のような和気藹々とした団欒に包まれていた。

「うわっ、お〜いしぃ〜、このクッキー、クア姉が買ってきてくれたのっスか?」
「ええ。最近行き着けのお菓子屋さんのお気に入りなの。今度はシュークリームも買ってきてあげるわね」
「ありがとうっス、クア姉、楽しみに待ってるっスよ! こう、仕事の合間に食べる甘いものは最高っすねぇ!」
「食い気もほどほどにな、ウェンディ」

 そんな喧騒を単純に楽しむものもいれば、狐に抓まれたような面持ちで、訝しげにクアットロを見つめる者もいた。
 チンクは妹達と歓談するクアットロに首を捻り、静かにコーヒーを口に運ぶウーノに視線だけで問うた。
 ウーノはチンクに視線に応えるように、少しだけ首を傾げると、再び気品ある仕草でコーヒーカップに唇をつけた。
 一体どうしたのだろうか?
 気に入らない客との不和やディエチとの対立で、最近のクアットロは気が立っているように見えたのだが。
 解らないとかぶりを振って、チンクもクッキーを一つ摘む。
 心地よい甘みと香ばしさが口中に広がった。
 杞憂だろうか。気分が落ち込むこともあれば、持ち直すこともある。
 それが人間というものだ。そう、自分達は人間として生きているのだから。
 ―――そう、自分を納得させることにした。
 きっと杞憂なのだ。
 クアットロの笑顔に、今までの不機嫌な表情よりも不安を覚えるのも、きっと自分の考えすぎなのだ。

「ウーノ姉様もお一ついかがですか? これは甘さ控え目で、きっと姉様好みですわよ」

 当のクアットロは、今までに無い高揚感を覚えていた。
 胸中にかかっていた靄が晴れたというだけではない。
 ヴァイスを奴隷として従えた瞬間、言葉に出来ない興奮と達成感が背筋を走りぬけたのだ。
 「不感症である」ということを誰よりも蔑んでいたのは、他でもないクアットロ本人だった。
 ヴァイスへの嫌悪感も、その近親憎悪から生まれた部分が大きいだろう。
 夜に街を出歩き、欲望に釣られた男を破滅させて遊ぶのも一種の鬱憤晴らしだ。
 自分は、客を癒す女神たるドゥーエのようにはなれない。彼女はそう確信していた。

 ―――だが、彼女は手に入れたのだ。自分の大切な人を幸せにする方法を。
 それは、唾棄すべき男たちを破滅させてきた外道の業だった。
 自分も、ドゥーエ姉様と同じように、人を幸せにすることが出来る。それも、自分らしい方法で。
 その体験は、クアットロに深い自信と満足感を与えた。
 確かに、仕事に見せかけて客と接触し、脅迫まがいの事をしたのは褒められたことではないだろう。
 でも、仕方ないことだ。
 だって、ティアナの為なんだから。
 彼女は、自分が正道を歩んでいることを信じて疑わない。
 どんな外道の手段を用いようと、例え法に触れることを行おうと、頓着しない。
 これは、ティアナの幸せの為なんだから。

「お疲れ様、今、上がりです」

 控え室にディエチが顔を出し、上機嫌のクアットロの表情は一瞬だけ強張った。
 そう、ディエチとグリフィスの関係も、クアットロの抱える重大な懸案事項だったのだ。
 しかし、クアットロの脳裏に、電撃が走るかのように解決策が閃いた。

 ―――そうだ、あの男を、ディエチから寝取ってしまえばいいんだ!

 ああ、自分がもどかしい。どうして、こんな簡単な事に気付かなかったのだろう!
 そうすれば、もうディエチと対立することも、ディエチが下種男の食い物にされることもない。
 これ以上単純明快な解決方法が他にあるだろうか!
 自分の特技を、愛する人を幸せにするために使うことが出来るのだ。
 どうして今まで、詰まらない男の家庭を崩して遊ぶような、無為な事ばかりしてきたのだろう。
 自分の頬がどんどん上気していくのが、クアットロにははっきりと自覚できた。
 ディエチは随分とあの男にぞっこんのようだから、振られた時には深く悲しむことだろう。
 でも、仕方がない。
 だって、これはディエチの幸せの為なんだから。
 ……ディエチ、この私が幸せにしてあげる。
 含み笑いを堪えながら、クアットロは控え室を後にした。




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