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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆
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「このシュークリームもどうぞ! バニラの香りが効いてて焼きたてで皮もパリパリですから、食べるなら今のうちですわよ」
平然と談笑を続けながらも、クアットロは胸中で脈打つ冷たい衝動を押さえ込むのに必死だった。
今すぐ眼前の男の喉元から股下までを一直線に切り裂き、汚穢な腸を引きずり出して撒き散らしてやりたいという衝動である。
どうして気付けなかったのだ。いや、どうして気付けたというのだ。
ティアナの恋する男性が、己が蛆虫以下と蔑むこの最低の男だったなんて。
己をティアナに重ねて夢想に耽る度、絵本の中の王子のように想っていた男が、よりにもよってこの男だったなんて。
死んだ魚も同然だったこの濁った瞳が、宝石のようなティアナの瞳と見つめ合ったというのか。
自慰の真似事をして汚い性器を擦りあげたこの指が、白魚のようなティアナの指と絡まったというのか。
くぐもった呻きを漏らすばかりだったこの舌がティアナに愛を囁き、床の反吐を舐めたこの唇でティアナに口付けたというのか―――。
未熟なティアナとは違い、クアットロの慧眼は一目で看破していた。
―――この男は、ティアナのことを微塵も愛してなどいない。ただ、自分の精神の均衡のために利用しているだけなのだ。
許せない。
今この時もティアナの純情を裏切りながら、彼氏ヅラして笑顔で紅茶を啜る男を、許せる筈など無い。
ぎりりとはしたなく音を立てる奥歯を、唇の端を噛み千切って押し殺した。
少し気を緩めれば、ナイフでチーズケーキを切り分ける腕が疾り、この男の喉笛を真一文字に掻き切りそうになる。
押さえ難い衝動に眩暈さえ感じながらも、感情は冷たく凍ったまま、怒りというべき温度にまで上昇しない。
妹のノーヴェのように感情を爆発させることができれば、どれだけ楽だろうと思う。
徹底的に理性で己を律してきたクアットロの仮面は、これほどの局面にあっても剥げ落ちることは無かった。
伊達眼鏡の下に形作った偽りの彼女は、ただ微笑ましげに目を細めて初々しいカップルを見守っている。
「はい、ヴァイスさん、あ〜ん♪」
「おい、ちょっと勘弁してくれよ! その、クアットロさんも見てるじゃないか!」
「いいじゃないすか、もう恋人同士なんですし。応援してくれたクアットロさんに、結果報告です!」
「ええ、そういう時は恥ずかしがらずに男らしく受け止めてあげるものですよ、ヴァイスさん」
許せない。どうして許しておけるだろうか。ティアナの為にも、この男は絶対に許す訳にはいかない。
「ふふっ、とっても面白い方ですのね。ヴァイスさんって。是非またゆっくりとお話をお聞きしたいですわ」
去り際、クアットロはたおやかに一礼し、ヴァイスに極上の笑みで微笑みかけた。
ティアナと腕を組んでいたヴァイスの口元が引き攣り、取り繕うようにヴァイスも一礼をした。
無垢な笑顔を満面に浮かべたティアナは、悪戯っぽく小さく笑んで、そっとクアットロに耳打ちをする。
「ね? ヴァイスさん、素敵な人だったでしょう?
あっ、でも盗ったりしちゃあ駄目ですよ! ヴァイスさんはあたしの彼氏なんですからねっ!」
噛み締め過ぎた唇から、口中に生臭い鉄の味が流れ込んだ。
ここに至り、ようやくクアットロは己の胸中に渦巻く感情が怒りなのだと認識した。
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