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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第98話☆

1名無しさん@魔法少女:2009/04/04(土) 13:25:44 ID:7HzUR6lY
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所の2スレ目です。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_避難所☆
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12448/#2

678ロストロギアは使いよう 4/9:2009/05/10(日) 12:11:23 ID:GXxjGC0E
「ふにゃ?」
なのはの身体が光り始めた。
「え、え? あなた、ユーノ君、どうなったの? どうしたの!?」
「い、いや、僕にも……」
しどろもどろに答えることしかできない。
そうこうしているうちになのはから沸き立つ光は輝きを増し、昼間のような明るさになった。
「熱い……あなた、身体が……熱いよ……」
「なのは、なのは──なのはあああああああっ!」
目も眩むほどの閃光が部屋を覆い尽くし、二人は同時に気を失った。

***

「ん……」
ハッとユーノが目を覚まして、辺りを見回す。
時計は、まだ長針が半分も回っていなかった。気絶していた時間は短いらしい。
「なのは、なのは?」
たった今のショックで、間違えて灯りを消してしまったらしい。
手探りでスイッチを入れようとすると、なのはの身体らしい『何か』に触れた。
「ん?」
ヴィヴィオか? というか、身体のどこを触っているんだ?
やたら小さい気がするが、手のように思える何かは、何なんだ?
「んん〜」
なのはの声。ゆっくりと暗がりの中で起き出し、ユーノと同じように周囲を見回した。
「あ、あなた。よかったー。わたしの方は何ともないんだけど、あなたは?」
「いや……なのは」
「どうしたの?」
やっと手がスイッチに届いた。カチリとつけて、なのはの姿をまじまじと見つめる。
「ねぇ、その姿、どう思う?」
いかにも怪訝な顔でなのはは自分の身体を見下ろした。
その直後、手をぺたぺたと頬に当て、胸に当て、そして叫んだ。

「ど、どうしてわたし小さくなってるのー!?」

結論は、ユーノの魔道書ということで落ち着いた。
あの古文書はやはり、魔法の力を秘めた強大かつ偉大なモノだったということ。
しかし、解せないことがある。
一体全体、どこの誰が好き好んでこんな魔法を作ったのか。
「世の中には、色んな人がいるんだね……」
『近し者』とは、どうやら術者から距離的に一案近い人間。
『紅玉』とはルビーのはずだが、たまたまの偶然だが、レイジングハートが触媒の役目を果たしてしまっていたようだ。
『至上に輝かしき時』──魔道書の続きを読む限り、それは相手が誰だろうと「少女時代」らしい。
「男性には効果がない!? 間違いなく作成者はバカだよ……」
僕もだけどね、とユーノは遠い目をする。

679ロストロギアは使いよう 5/9:2009/05/10(日) 12:12:11 ID:GXxjGC0E
「ところで、これどうやったら元に戻るのかな」
だぼだぼになったパジャマの袖を引き上げて、なのはが聞く。
既に現状を受け入れたのか、ちんまりと座っている。
「えーと……ちょっと待って」
ユーノは慌てて魔道書を拾い上げ、解読を始めた。
光あるところに影あり、必ず解呪法はあるはずだ。
「『頂上』……『三回の』……『最後』……『満たせ』……『種』? た、種? なんの?」
しかし、どうしても断片的な翻訳になってしまう。
あの天啓はどこへ飛んでいってしまったのか。
「ね……ま、だ……」
なのはが苦しそうな声を出している。
やはり、急を要するのだ。
勢いたってユーノは魔道書に没頭し、いよいよ解読作業に心血を注いだ。

***

「……がい」
「おね、がいだよぉ。あなたぁ……」
くい、と袖を引っ張られてユーノは我に帰った。
振り返ると、熱い吐息を吐き腹を押さえる、なのはの姿があった。
「ど、どうしたのなのは? 大丈夫? 僕が、僕が変なこと口走るから──」
「そうじゃ、ないの」
途切れ途切れに語るなのはだが、その幼い姿に似合わず、妙に色っぽい。
「身体が、熱いの……」
「へ?」
我慢しきれないとばかり、なのははユーノに思い切り抱きついてきた。
その勢いのまま、ベッドの上に押し倒される。
「んちゅ……」
「んっ! んふ、ふぅっ、ふぁっ……」
いきなり、舌を割り込まれる。
蕩けるような柔らかさの舌が、ユーノの口内を蹂躙していく。
ぷはっ、となのはが口を離した時、銀色の架け橋が唇にかかった。
「何でだろう……えっちしたくて、たまらないの……」
袖を捲り上げて小さな手を露出させる。

その瞬間、ユーノの脳裏に解呪の方法が浮かび上がった。
『三度の絶頂を経て少女の姿は元に戻る。しかし最後の一度は、その胎を精で満たすべし』
無茶だ、というか無法だ。こんな魔法、管理局に知られたら一瞬で禁書指定されてしまう。
「あはっ、あなたのおちんちんって、こんなに大きかったのね」
──が、『今』はまだ無規制だ。
それに少女姿のなのはも、困ったことに捨てがたい。
マンネリに陥っていた訳でもないが、さりとて新しい刺激に過ぎる。
大きすぎて役に立たなくなった下着。ぶかぶかの胸元から除く、小さな蕾。
その容姿とはアンバランスに上気した、小学生時代のなのは。
ユーノは悟った。
『僕はロリコンじゃない、好きな女の子が、たまたまロリになっちゃっただけだ。それだけなんだ』

「んちゅ……ちゅぷ……んちゅう……ね、あなた、気持ちいい?」
「あぁ、気持ちいいよ、なのは」
犯罪的過ぎる。
だが、元は21なのだ、問題あるまい。

680ロストロギアは使いよう 6/9:2009/05/10(日) 12:14:02 ID:GXxjGC0E
唇で行われる奉仕は、少女独特の柔らかい粘膜が絡みつくことで、屹立した怒張は更に興奮した。
小さい口いっぱいに含まれた肉棒を、さも美味しそうに舐め、吸い上げるなのは。
まるで、その精こそが最高のご馳走だといわんばかりに腹を空かせている、吸血鬼のように。
「んあっ! はぁ、はぁ……あなた、そこ、舐めちゃ……やぁ……」
副作用か何かのせいで、なのはの身体はいつもより相当敏感になっているようだ。
なのはの身体を上に乗せ、下半身をこちらに向ける──が、結構ギリギリだ。

互いの淫らしい身体を、舌で刺激しあう。
無毛の秘唇は普段のそれよりも淫猥に濡れていて、愛液でテラテラと灯りを照らし返している。
その先でぴょこんと慎ましく膨らみ、しかし淫靡に輝いている幼い淫核は、
少女のそれとは思えないまでに硬く尖っている。
唇で軽く摘むと、なのはは甲高い声を上げた。声変わりする前の、澄んだソプラノが部屋に響く。
「ほらほら、そんなに叫んでたらヴィヴィオ起きちゃうよ」
蜜壷に舌を差し込んで、なのはに甘く語る。
「だって、そんなとこ、舐められたら……んぁっ、舌、入れないでぇ……」
想像以上に膣内は狭かった。
因果関係は破綻しているらしく、既に処女はないようだが、なればこそ痛みは感じまい。
ぐるりと膣中を舌先でかき回しながら、なのはの敏感な部分を擦っていく。
「あぅっ! そこ、しょこ、ダメっ、おかしくなる、おかしくなるぅ……」
いつもより数段反応が激しい。この呪文、よっぽど強力な媚薬効果も併せ持っていると見える。
負けじとなのはが力強いストロークで肉棒を吸い上げてくる。舌先もカリ首を舐め続け、そろそろ射精が近い。
舌を尖らせ、なのはのGスポットを突く。ずるりと引き抜いて、今度は勃起した秘豆をちゅうちゅうと吸う。
「イくっ、イくよぉっ……」
わずかながら全貌を隠していた秘芯の包皮を剥き上げ、
中の真珠を直接ざらりと舐め上げると、あっけなくなのはは果てた。
「んんっ、んんんんんんんんっ!」
鼻先に、粘性の少ない愛液があふれ出してきた。そのままユーノの唇を伝って、顎まで流れていく。
声を押し殺すためにユーノのペニスを咥えこみ、絶頂と共に強烈な勢いで吸い上げたため、
あっという間にユーノにも限界が来た。
「なのは、そんなことしたら、僕も……んあぁっ!」

ぶしゅっ、と白濁が大量に放出された。
小学生の頃の、小さく幼い口内へと精液が踊っていく。
なのはは苦しそうな声を上げながらも、粘りつく欲望の塊を、少しずつ嚥下していった。
「んく、んく……ぷはぁっ、あなたの精液って、こんなにいっぱいあったんだね。とっても濃くて、とってもえっちな味」
口の端に白い跡をわざと残して、微笑むなのは。
「この格好なら、『あなた』って呼ばなくても大丈夫かな……ユーノ君♪」
ユーノの頭は、金槌でぶん殴られたかのように揺さぶられた。
袖を下ろして、細い手がパジャマの中に入っている。
肩からずり落ちそうなほど開いた襟口から漂ってくる、甘い匂い。
「ね、もっとえっちしよ、ユーノ君? わたし、もう我慢できないよぉ」
馬乗りになって振り向く少女の笑顔は、真に吸血鬼だったかもしれない。

***

「ふあぁっ! もっと、もっと来てぇっ!」
狭く幼い蜜壷を突く快感は、この世のものとは思えなかった。
一部の人々が強烈に支持する理由も、或いは分からないでもない。

681ロストロギアは使いよう 7/9:2009/05/10(日) 12:15:17 ID:GXxjGC0E
「なのはっ、好きだよ、大好きだっ……」
「わたしも、わたしも大好き、ユーノ君!」
膣壁がビクビクと収縮している。
ユーノは一度目の射精からそれ程経っていないために肉棒は射精感を失っているが、
呪文の影響で性欲が異常亢進しているなのはは、もっともっととユーノを欲していた。
「あぅっ、ひぁっ……! イく、イっちゃうぅっ!!」
きゅっ、と膣が縮こまったその瞬間、なのはが強い絶頂に叩き上げられた。
目は焦点が合わず、ただユーノだけを見つめている。
「はぁ、はぁ……あと、いっかい?」
息も絶え絶えのなのはに、首肯で答えるユーノ。
無言で怒張を挿し、イっている最中のなのはを更に責め立てる。
「うにゃあっ! はぁっ、はぁっ……ユーノ君のおちんちん、おっきいよぉ」
激しく、力強く抽送を繰り返す。
一突き一突きがきつく、瞬く間に精が搾り取られてしまいそうだ。
さっきまでは希薄だった射精への欲望が、むくりと沸き起こってきた。
「ユーノ君」
「どうしたの、なのは?」
「お願いっ、中に出してっ……妊娠させてぇっ」
なのはの叫びはもっともだった。
ただそれだけが解呪の方法で、他に手段はない。

──小さななのはの身体に、思い切り中出し……

欲望が頭を駆け巡ると、一瞬で反応が起きた。
こんな幼い身体に、どんな力が秘められているのだろうか。
ユーノの肉棒は爆発しそうに滾り、ビクリと脈を打ち始めた。
「孕んじゃってもいいから……赤ちゃんできちゃってもいいからぁ……お願い、ユーノ君、中に出してぇ!」
なのはの情欲も、限界に来ているのだろう。
ユーノもまた、なのはの叫びに今にも精を放出してしまいそうだった。
だがしかし、ぐっと堪えてなのはを高みに導く。
「やぁっ……おちんちん挿れながらお豆さんいじっちゃやあっ!」
淫核を包皮ごと摘んで、紅い肉突起へ被せるように扱き立てる。
「あぅっ、イく、ユーノ君、またイく、イっちゃうよぉっ」
「いいんだよ、なのは。いっぱいイって、気持ちよくなって」
きゅっ、と秘豆を引っ張ると、その瞬間になのはの身体が跳ねた。
「んぁっ、あああっ、あああああああああああああああっ!」
ビクビクと痙攣するなのは。ユーノの肉棒も絞り上げられて、あっけなく果てた。
「なのは、出るよっ、出るっ」
「来てっ、ユーノ君っ、中に、出してぇっ!」
ユーノはなのはの身体を抱きしめた。
その瞬間、蜜壷を満たして有り余るだけの白濁が躍り出た。
「んきゅうううっ……」
なのはの顔が快楽に歪む。
収まりきらなかっただけの精液が音も立てずに溢れ出て、シーツに流れ出た。

682ロストロギアは使いよう 8/9:2009/05/10(日) 12:17:37 ID:GXxjGC0E
「はぁ、はぁ、はぁ……」
ユーノの意識が段々霞んできた。なのはの目もまた、トロンとしている。
行為後特有の眠気ではない、明らかに魔力的な催眠だ。
逆らえない。まぶたが閉じていく。
「なの、は……」
スゥ──と、まるでロウソクの火が消えるように、ユーノは眠った。

***

翌朝。
なのはの身体はものの見事に元通りになっていた。
どこも問題はないらしく、ユーノはホッと一息ついた。
「あぁ、良かった」
とは言ってみたものの、少女時代のなのはも可愛い。
もう一回やってみてもいいかな……と思った。
しかし、昨夜の眠気に関しては理由が分からない。
小さくなった身体が元通りになっていく過程を見られたくなかった、ということなのだろうか。
ユーノは考えあぐねた結果、全てを忘れることにした。

一方のなのは。
小さくなった身体は、それでもユーノを求めて乱れ続けた。
思い出せば出すほどこっぱずかしい。
目が覚めた時、まだ二人は繋がっていた。
あれで妊娠していなくて、一体いつ妊娠できようか、いや無理だ。
ヴィヴィオが昨夜起きてはいなかっただろうか。
当然、そんなこと聞く訳にもいかない。
顔でも洗おうと洗面所に行って、そこではたと気付いた。
「垂れてる?」
太ももはおろか、ふくらはぎまで白濁の流れた跡がはっきりついている。
しかもそれでさえ物足りないといわんばかりに、後から後から欲望の残滓が溢れ出てくる。
なのはは大慌てで風呂場に飛び込み、シャワーを浴びた。
「はぁ……」
掻き出しても掻き出しても、尽きることのない精液。
よくまあこんなに出せたものだと、なのはは尊敬の混じった嘆息を吐いた。
『近し者よ、我の最も隣におわす者よ、その姿紅玉の神通に拠りて、至上に輝かしき時を紡ぎ出せ』
なのはは、何とはなしに呟いてみた。
近くにいる女性はヴィヴィオだけだ。まだ小さいのだから、あれ以上幼女になれまい。
「わぁーっ!」
すると、途端に悲鳴じみた叫び。
まさか、お隣さんを巻き込んでしまったか!?
なのははバスタオル一枚を巻いて、浴場を飛び出した。

「……あれ?」
そこにあったのは、余りにも不可思議な光景。

683ロストロギアは使いよう 9/9:2009/05/10(日) 12:19:44 ID:GXxjGC0E
「ねえ、あの本、小さくなるのは『女の子』だけじゃなかったの?」
「いや、そのはずなんだけど……」

──ドクッ。
なのはの心臓が、強く打った。
恥らうように、すっかり緩くなってしまったシャツを身体に巻きつけているユーノ。
もじもじと耳まで真っ赤にしながら、少年はどこかに隠れようとしている。
はぁ、はぁ、と息が上がってきたのが自分でも分かる。
昨日のユーノも同じような気持ちだったのか? きっとそうなのだろう。
そうに違いない。

なのははバスタオルを脱ぎ捨てて、ユーノに迫った。
じゅるり、と口の中で唾液が踊る。我慢の限界が来ている証拠だ。
「な、なのは? よだれ出てるよ? ど、どうしたのさ?」
「だって……ユーノ君、昔の頃とそっくり同じだし」
ユーノの目は、怯えた小動物そのものの目だ。
そんな目線を送られて、興奮せずにいられようか。
「いや、そうじゃないでしょ!? 見て分かるよね、僕の身体、今は子供だから……」
「だからいいんじゃない。今日はお休みだし、ゆっくり楽しもう。ね?」
どうして女性にしか作用しないはずの呪文がユーノにも効いたのか、そんなことはどうでもいい。
いやむしろ、『ユーノだから』効いてしまったのかもしれない。
けれど、結果が既に目の前にある以上、どちらでも同じことだ。
「なのは、落ち着いて。まだ朝っぱら……ひゃあっ」
目の前の青い果実。据え膳喰わぬは何とやら。
「ユーノ君、だーいすき!」
そしてなのはは、ユーノの身体に飛びついた。

***

その後、この呪文が密かにミッドチルダ一部の界隈で出回ったのは、公然の秘密となっている。

684Foolish Form ◆UEcU7qAhfM:2009/05/10(日) 12:23:13 ID:GXxjGC0E
お互い何かに目覚めちゃったのでセーフです。
何がセーフなのかは作者も知りません。

え、はやて? 前回の後書きはどこへ行ったかって?
やだなあ諸君、『はやて』って誰のこt(ピチューン

はやユノは次回。かも。
では。

685名無しさん@魔法少女:2009/05/10(日) 13:21:41 ID:Okl8ObFg
>>684
大小関係ない甘さにGJ!!
はやユノでももっとやれ!

686名無しさん@魔法少女:2009/05/10(日) 17:17:56 ID:Frs.WuHI
>>672

おお、サンタ久しぶり!
パロSSオリキャラで最も好きな可愛いあいつの姿にひたすらニヤニヤしてしまいましたよ。
こいつとノーヴェのやりとりは見ていて凄く心が温かくなるわぁ。
氏のナンバーズSSは愛に溢れてますね。
そしてまさかこんなところでSUMOUの話が出てくるとはww

件のディエチの話も待ってますぜぃ。

そして最後に、GJっした!!

687名無しさん@魔法少女:2009/05/10(日) 21:06:09 ID:WWXto2.2
>>684
最高でした。GJ!!

688名無しさん@魔法少女:2009/05/10(日) 21:41:31 ID:PpIQSgn6
>>684
GJ!
ユーノが襲われる方も見てみたい気がするのは自分だけ?

>ミッドチルダ一部の界隈で出回ったのは、公然の秘密となっている
管理局の中にロリ&ショタがいたってことかw

689名無しさん@魔法少女:2009/05/10(日) 22:51:09 ID:LujhQxco
>>684
ヒャッハァ!ガチエロキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!これはGJ!
>僕はロリコンじゃない、好きな女の子が、たまたまロリになっちゃっただけだ。それだけなんだ
いいや、お前どうみてもロリコンだろwww

>>688
>ユーノが襲われる方も見てみたい気がするのは自分だけ?
(・∀・)人(・∀・)

690名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 00:06:20 ID:RxIR2uYU
>ザ・シガー氏
巻き添えの形で殉職された局員南無……

>26-111氏
おおサンタとは懐かしい。

>戦闘機人である自分達姉妹を嫁に迎えようなどと言う物好きが
居ないのなら俺がクアットロをお嫁に(ry
あと相撲の話もなかなか考えるものがあって良かったです。
最後の一行は永遠の謎にしておきましょうw

>Foolish Form ◆UEcU7qAhfM氏
ひさびさのガチエロキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
あと出し過ぎだよユーノ君w
これでヴィヴィオもお姉ちゃんになれると考えると、
あのロストロギアは愛のキューピットみたいなもんだなwww

691野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/05/11(月) 01:14:41 ID:dWZs5dtI
お久しぶりです。いつの間にか一ヶ月経ってたとは……

 タイトル「高町なのはの真実」
 レス数5
 あぼんは鳥かコテで。

692野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/05/11(月) 01:15:22 ID:dWZs5dtI
     1

 ティアナは、模擬戦でなのはさんに撃墜された。

 そしてティアナは、なのはの過去の事件に関して知った。
 ああ、そうか。あの、白い悪……もとい、無敵の高町なのはさんにもそんな時期があったのか。
 自分を省みず無茶をして、そんな自分を反省して、そしてティアナやスバルが同じ轍を踏まないように教導してくれている。
 そのなのはさんに気付けなかった自分わティアナは本当に反省していた。

「いいんだよ」

 そう、なのはさんは言ってくれるのだけれど。

「私だって悪かったんだから。ティアナにきちんと説明するべきだった」
「なのはさん……」
「ごめんね、ティアナ」
「なのはさんっ!」

 涙を流すことを恥ずかしいと思えず、なのはさんに抱きしめられるようにして泣きついて。
 頭のどこか、妙に冷静なその部分では

「スバルが羨ましがるかな?」

と考えていたりして。



 その二人を遠くから眺めているのは、はやてとフェイト。そしてはやての横にいつもいるリイン。

「良かったですね。雨降って地固まるです」

 嬉しそうなリインとは正反対に浮かない顔の二人。

「どうしたですか?」
「……ん……リインは、あのこと知らへんかったんやね」
「あの……こと?」

 はやてが力無く笑うと、黙っていたフェイトも力無く頷く。

「いや、シャーリーもうまいこと誤魔化したなぁ、思てな……」

 フェイトが妙な微笑みではやてを見る。

「あれは、ティアナやスバルには言えないよ……」
「フェイトちゃん。エリオとキャロにもな……」
「二人に知られたら……私家出する。そうなったら探さないでね、はやて」
「そのときは、私も一緒やよ、フェイトちゃん」

693野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/05/11(月) 01:16:04 ID:dWZs5dtI
      2

 あの時……

 正体不明敵に撃墜されたなのはは、すぐに病院に運び込まれた。
 ヴィータからの連絡を受けて駆けつけたフェイト、はやてとヴォルケンリッターは、忙しく立ち働く看護婦たちを見た。
 そして、青ざめた顔で病室前に座っているヴィータを。

「あ、はやて」
「ヴィータ、どしたんや」
「助けてよ、はやて。なのはが……なのはが……」

 その横を忙しく走り回る看護婦たち。

「患者の容態は? なのはちゃんはどうなっているんです?」

 シャマルの言葉も耳に入らないかのように、看護婦たちは入れ替わり立ち替わり病室の出入りを繰り返している。

「あの、すいません。なのはちゃんの容態は……」
「質問に答えろ!」

 業を煮やしたシグナムが、一人の看護婦をやや強引に引き留めた。
 はやては立ち止まった看護婦の持っているトレイに気付いた。
 それは紛れもない……

 食事だった。

「食事……?」

 病室の扉が開く。

「食べるもの持ってくるの! 血が、血が足りないの!!」

 覗き込む一同。

「じゃんじゃん持ってくるの! 食べれば直るの!!」

 なのはが看護婦の持ってきた食事を次々と平らげていた。

「こんなのじゃ治るものも治らないの! 肉! 肉! 肉! とにかく肉なの!!」

 顔を見合わせる一同。フェイトだけは、じっと病室の中を見ている。

「はやて……」
「えっと……ヴィータ、これは……」
「なのはのご飯代……あたし、お財布持ってきてねーんだ……」
「それで青ざめとったん?」
「だって、無銭飲食なんかしたら、管理局クビになるじゃんか」
「……それはそやけどな……」

694野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/05/11(月) 01:16:59 ID:dWZs5dtI
    3

「あの……食べるものはあたしらが何とかするから。フェイトちゃんはなのはちゃんを見ていて」
「うん。わかったよ。あ、はやて」

 フェイトははやてに一枚のカードを渡す。

「これ使って」
「これ、フェイトちゃんのクレジットカードやん」
「いいの、なのはのためなら」
「一応、借りとく」

 駆けていくはやての後ろ姿を見送ると、フェイトは病室に入り、なのはのベッドの横に置かれた椅子に座る。
 なのははフェイトに気付くと目で挨拶して、食事をとる手は休めない。

「ごめ……もが……食べたら……治るの……」
「うん。シャマルにリンカーコア抜かれた時もそうだったよね」

 ちなみにそれはなのはとフェイト、クロノにエイミィ、リンディだけの秘密だった。今日までは。

「だけど、あんまり無茶食べしたら、身体を壊すよ。リンカーコアを抜かれた時は、身体は何ともなかったんだから」
「いいの……もぐっ……12時間もあればジェット機だって直るの……もぐっ……大泥棒さんが言ってたの……まくまく……」
「なのはは、時々変な人と知り合いだね」
「大丈夫だよ……ばくっ……フェイトちゃん……もぐっ……」

 そうこうしているうちに、シグナムが食料を持ってくる。

「高町。テスタロッサ。とりあえず、すぐに食べられるものだ。あとは、主が病院の厨房を借りて料理している」
「もぐっもぐっ……はむっはむっ……こくっこくっ」

 なのはの動きが止まる。
 慌てるシグナムとヴィータだが、フェイトは慌てず騒がず、炭酸を抜いてあるコーラを差し出した。
 ゴフゴフと飲みきるなのは。
 
「シグナム、バケツ一杯の砂糖水を準備しておいてください」
「なに?」
「バケツ一杯の砂糖水です。できれば砂糖ではなく果糖がベストですが。さすがにすぐには準備できないでしょう」
「わかった。できるだけ上質の砂糖を手配しよう」

695野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/05/11(月) 01:17:42 ID:dWZs5dtI
    4

 その後、シャマルとザフィーラの助けを借りて大量の薬膳料理を病室に運んだはやては、砂糖水の手配と準備を終えたシグナムと病室前で合流する。

「主。アレはいったい」
「……聞いた話やけど、昔、なのはちゃんのお父さんが仕事で大怪我したことがあってな」
「はい」
「全く同じ方法で治したんやて」
「……主」
「ん?」
「高町は地球人ですよね? 主と同じ」
「……最近、自信があらへん」

 少し間をおいて、ザフィーラが言う。

「しかし、乱暴ではあるが、回復方法としてはさほど間違っていないだろう。回復に必要なものを身体が欲しているということだからな」

 頭を抱えているシャマル。
 ザフィーラは続ける。

「必要とするものを摂る。難しく考えすぎることもあるまい」

 ますます頭を抱えるシャマル。

「はやて?」

 病室からフェイトが顔を出した。

「ちょっと来てくれるかな。なのはが呼んでいるんだ」
「なんやろか?」

 はやてが中に入ると、ちょうどなのはが料理を食べ終えそうなところ。
 はやてを招き入れたフェイトが後ろ手に病室のドアを閉める。

「何で閉めるの?」
「さあ。なのはが閉めて欲しいって」
「内緒話なん?」

696野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/05/11(月) 01:18:14 ID:dWZs5dtI
     5

 病室前に残されたヴォルケンたちは、邪魔になると言うことで看護婦たちに追い立てられ、ロビーでコーヒーを飲んでいた。

「まあ、食べることで元気になると言うのは、珍しいことでもないだろうな」
「戦でも、食事は士気に関わるしな」
「はやてちゃんの薬膳なら、効果あるでしょうしね」
「テスタロッサは以前にも高町の世話をしていたはずだ。彼女がいれば間違いないだろう」
「なあ、旨い飯で元気になったら、次は何だ?」
「……そうだな……兵士ならば……」

 飯の次は女、と言うのが定番だろうが、さすがにヴィータの前では言いづらい。それに、シグナム自身としても好きではない話題だ。
 ザフィーラも視線を外し、シャマルは知らないふりをしている。

「なあ、シグナム」
「……ああ、そうだな。睡眠……かな」
「そっか。よく寝ることか」
「そうだ」

 間違いではない。睡眠も重要だ、とシグナムは自分に言い聞かせる。

「はやてちゃん、遅いわね」
「そういえば、テスタロッサも出てこないな」
「あたし、ちょっと見てくる」

 ヴィータが行って数十分後。

「三人とも出てこないな」
「私、見てきます」

 シャマルが行って数十分後。

「どうなってるんだ。えーい、私が行ってくる」

 ザフィーラ一人が残されて数十分後。

「……何をやっているんだ、皆は……」

 歩き出しかけ、その鋭敏な耳に何かの音が聞こえる。

 …………飯の次は女…………

「……恐るべし、高町」

 翌朝、しくしくと泣きながら病室から出てくるシャマルとシグナム、そしてはやて。
 妙に嬉しそうに出て来るフェイトとヴィータ。
 ザフィーラは無言で、人数分の缶コーヒーを手渡すのだった。

697野狗 ◆NOC.S1z/i2:2009/05/11(月) 01:18:57 ID:dWZs5dtI
以上、お粗末様でした。


うん、フェイトとヴィータは拒まないと思うんだ。

698名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 01:24:26 ID:phLBbeWM
>>697
オチはそっちかよwwwwwwwwまあ、英雄色を好むとも言うしなw
俺好みの話だったぜGJ!!

699名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 02:40:39 ID:eyIHP64E
そっちwwwww 普通に超人なのはかと思ったら飯と女と睡眠かよwwwww
ザフィーラ男前だなw GJ!

700名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 08:45:51 ID:UWekSln.
間違いなく人間やめてるw

701名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 10:19:02 ID:ykrcR3sU
ワロタw冒頭でシリアス系を想像してしまった俺が愚かでしたw

702名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 14:15:10 ID:knvsDrt2
バキネタ乙

どうにも最近のここは板垣色が濃厚な気がするw

703名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 14:19:02 ID:iGKLqw1U
GJ!!です。
バキネタかw化け物過ぎるだろwww
というか、この事実までティアナが知ったら、人間としての規格が違うから仕方がないと諦めで納得しちゃいそうだw

704名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 17:11:22 ID:/UEE3SkE
ルパン、つーかカリ城ネタもあるような。

705名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 17:19:01 ID:KWlV.raM
>>704
どれだっけ

706名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 17:26:52 ID:/UEE3SkE
>>12時間もあればジェット機だって直るの

707名無しさん@魔法少女:2009/05/11(月) 18:04:44 ID:KWlV.raM
サンクス

708ザ・シガー:2009/05/13(水) 00:20:34 ID:gtFfdnnA
さあて、ちょっくら投下でもすんべか。
昔投下したグリフィス×スバルの短編SS「部隊長補佐と彼の子犬」の続きです。
正確には続きじゃなく前日譚、というか、二人の馴れ初めの話。
グリフィスは黒くないよ!

あとエロはまあ、な? 読んでからのお楽しみ。

709部隊長補佐と彼の子犬2:2009/05/13(水) 00:23:19 ID:gtFfdnnA
部隊長補佐と彼の子犬2


「ちょっと良いかな?」


 緊張しているのか、どこか硬さの残る言葉だった。
 青い髪を揺らし、少女、スバル・ナカジマが視線を向ければそこには声の主である部隊長補佐、淡い紫の髪の青年が立っている。
 時刻は既に日が傾き二つの月が天を支配しようとする頃合、少女は絶賛居残り残業中で一人デスクワークに勤しんでいる最中だった。
 そこで普段あまり言葉を交わさぬ相手、自分とはあまりに毛色の違う内勤組のエリート、グリフィス・ロウランに声を掛けられてスバルは思わず首を傾げる。


「なんですか?」

「いや、結構遅くまで仕事してるな、って思ってね。なにか問題でもあった?」


 彼の言葉に、スバルはようやく合点が行った。
 周りを見れば案の定、自分以外に居残りでデスクワークについている人は誰もいない。
 きっとこの生真面目な男性は一人残ってデスクにいた自分を案じたのだろう。
 思わぬ相手の意外な親切に、スバルは嬉しくて思わず口元に微笑を作る。
 瞬間、グリフィスの顔がほんのりと赤くなった気がした。
 夕焼けの窓から射し込む、西日の最期の光りのせいだろうか。
 そんな風にスバルは思い込む。
 自身の微笑が有する魅力を知らない少女には、その真相は永遠に闇の中。
 朱色になった顔を隠すように、グリフィスは顔の前に手を置いて咳を一つ。
 息を整えると、もう一度問うた。


「で、どうしたのかな?」

「あ、はい。実は、その、まだ仕事終わらなくて……」


 今度はスバルの頬が朱色に染まる番だった。
 ほんのりと鮮やかに頬を染めて、少女は恥じらいの笑みを浮かべる。
 はにかんだその微笑にグリフィスの鼓動が、ドクン、と大きく跳ねた。
 青年は自分の中で大きくなる心臓の音色を聞かれまいとしたのか、今までよりも少し大きな声で言葉を紡ぐ。


「そ、そうなんだ。今日はデスクワークそんなに多かったかな?」

「お恥ずかしながら、あんまりデスクワーク得意じゃなくて」


 チロリと少し舌を出し、スバルは恥ずかしさを隠すように悪戯っぽくそう言った。
 少女の言葉に、グリフィスはまた胸にときめきが駆け抜けるのを感じつつ、そう、と呟くように返す。
 そして青年は顎先に手をあて、しばし思案顔で何かを思う。
 スバルは彼の態度に首を傾げるが、一分も経たぬ内に答は出た。
 隣り、いつもは相棒であるティアナ・ランスターの腰掛けている席にグリフィスが腰を下ろしたのだ。
 突然の事にポカンとしていると、青年は怜悧な美貌に涼やかな笑みを浮かべてこちらに振り返る。


「それじゃ、僕も手伝うよ」





 さて、あれからどれくらい経ったのだろうか?
 最初にグリフィスが少女に声をかけてから、もう夕刻に日の落ちる時間が変わるくらいの時は経っていた。
 一日の業務の終わりに残業に残ったスバルをグリフィスが助けるのも、今では日常の一幕に溶け込みそうな程に見慣れた光景になりつつある。
 西に傾いた太陽が鮮やかな朱色を見せる中、今日も今日とて二人は並んで座りデスクワークを消化していた。
 指がキーボードを叩く硬質な音が響き、それだけが場を支配する。
 速度に差こそあれ同じ作業を行う二人だが、そこには些細な違いがあった。
 それは視線。
 得意で無い作業を必死に終わらせようとディスプレイだけを見つめるスバルに対し、グリフィスは時折隣りに座った彼女に目線を向けている。
 その瞳は淡い微熱を孕んで少女の横顔に注がれていた。
 何か言いたげに、そして切なげに、胸に秘めた万感の想いを込めて。
 瞬間、スバルが振り返る。
 彼女の瞳、美しいエメラルドグリーンの眼差しが青年に向けられた。
 若き部隊長補佐官は本気で心臓が破裂するかと思う程に驚き、思わず転びそうなくらいに身体をビクつかせた。


「もう終わり〜。なんだけど……どうしたの?」


 彼のその様に、スバルは不思議そうに首を傾げる。
 まるで子犬のような仕草、愛くるしくて堪らない自然な媚態。
 また一つ、グリフィスの胸の中で心臓の鼓動が奏でる楽曲が高鳴る。
 青年はそれを悟られまいと、小さく咳して息を整えた。


「こほん、ああ、その……僕ももう終わってるよ」

「うん。今日もありがとう、グリフィスさん」


 可憐な大輪の花が咲き誇るような、そんな微笑で少女は礼を述べる。
 ただ笑いかけただけなのに、スバルの柔らかい表情はどこまでもグリフィスの胸の中を掻き乱した。

710部隊長補佐と彼の子犬2:2009/05/13(水) 00:25:03 ID:gtFfdnnA
 さながら何かの魔法の如くに心を震わされ、青年はただ目の前の一輪の花に魅入られる。
 そして決心する、自身の想いを伝える事を。
 キュッと軽く噛み締めていた唇から力を抜き、胸中で紡ぐべき言葉を反芻すると、彼はそっと言葉をかけた。


「あ、あのさ……スバル……」

「はい」

「その……えっと……」


 何かを告げようとして、しかし彼は言い淀み言葉に詰まる。
 いつもはどこか怜悧で静かな美貌を称えたグリフィスの、らしくない狼狽した姿。
 スバルは小首を傾げて疑問符を浮かべた。
 愛らしい、本当に子犬のようなその仕草。
 途端に彼の顔に赤みが増し、それこそトマトのように真っ赤に染まる。
 恥ずかしそうに、羞恥心で朱色に染まった顔を俯け隠すグリフィスは、さらに数分上手く言葉を出せぬまま言い淀む。
 しかしこのままではダメだ、と、ゆっくりと口を開き始めた。


「その、さ……スバルって、その……恋人、っていうか、彼氏とかいるのかな?」


 唐突に吐かれた質問、空気を振るわせたその言の葉がスバルの鼓膜に伝わり、脳髄が読み取るのは一瞬。
 だがしかし、その意味をしっかりと理解するのには数秒を要した。
 じっくりと言葉の意図を反芻する、恋人に彼氏、と。
 途端に少女の頬が燃え上がるように真っ赤に染まった。


「は、はは、はい!? 彼氏!?」

「……うん。そう」

「い、いませんよ……そんな……彼氏だなんて」


 その返答に、青年の表情がパッと明るくなった。
 まるで砂漠でオアシスを見つけた旅人のように、それは絶望の中でか細い希望を見出したような顔。
 次いで、彼は幾許かの間を以って問う。


「じゃあ、今は誰とも付き合ってないんだよね?」

「……うん」

「そっか」


 ここまで来れば、さしものスバルも彼の意図に気付いた。
 こちらを見つめる彼の眼差し。
 視線の当たる柔肌に微熱を感じるような、熱の篭った瞳。
 そこに内包されているのは、激しく燃えるように強い感情……恋慕の二文字。
 と、そこまで考えた刹那、彼女の思考を遮るように声が響いた。


「あ、あのさ! ぼ、ボクと付き合ってみな」


 と、彼の言葉が紡がれる最中、それを遮るように事が起こった。
 一瞬でその場から光、蛍光灯の照らす人工の光が消え去り、闇が室内を満たした。
 突如としてその場を包んだ闇に、二人は周囲に視線を向ける。
 既に外はとっぷりと日が沈み、窓から室内に射し込む光は一筋もない。
 いや、太陽だけでなく、窓から見える他の施設からも灯りが見えなかった。
 この事態に、グリフィスの口から思わず声が漏れた。


「停電、だね。六課(うち)だけじゃなくてこの辺一帯かな」


 状況を把握して、冷静に考察した末の結論。
 彼の言葉に、そうみたいだね、とスバルも頷く。
 と、そこで外に再び灯りが灯る。
 機動六課の他の施設からは煌々と電灯の光が輝いた。
 ただし、スバルとグリフィスのいるデスクは依然として暗黒の中だったが。


「あ、あれ? どうして?」


 未だに暗闇が支配する周囲の様に、スバルがアタフタと慌てる。
 そんな少女に、隣りに立った青年は実に冷静に回答を説いた。


「緊急用の予備電源が動いてるんだよ。ただし、必要な施設が優先でここみたいなデスクは後回しだけど」

「あ、そうなんですか?」

「うん。たぶんしばらくこのままかな。今はドアも開かないよ」


 言いながら、グリフィスは部屋の自動ドアの前に立つ。

711部隊長補佐と彼の子犬2:2009/05/13(水) 00:26:41 ID:gtFfdnnA
 いつもはその名の如く、自動的に開閉して部屋への出入りを果たすそれは完全に沈黙守っている。
 青年の指が何度か軽く叩いてみたが、硬質な金属音を響かせるだけであとはひたすらに静寂。
 どうやらしばしの間ここを離れる事は叶わぬらしい。
 と、言っても、何か重大事件があれば念話で通信が入るだろうし、ここを無理に脱出する必要性もなかったのだが。
 微かな光が窓から射し込む中、二人は溜息を吐きつつ苦笑する。


「ああ、じゃあ座ろうか……このまま立ちっぱなし、ってのもなんだし」

「あ、うん」


 近くにあった椅子を引き出し、二人は一度腰を落ち着ける。
 そして幾度目かの沈黙、だが今までとは少し種類が違う。
 なんというか、こう、今ある静寂はどこかむず痒い空気を孕んでいるものだ。
 先ほどのグリフィスの言葉、中途半端に終わってしまったアレが今になって尾を引き始めた。
 スバルは頬に熱を感じながら、一度軽く深呼吸して息を整え、そして問う。


「あ、あの……さっきの、なんですけど……」

「え? ああ……うん」

「もしかして、っていうかもしかしなくても……」

「うん、その……こ、告白しようと思った、んだ」


 見上げれば、グリフィスの顔は薄暗がりの中でも分かるくらい真っ赤に染まっていた。
 きっと自分と同じだ、そうスバルは思う。
 そんな思慮が頭を過ぎれば、余計に頬が熱く感じた。
 火でも点いたのかと思うくらい、顔全体が熱を帯びていく。
 思えば異性に好きだと言われたのは初めてで、改めてそれを意識するとどうしようもなく羞恥心が高まる。
 顔を真っ赤に染め、スバルは彼の顔を見つつ蚊の鳴くような小さな声で問うた。


「ど、どうしてあたしなんですか? グリフィスさんなら……シャーリーとかルキノとか、いるし」


 そうだ、彼の周囲には幼馴染のデバイスマイスターに、通信士の少女がいる。
 スバルは彼女たちのどちらかがグリフィスの、いわゆる“良い人”だと思っていた。
 だから、この現実が上手く受け入れられない。
 何で自分なのか? その疑念が少女の脳裏を駆け巡る。


「いやいや! なんであの二人の名前が!?」


 少女の質問に、グリフィスは腕を左右に振りながら慌てる。
 狼狽する彼の様にまたスバルも狼狽しつつ、返事を返す。


「だ、だってグリフィスさんと一緒にいる事多いし、その……あたしより綺麗で可愛いし……」


 と、言った刹那、今まで漂っていた静かな空気を張り裂けるような声が響いた。


「そんな事ないッ!」

「ふえ!?」

「スバルは……凄く綺麗だし、凄く可愛いよ! 僕にとってはこの世の誰より一番可愛い女の子だよ!」


 叫ぶように、否、ほとんど叫びとして青年は想いを吐露した。
 単純で何の繕いもない、だがまっすぐで純な恋の気持ち。
 その言葉に、スバルは胸の奥がキュっと締め付けられるような感覚を覚える。
 初めて、生まれて初めて恋心としての好意を人に投げ掛けられた。
 戸惑いと共に、スバルの胸の中に例え様もない程に甘く切ないものを宿す。
 その未知の感覚に惑いつつ、少女は赤く染まった頬を隠すように俯いて青年に問うた。


「あ、あたしなんかで良いんですか? だってあたし……」


 少女の問いに対して、青年の回答は一瞬だった。


「僕は、君じゃなきゃ嫌だ」


 今度は少しの淀みもなく、グリフィスは言い切った。

712部隊長補佐と彼の子犬2:2009/05/13(水) 00:28:09 ID:gtFfdnnA
 少女をまっすぐに見据える瞳と投げ掛けられた言葉、そこには優男然とした彼の外見とは裏腹に強烈な意思と想いが溶けていた。
 これに、スバルの胸に芽生えた淡い想いが鼓動する。
 今までの人生でここまで誰かに熱烈に愛を向けられた事などなかった。
 ゲンヤやギンガ、それに今は亡きクイントのそれは家族愛。
 ティアナと育んだそれは相棒としての友愛。
 そのどれとも違う。
 初めて向けられる異性としての愛、強く情熱的な恋慕の情。
 彼の熱に当てられたように、スバルの胸の奥もまた、焼けるような熱が生まれた。
 薄い闇に包まれた中でも分かるほど、頬を鮮やかな朱色に染めて少女はもう一度問う。


「ほ、ほんとうに……あたしで良いんですか?」

「うん。もしかして迷惑……かな?」


 スバルの問いに、青年は問いで返す。
 不安と恐怖、そして淡い期待を込めて。
 少女の思案は一瞬。
 僅かに考える素振りを見せると、彼女は静かに口を開いた。
 ゆっくりと、一言一言を噛み締めるように言葉を紡がれ、囁くような残響が空気を震わせる。


「そんな事ないです……その……そういう風に言ってくれるの、凄く嬉しかったから……だから、その……」


 真っ赤になった顔で、潤んだ瞳で、少女は途切れ途切れになりながらも言葉を繋げる。
 愛らしいその姿に、青年の胸の鼓動が爆発しそうなくらい高まる。
 そして、それにとどめを刺すかの如く、スバルは最後の一言を囁いた。


「返事は、その……はい、大丈夫です……あたしの事……こ、恋人にして……ください」


 声が響き、その音響が空気を伝わり耳に届き、鼓膜を震わせ、脳髄がその意味を検索し理解する。
 凄まじく簡潔に要約すると、告白しましたオッケーでした、という訳だ。
 瞬間、グリフィスの意識は闇に寸断される。
 つまりは気絶。
 だがそれも一瞬、すぐさま意識を覚醒させて現世に帰還した。
 というかぶっちゃけ死ぬかと思った、嬉しすぎて。
 危うく魂が涅槃に旅立ちかけた事に肝を冷やしつつ、青年は溢れる喜びに表情を喜悦に染める。


「そ、そっか……その、ありがとう」

「い、いえ……どういたいしまして、って言うのも変かな?」

「うん、かもね」


 と、二人の表情に苦笑染みた微笑が宿った。
 なんだかそのかしこまった会話がおかしくて、クツクツと小さな笑い声が零れる。
 しばしの間、スバルとグリフィスは薄闇の中で小さな声で笑い続けた。





 さてはて、それからどれくらいの時間が過ぎただろうか。
 夕暮れから闇に変わりつつあった空は今では完全な闇に包まれ、星明りが煌々と光り輝いている。
 正確な時間にすれば、優に3時間は経過しつつあった。
 未だに復旧の目処が立たないのか、デスクはより深くなった闇に染まり、冷暖房が効かないために気温も下がっている。
 季節は春の色を見せているが、まだまだ夜ともあれば気温は低くなるのだ。
 耐えられない訳ではない、だが決して快適という訳ではない。


「大丈夫?」


 ふと、隣りで肩を小さく震わせていた少女にグリフィスが問う。

713部隊長補佐と彼の子犬2:2009/05/13(水) 00:29:28 ID:gtFfdnnA
 彼のその問いに、スバルはその透き通った碧眼を細めて笑みを作り、優しい声色で返した。


「うん、平気。ああ……でもちょっとだけ寒いかな?」

「そっか、じゃあ」

「ん?」


 答えの言葉が返るより早く、グリフィスが動いた。
 手早く席を立つと彼はおもむろにスバルへと歩み寄り、上着のボタンを外す。
 そして少女の眼前に立った刹那、それを脱ぎ去って彼女の肩へとかけた。
 フワリと、たった今まで青年の身体に纏われていた上着がその温もりを以ってスバルを包み込む。
 突然の事に一瞬唖然とし、数瞬の間を経て少女は事態を理解した。
 さすれば、年頃の乙女の頬は鮮やかな朱に染まるのは自然だろう。


「あ、あの! こ、こんな事しなくても……」

「君が風邪引いたら大変だからね。これくらいさせて欲しいな」


 柔らかな、男がするものと思えぬほどに柔らかく優しい微笑をグリフィスは浮かべてそう返した。
 彼の整った顔立ちと相まってそれは美しく、スバルの胸の鼓動が一段高鳴る。
 だがそれもつかの間。
 少女は気付く、彼の肩が小刻みに震えている事に。
 上着を脱ぎ、Yシャツだけになったのだから無理もない。
 嗚呼、もうこの人は。
 口には出さずそんな事を思い、スバルはおもむろに彼に手を伸ばした。
 細くしなやかな、とても日常的に鋼の拳を握っているとは思えない少女の指が青年の手首を掴む。
 同時、力を込めて彼女はグリフィスを自分の方に引っ張った。
 うわ、と青年が驚愕の声を上げた時には、彼の身体は少女に抱き寄せられていた。
 柔らかい、胸に実った果実の感触。
 甘い、短く切りそろえられた艶やかで青い髪から香る匂い。
 突如として与えられた、まるで思考と理性を蕩かすようなそれらの五感刺激にグリフィスがパニックになるのは当然の帰結である。


「ちょ、ちょ、ちょっとスバル!?」


 慌てる、青年は大いに慌てる。
 こんな場所で愛する少女と、それも先ほど愛の告白劇を演じたばかりの相手に抱きしめられるなんて、こっぱずかしいなんてもんじゃない。
 人の目がどうこうではなく、グリフィスの羞恥心は否応なく刺激され、彼はまるで茹蛸のように真っ赤になった。
 だが対する少女は頬を僅かに赤らめながらも、ごくごく自然に彼に返答をする。


「だってこのままじゃグリフィスさん風邪引いちゃうでしょ? だったら、二人であったかくならなきゃ」

「で、でも……」

「良いから」

「……」


 言葉の応酬はそれまでだった。
 背に回される少女の腕に込められた力に、それ以上の言葉を重ねても無駄だと察したのかグリフィスは無言で少女の抱擁を受け入れる。
 そして、それはまるで夢のような心地だった。
 甘い香りと、溶けてしまいそうなくらいに柔らかく温かい感触。
 少女の肉体とはここまでのものなのか、グリフィスは心中で感嘆する。
 特に胸、15歳とは思えない程に見事に美しく実った乳房の柔らかな感触と来たら、制服越しである事を恨めしく思えるほどだった。
 鼻腔をくすぐる香りもまた然り。
 さながら熟れた果実か満開の花のように、爽やかで甘き香り。
 思わず小さく鼻を鳴らして吸い込み、酔い痴れてしまう。
 できればずっとこの感触を味わいたいなんてバカげた夢想すらする。
 と、そんな事をグリフィスが思い、ふと視線をスバルの顔に向けた。
 そこにはエメラルドの輝きがあった。

714部隊長補佐と彼の子犬2:2009/05/13(水) 00:31:10 ID:gtFfdnnA
 薄暗がりでもよく分かる、少女の美しい碧眼がこちらを覗いている。
 その澄んだ眼に一瞬で魅入られ、グリフィスは心臓の鼓動が跳ね上がるのを感じた。
 ただこちらを見つめているだけなのに、なんて綺麗なんだ。と。
 そんな思慮が過ぎった直後、その美しい輝きが僅かに薄まる。
 スバルがそっと目を細めたのだ。
 肌を重ね、抱き寄せ合いながら少女が目を閉じる。
 その意味が分からぬほどグリフィスも朴念仁ではない。
 だが戸惑いはする。
 なにせ先ほど想いを告げたばかりだというのに、いきなりそんな行為に踏み入って良いものなのかと。
 故に青年は、囁くような声で問うた。


「その……良いの?」


 対する少女の答えは、無言の首肯。
 グリフィスはゴクリと音が立つくらい唾を飲み、緊張する。
 思慮は一瞬。
 決意を固めると彼は少女の白く美しいうなじにそっと腕を絡め、抱き寄せる。
 時間にすれば一瞬、だが二人にとってはとても長く感じる時間。
 そして静かに音もなく、初めての口付けが交わされた。
 そっと、ただ優しく重ねるだけの優しいキス。
 でもたっぷりと愛情の込められた、蕩けるように甘い愛撫。
 時間にすればたった数秒だったが、時を忘れてしまいそうなほどに二人は甘美な味に酔い痴れた。
 しばしの後、初めての口付けを堪能したグリフィスはそっと顔を離す。
 つぅ、と、唾液が両者の唇を繋ぎ音もなく途切れる。
 見れば、スバルはキスの余韻に瞳をトロンと潤ませていた。
 グリフィスが少女のそんな顔を、可愛いな、なんて考えた時だった。
 突如として場に眩い光が満ちる。
 電灯に、各所の電気系統に動力が戻り、隊舎が暗闇から解放された。
 これに、青年は独り言のように呟く。


「停電、直ったみたいだね」

「え?……ああ、うん」


 今まで自分たちを閉じ込めていた要因が消えたというのに、スバルはまるでそれが惜しいかのような顔をする。
 少女の浮かべた表情にグリフィスが首を傾げると、彼女はポツリポツリと、囁くような甘えた声を漏らした。


「あ、あの……」

「ん? どうしたの?」

「いや、その……もっと……」

「もっと?」


 グリフィスの問いに、少女は顔を真っ赤にして言い淀む。
 そして幾許かの間を置き、スバルは朱色に染まった顔、涙に潤んだ瞳で彼に囁いた。


「もっと……キス……して」


 甘い、耳を溶かしそうなくらいに、甘美で蕩けた哀願だった。
 こちらを見つめる潤んだ瞳と相まって、それはあまりにも強烈な破壊力を有した媚態。
 逆らう術などありはしない。
 グリフィスは言葉もなく頷いて了承すると、再び彼女のうなじに指を絡める。
 そうして再度成される口付け、甘く蕩けるようなキスの愛撫。
 今度はさっきよりも少し大胆に、少女の唇をなぞるように舌を這わせる。
 途端、その刺激にスバルの肢体が僅かに震えた。
 だが拒絶など欠片もない。
 むしろそれを受け入れ、自身もまた舌を絡めてくる。
 互いの舌と舌が絡まりあい、唾液を飲みそして飲ませ、抱き寄せ合った身体をより力を入れて掻き抱く。
 初めて感じる未知の悦楽に乙女は酔い痴れ、愛欲に従って彼を求めた。
 彼もまた、自分の愛撫を受け入れる彼女を求め甘美極まる唇を貪る。
 舌も唇も頬肉の裏も歯茎も、おおよそ舌の届くところは全て残らず愛撫し尽くす。
 激しさを増して行く口付け、舌が絡み合う水音が奏でられ空気を淫靡に震わせた。
 青年と少女は、熱に浮かされたように愛欲を貪り合う。
 と、そんな時だった。
 唐突に横合いから音が響いたのだ。

715部隊長補佐と彼の子犬2:2009/05/13(水) 00:32:30 ID:gtFfdnnA
 ドアの開く音、足音、そして男の声、三種の音が混合して空気を揺らす。


「やっとドア開いたぜー。ワワワ忘れもの〜、っと……あ?」


 現れたのは長身をツナギとフライトジャケットで包んだ黒髪の偉丈夫。
 機動六課のヘリパイロットを務めるヴァイス・グランセニックだった。
 突如として現れた彼の姿に驚き、スバルとグリフィスは僅かに唇を離して視線を向ける。
 沈黙、後にはただ沈黙だけが訪れた。
 闖入者の姿に唖然とするスバルとグリフィス、そしてそんな二人の姿に目が釘付けになるヴァイス。
 ヴァイスは見た、マジマジと。
 頬を鮮やかな朱に染めて抱き合う男女、しかも唇と唇は唾液の橋で繋がっているときたもんだ。
 理解するのにそう時間はかからない。
 ヴァイスはしばし瞑目すると、ふう、と溜息を吐いて振り返った。


「すまん、その、なんだ……ごゆっくり」


 と、だけ残し、彼は去って行った。
 ドアが閉まる音の残響が余韻と響く中、ようやく二人の意識が覚醒する。
 瞬間、スバルは顔を真っ赤にして……嘆いた。


「あああああ!! み、見られちゃったぁっ! どど、ど、どうしよう!?」

「あー、うん、もう遅いかも」

「あうう……」


 と、スバルは先ほどの情交とは違う種類の涙を溜めて瞳を潤ませ嘆く。
 なんだかその姿は叱られた子犬のようで、とても微笑ましく愛らしい。
 愛くるしい少女の見せる表情に、グリフィスの口元に自然と微笑が宿る。
 スバルは逆に不満そうに頬をプクっと膨らませ、ふてくされた顔を見せた。


「もう! 笑い事じゃないんだから!」


 と、言うと、少女は立ち上がってズカズカと部屋の外に飛び出して行った。



「も、もう寮に帰ります! サヨウナラ!!」

「あ、え? ああ……うん、さよなら」


 流石にもう情交が続けられる空気ではないだろう、スバルは一目散に立ち去る。
 それを少しだけ、惜しい、と思いつつもグリフィスは去り行く彼女を見送った。
 しかし、部屋を出る直前、ふとスバルが足を止めて振り返る。
 乙女はその澄んだ瞳に羞恥と、そしておそらくは期待を込めてグリフィスを直視。
 そして、囁くように小さな声を響かせた。


「あ、あの……今日はこんな風になっちゃった、ですけど、その……今度ちゃんと“続き”……してください」


 口付けの最中よりも頬を真っ赤に染め上げてそう言うと、スバルは足早にその場を去って行った。
 残されたグリフィスは彼女の吐いた言葉の残響を耳に受け、しばし沈黙。
 少女の言った言葉の意味を脳内で何度も何度も反芻する。
 続き、先ほどのキスの、つまりはその先、要するに……
 と、そこで彼の鼻から鮮血が迸り床を朱に染めたのだった。

 翌日、床に残る血痕に六課の職員が怪訝な顔をしたのは、また別の話。



終幕。

716ザ・シガー:2009/05/13(水) 00:36:40 ID:gtFfdnnA
ういい、投下終了。
黒くないグリフィスと可愛いスバルを堪能してくだされば結構。
あと二人がこの先、どういう感じに夜を過ごしまくるかは保管庫参照。


まあ、なんていうかね、想ったわけさ。
スバルの純愛イチャラブ分足りねえ、と。
その欲求を埋める為に夜なべして書きました。
スバルメインの話が枯渇する最大の理由は、やっぱり棒不足だと想うわけですよ。
でまあ、やっぱそうなるとグリフィスきゅんな訳じゃないですか。
世界の法則的に。
で、こうなった。

ああ、真面目に言うと前線で戦う元気娘と内勤エリートの組み合わせが萌えると想ったからです。
あと、ほんの少し眼鏡男子萌え。

717名無しさん@魔法少女:2009/05/13(水) 00:43:49 ID:YRFOmuLo
乙〜
しかし、コレとアレとが繋がる…だと!?

ないない

718名無しさん@魔法少女:2009/05/13(水) 01:03:33 ID:gL8ODigk
乙!
なんか谷口が混ざってるw

719名無しさん@魔法少女:2009/05/13(水) 01:14:12 ID:XB.icZsg
そういえばスバルものは久々に見るね
補給乙〜

720名無しさん@魔法少女:2009/05/13(水) 14:48:36 ID:DOgeFihE
>>716

乙です

しかしこれがアレつながるというのなら・・・
その前のギン姉と鬼畜眼鏡の話の「帰り道」の続き成分とか足りませんよ!
・・・うん、すみません、取り乱しました。
なんかツボだった話なので、単発では惜しいと思ったので。

721名無しさん@魔法少女:2009/05/13(水) 17:30:56 ID:uPgs/6gI
GJ!!です。
ヴァイスから情報が流れて、皆にニヨニヨされる二人が見える。
そしてギンガに電流走るw

722名無しさん@魔法少女:2009/05/13(水) 22:58:10 ID:.3TDk3Zg
GJです!

おそらくヴァイスの忘れ物は、シグナムとニャンニャンするための道具だと予想してみるw

723名無しさん@魔法少女:2009/05/13(水) 23:45:53 ID:uPgs/6gI
そんなんだったら六課の風紀が乱れまくるw
シグナムは、勤務中にヴァイスの用意したヴァイヴ挿入したまま仕事をwww
グリフィスとスバルを見て、教導間は無意識に訓練を厳しくしますw

724名無しさん@魔法少女:2009/05/14(木) 01:41:55 ID:xjY23qMw
とりあえず、いいところで中断されたまま帰っちゃったスバルさんが
その後、自室でなにやったかを描くべきだと思いますぜ

725名無しさん@魔法少女:2009/05/14(木) 20:33:27 ID:sHtLcFE2
部隊長は他の部隊の隊長とニャンニャン
スターズ隊の隊長は司所長とニャンny(ry
風紀乱れまくりですねw

726名無しさん@魔法少女:2009/05/14(木) 21:20:29 ID:rQd7HS0E
その乱れを教会や隔離施設や海鳴にも広めたいものだぜ

727名無しさん@魔法少女:2009/05/14(木) 22:52:57 ID:1wR80o8U
つまり、爛れたシリーズですね。

728名無しさん@魔法少女:2009/05/14(木) 22:57:38 ID:wLxEwRsQ
ただ乱れればそれで良いというものでもないな
普段は凛々しくキメるところはキメて、夜になるとデレるというギャップがたまらんのですよ

729サイヒ:2009/05/15(金) 19:18:10 ID:q0BUR9Kg
普段書かない系統のものとか書いてみました。

・JS通販ネタ。
・ドゥーエ姉様がウーノさんをあれやこれや。
・エロでないわけがない。
・触手・フタナリ・尻・失禁有り。
・強姦ですが陵辱というほどのもんでもないです。

730JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:19:03 ID:q0BUR9Kg
 JS通信販売会社専務兼社長秘書ウーノ。
 基本的に商品開発以外は何もやらないしやれない社長のスカリエッティに代わって、各部門への予算分配に販促
活動からホームページの作成までを一手に引き受けている敏腕社員。彼女がいなければJS通販は三日で潰れるとい
うのが、姉妹の一致した意見である。
 そのウーノが現在何をしているかといえば、縛られていた。
 山中の洞窟内にあるJS通販本社の空き部屋の一つに、椅子に座った状態で手首と足首をロープで縛られていた。
 戦闘機人とはいえ、ウーノの担当は通信や情報収集。そんな彼女に戦闘能力を付加させる理由は無く、ウーノの
腕力は普通の女性とほとんど変わらない。手足に力をこめてみるが、身を縛っているロープはびくともしない。

「……全くドゥーエは、いきなりこんなことするなんて」

 自分をこんな目にあわせた妹に文句をこぼしていると、その本人が部屋に戻ってきた。出て行った時と違って、
なにやらでっかい箱をカートに乗っけている。

「お待たせウーノ。重いから運んでくるのに時間がかかちゃったわ」
「ドゥーエ、あなた何を考えているの?」
「ちょっと新商品のテストやってもらおうと思って」
「……どうしてあなたがそれをやるのかしら」

 ドゥーエの担当は訪問販売であり、商品開発にはノータッチのはずである。

「もちろん作ったのは私じゃないわよ。クアットロが作った物」
「テストするのはいいとして、どうして私が縛られなければならないのかしら」
「逃げられたら困るからに決まってるでしょ」

 ろくでもない理由をしれっと言いながら、ドゥーエは箱からやたらと巨大な四角の物体を取り出す。
 いったい何なのか見当がつかなかったウーノだが、続いて出てきたモニタとキーボードを見て閃いた。

「……それ、パソコン?」
「せいか〜い」
「そんなものの開発計画を許可した覚えは無いわよ」

 JS通販がメインに取り扱っているのは健康器具。最近は椅子や布団といった家具の開発にも手を伸ばしているが、
パソコンはかなり畑違いである。

「だからクアットロが趣味で作ってみた物なのよ。あなたで試してみて、良かったら正式に開発ラインに乗せるっ
てことでどうかしら」
「とりあえず第一印象から言わせてもらえば、そんなに大きすぎる時点で駄目ね」

 ドゥーエが出したパソコンの本体は、ひどく大きかった。引越し用のダンボール箱と同じぐらいの大きさがある。
 何事もコンパクト化が進んでいるこのご時勢、でかいというのはそれだけで敬遠される。
 ただでさえ、スカリエッティが「インスピレーションが湧いたのだよ!」という理由で開発計画無視して作り出
す商品のキャッチコピーを考えるのに苦労しているのだ。こんな無駄にでかいパソコンを売り込むための文言を考
えようとすれば、三日は頭を悩ませなければならないだろう。

731JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:19:39 ID:q0BUR9Kg
「せめて半分のサイズにしてから私の所に持ってくるようにクアットロに言っておきなさい」
「まあまあ、この大きさにはちゃんと理由があるのよ」

 にやりと悪い予感を覚えさせる笑みを浮かべながら、ドゥーエはパソコンをセッティングしていく。電源を入れ
ると、やたら奇抜なデスクトップ画面が表示された。

「…………どうして壁紙があなたの写真集状態なの?」
「…………クアットロに訊いてよ」

 さすがに顔をしかめつつ、ドゥーエはアイコンの一つをダブルクリックする。起動した画面には「JSタイピング
ゲーム」とあった。

「OSの性能自体はそこらのパソコンと特に違わない。売りにするのがこのタイピングソフトというわけ。難易度は
そうね……ハードにしたいけど、テストだしイージーにしときましょ」

 さっそくゲームを始めるドゥーエ。細長い指が、画面に表示される文章を順調に打ち込んでいく。
 黙って見物していたウーノだが、奇妙なことに気づく。出てくる問題が『指』『へそ』『太もも』と身体の部位
ばかりなのである。
 疑問を呈する前に、ドゥーエの手が止まった。

「ちょうどいいのが出たわね」

 画面には『胸』という文字が表示されていた。
 ドゥーエはぐるりと椅子を回してウーノに向き直る。

「さてこのソフト、間違えた入力をしたり時間切れになったりするとどうなるかというと……」

 画面上の制限時間が減っていき、ついにゼロになる。

「おしおきタイムになるわけ」

 ドゥーエの言葉と同時に、パソコンの本体が異様な音を立て始めた。側面がゆっくりと開かれたかと思うと、そ
こからケーブルが何本も出てきてウーノ目指して伸びてくる。
 まとまってやってきたケーブルは、身体の手前で何本かずつに別れた。三本がウーノの制服のボタンを器用に外
していき、他は胸元を左右に広げていく。一部は手回しのいいことに、背中へ入り込んでブラの留め金を外してい
た。
 あっという間にウーノは半脱ぎ状態にされてしまった。形も大きさもほどよい乳房が、薄暗い電灯の光で白く照
らされる。
 しかしウーノは多少赤面こそすれ、心は落ち着いていた。

「……やっぱりそういうこと」
「あら、冷静なものね」
「うちの商品のやることなんて、こういうこと以外にないでしょう」

 JS通販の商品には、ことごとくこの手の機能がついている。
 そしてそれらの性能テストは社員の仕事だった。ウーノ以下姉妹全員、両手の指では足りないぐらいの回数、ス
ライムに全身同時愛撫されたり秒間十連射の高速ピストン運動受けたり性感帯に電流流されたりといったことをやっ
ていて、ずいぶんと慣れっこになっていた。
 ドゥーエが試作品を持ち込んできた時点でなんとなく予想もついていたので、ウーノに動揺は無かった。

732JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:20:21 ID:q0BUR9Kg
(……しかし、久しぶりとはいえ慣れないものね)

 肌を這い回り出したケーブルの冷たさに、ウーノは少し身震いする。
 人間の手では不可能な複数個所の同時愛撫をケーブルはやってきた。
 付け根に巻きついたケーブルは、軽く締め上げて乳房の丸みを際立たせる。決して強さは感じさせないやわやわ
とした巻きつき具合。
 中心にある桃色の突起にも、ケーブルの先端が触れてきた。軽く電気を帯びているのか、痺れるような刺激が走
る。
 しばしすると、ウーノの胸全体にむず痒さが生じてきた。しかし、快感には至らない。乳頭も縮んだままで、硬
くなりはしなかった。

「あんまり気持ちよくなさそうね」
「動きはいいけど、私はこうやって無理やりされるのはあまり好きではないから……」

 そもそも意思無き道具にイかされるというのが気に入らず、自分で慰める時でも玩具は使ったことがないウーノ
である。

「しかしご心配なく。そういうお客様のためにも、ちゃーんと対策は用意しております」

 営業用のうさんくさい口調をするドゥーエ。指が動いてマウスをクリックした。

「このアイコンを押すとJS通販謹製媚薬抽入開始となります。これを飲ませればどんなにお硬く不感症のお嬢様で
も、あっという間に淫乱雌犬に大変身」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!? いつの間にそんなものを開発…………んむぐぅ!?」

 いきなりケーブルの動きが変化した。胸に回っていた全てが、ウーノの口めがけて殺到してくる。
 慌てて口を閉じようとした時には、もう数本が口内へ侵入を果たしていた。
 スカリエッティに口で奉仕している時と似た感触。しかし喉どころか食道を通ってさらに奥まで触手は入ってく
る。
 反射的にえずくが、ほとんど喉いっぱいに埋め尽くされており侵入を拒むどころか胃液を吐くことすら許されず、
唾液だけがウーノの口元から零れた。
 内臓に何かが触れる異物感を覚えたと思った次の瞬間、胃の中にどろりとしたものがぶちまけられるのを感じた。

「うむっ…………! むぅうう!?」

 注がれた媚薬が、内臓を経由してあっという間に血に混ざる。
 気持悪い。だがそれ以上に、熱い。
 冷えていた身体に、一気に火が入った。肌が赤く火照り、吐く息の温度が数度上昇しているのが自分でも分かっ
た。ありえない速度で媚薬が全身に回っていく。
 役目を終えたケーブルがずるずると体内から這い出て行き、再度胸に取り掛かる。

「この触手ね、一度媚薬を投入したら強さが段違いに変わるようになってるのよ」

 ドゥーエの言葉通り、今度はさっきのような繊細な愛撫ではない。
 ウーノの唾液でてらてらと光ったケーブルは、全体に幾重にも巻きつきぐいぐいと締めてくる。姉妹の中でも豊
かな部類に入るウーノの胸は、大きくたわんで形を変えていく。

「くっ……はぁっ! ああぁぁ!」

 さっきと違うのはウーノの身体もだった。媚薬が回りきった胸は、全ての神経がむき出しになったように、敏感
極まる性感帯となっていた。
 一度胸が歪められる度に、びんびんと脳まで一直線に刺激が突っ走ってくる。
 乳首をぎゅっと引っ張られた時など、一瞬視界が真っ白になった。

733JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:20:54 ID:q0BUR9Kg
「ドゥ、ドゥーエ、もっと優しく……させて……!」
「無理よ。強度を調節するような機能は無いから。それに弱めたんじゃ製品テストにならないじゃない」
「そ、んな……あああぁん!」

 ケーブルはそれこそ意思持つかのように、多彩な動きを見せてきた。
 くりくりと乳首を淫猥に転がしたかと思えば、胸を締めつける力を一気に増してくる。大きく張っているウーノ
の胸はさらに突き出し、適度に丸い椀型から楕円の砲弾型へと変化させられた。血流がますます集まり、快感神経
はこれ以上ないほど過敏となった。
 攻められているのは乳房だけなのに、半端に挿入されている以上の快感が送られてくる。

(だ……め……。胸で……イかされる……!!)

 我慢の限界があっという間に来た。
 せめて声だけは出すまいと、ウーノは唾液を零している唇を必死で噛み締めた。

「んんんんーーーー!!」

 くぐもった悲鳴を上げて、ウーノは果てた。
 股の間から出た大量の愛液が、下着を濡らしぴとぴとと地面に落ちて水溜りを作る。
 役目の終わった触手は、出た時と同じすみやかさでパソコンの中へと戻っていく。解放されがっくりと頭を落と
したウーノは、ぜいぜいと荒い息を吐いた。

「たいした乱れっぷりだったわねウーノ。媚薬入れてから五分でイッちゃうなんて、そんなに溜まって
たの?」

 顔を上げると、妹がにやにやといやらしく笑っていた。今更ながらに痴態の全てを眼にされたと気づき、ウーノ
の顔に血が上る。

「……も、もういいでしょ。効果は十分に分かったわ。改善点は後で通達するから、早く解きなさい」
「本当にぬけてるところがあるわね、あなた」

 小馬鹿にしたような顔をして、ドゥーエはくくっと喉で笑った。

「新商品テストなんて嘘に決まってるでしょ」
「なっ……なんですって!?」
「ドクターの夜のお相手、あなたが独占してるのがしゃくだから仕返ししようと思ってやっただけ。仕事仕事の毎
日で男日照りなんだから、たまには貸してもらたいわよ」
「あなたにはクアットロがいるでしょう!」
「男と女は別腹なのよ。さーて、まだまだいくわよ。次は何が出るかしら」
「や、やめなさい!」

 ウーノの制止など耳もくれず、ドゥーエがタイピングソフトを進める。
 画面に次の文字が表示された瞬間、ウーノの顔から本気で血の気が引いた。

『お尻』

「じゃ、今度は後ろでたーっぷり愉しみなさい」

 ケーブルが再び殺到してくる。
 ウーノは椅子に腰掛けており尻の穴は隠れているが、ケーブルは細さを生かしてわずかな隙間からウーノのスカー
トの下に潜り込んできた。

734JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:21:36 ID:q0BUR9Kg
「や、やめなさい! 本当にもうやめて!」

 縛られているせいと絶頂直後でうまく動いてくれない腰にありったけの力をこめて、ウーノは腰を椅子に密着さ
せる。
 しかしウーノの努力を嘲笑うかのように、腰に巻きついたケーブルはウーノの身体を軽々と浮かせた。縛りつけ
られているので出来た隙間はわずかだが、一本一本が細いケーブルには十分すぎる隙間であった。
 スカートを脱がせることすらせず、下着の間から侵入を果たすケーブル。菊座にひやりと冷たく当たった物が、
拡張しようとぞわぞわと蠢くおぞましさに、思わずウーノは悲鳴を上げかけた。

「いやぁ! お願いだから……お尻だけはやめて……!」

 長女としてのプライドも何もなく、瞳に涙すら浮かべてひたすらウーノは懇願した。
 その有様に怪訝な顔をしていたドゥーエだが、何かに思い当たったのかにんまりと笑った。

「ひょっとしてあなた、後ろは処女?」
「…………っ!」

 あからさまかつ図星をついた問いにウーノは口ごもる。

「正直に答えないと止めないわよ。このままだと、あなたのお尻の穴に触手がいっぱい挿入っちゃって大変なこと
になるけど」
「…………そ、そうよ。お尻はまだドクターに何もされてないわ!」

 背に腹は変えられず、ウーノは叫ぶように白状した。

「ふぅん、ドクターのことだから浣腸プレイぐらいしてるかと思ったんだけど、案外普通なのね。まあでも、初め
てが触手っていうのもかわいそうだし……」

 ドゥーエが中断ボタンをクリックして触手の動きを止める。
 しかし顔に浮かべた笑みの酷薄さを増しながら、ドゥーエは言った。

「私がもらってあげるわ」

 ドゥーエが腰のスカートのホックを外しショーツと一緒に滑り落とす。その下には本来女性にあるはずのない、
グロテスクな肉棒があった。
 作り物の張り型ではない。表面に血管が浮き上がり、別の意思を持つ生き物のようにびくびくと脈打っていた。

「ど、どうしてそんなものがついてるの!?」
「知らなかったの? ライアーズマスクって、ある程度なら性別も変えられるのよ。さすがに孕ませたりまではで
きないけど、硬さと太さは本物以上よ。クアットロで実践済み」

 ドゥーエは獲物を見つけた蛇のように、ちろりと舌で唇を湿す。ぬらりと濡れた唇は、禍々しく光っていた。
 近づいて来た妹は、ピアッシングネイルでロープを切る。両手両足が開放されたウーノだが、媚薬の回りきった
身体は自由が利かず、逃げようと思っても手足はほとんど動かなかった。
 背中を突き飛ばされ、床に這いつくばされるウーノ。ドゥーエの手がスカートにかかる。脱がされまいと、必死
でウーノは腰を揺らして抵抗する。

735JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:22:17 ID:q0BUR9Kg
「じ、冗談はいいかげんにしなさい! これ以上したら後でひどいわよ!」
「あら、立場がよく分かってないわねウーノ」
「ひゃん!?」

 ぱしん、と音高く、尻を思い切り叩かれた。
 そのまま二発、三発と遠慮なく尻が平手打ちされ続ける。

「別に私は触手にヤらせたってまったくかまわないのよ。パソコンなんかに初めてもらわれるのは嫌なんでしょ? 
だったらおとなしくすることね」
「…………後で覚えておきなさいドゥーエ……!」

 片や触手、片やイチモツを生やした肉親ならまだ後者の方が幾分マシだと観念したウーノは、一度ドゥーエをにら
みつけたのを最後に、抗うことをやめた。
 尻叩きの手を止め鼻歌なぞ歌いながら、実に楽しそうにドゥーエはスカートを脱がしていく。

「あら、けっこう派手な下着つけてるのね。ひょっとして、今晩ドクターとお楽しみの予定だった?」
「…………」
「答えないということは図星ね」

 何を言おうが妹に嬲られる理由となってしまいそうで、ウーノは何があろうと沈黙を貫くことにした。
 しかしその決意も、ドゥーエが指を伸ばしたことによってあっという間に破れた。

「ひあっ!? どうしてそっちに触るの!?」

 ドゥーエが触れたのは尻穴ではなく、淫蜜でどろどろにぬかるんだ前の穴だった。

「あなたを思う存分犯せる機会なんてめったにないから、こっちもしておこうと思って」

 しれっと答えて、ドゥーエは無造作に二本、指を押し入れた。
 よじり合わせるようにして指が激しく蠢き、快感を生み出す。

「分かるかしらウーノ? あなたのいやらしいここったら、勝手に私の指を奥まで飲み込んでいってるわよ。この分
なら片手全部入っちゃうんじゃないかしら」
「馬鹿なこと……うああぁぁぁ……言わないで!」
「一回ぐらいやりたいけど、さすがに壊れたりしたら後味が悪いから止めておくわ。さーて、どこから攻めちゃおう
かしら」

 ドゥーエの指が蜜壺を一周する。特に子宮口付近は念入りに撫でて吟味していた。
 愛撫とは呼べない動きだが、それでもウーノは背筋が痙攣するぐらい感じてしまう。改めて、媚薬の効き目の大き
さを認識させられた。

「こことかどうかしら」

 指が的確に探し当てたのは、淫核付近にある子宮口とは違うもう一つの口。尻穴と同じく排泄のためにある穴だっ
た。
 小指の先ほども無い穴を広げるように、ぐりぐりと指が抉ってくる。尿を我慢している時の数十倍の刺激がウーノ
を襲った。同時にそれは媚薬を通して快楽を生む。

736JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:22:57 ID:q0BUR9Kg
「どう? クアットロはここをいじめてあげると啼いて悦ぶんだけど」
「ああっ……うふぅ!」
「よかった。答えられないぐらい気持ちいいみたいね」

 手前勝手なことを言うドゥーエの空いていた手が動き出したかと思うと、ウーノのへその下、膀胱を上から押さえ
にかかった。
 ぐいぐいと力いっぱい押さえつけられ、尿道を締めている筋肉が無理やり緩まされる。

「ひあっ! あんっ! やめてぇ!」
「けっこう溜まってるわね。我慢は毒よ。全部出しちゃいなさい。ほら、ほら!」

 嗜虐癖を声にも顔にも出しながら、ドゥーエは汗ばんだウーノの尻をまたびしびしと叩いてきた。
 さながら馬車馬に鞭をくれるかのように、ドゥーエは手加減無しで叩いている。尻が激しく痛むが、それ以上に膀
胱へ伝わってくる振動が効いた。
 前と後ろから同時に来る刺激に耐えられる術は無い。こらえたい意思など無関係に、決壊は即座にやってきた。

「だめ……! もう、漏らしちゃうぅぅ!!」

 黄金色の水流が、地面に向けて飛び散る。
 びしゃびしゃと地面に反射する音が、部屋中に響いた。生暖かい流れは床に着いたウーノの膝まで届き、そのまま
どんどん広がっていく。鼻を突くアンモニア臭が立ち込めた。
 必死に下半身に力を入れて尿をこらえようとしても、膀胱を容赦なくドゥーエの手が押さえつけ、一滴残らず搾り
出そうとする。
 延々と放尿が続くうち、ウーノの内側にもう一つの感覚が生まれた。
 元々、我慢していた小水を出すことは気持ちいい。本当は快感とは少し違う気持ちよさだが、ウーノの身体に回り
きった媚薬がその質を強引に捻じ曲げた。
 愉悦の波が股間にきたかと思うと、小水とは別の液体が股間から流れ出す。
 無色透明で流れにならずあちこちに飛び散る液体は、紛れもなく潮だった。尿が出終わってもそれはしばらく続き、
一滴零す度にウーノはびくびくと全身を震わせた。

「あはははは! お尻叩かれておしっこ漏らしながらイッちゃうなんて、他の姉妹が見たらどう思うかしら! 長女
失格ね!」

 ドゥーエの甲高い嘲笑も耳に入らぬぐらい、屈辱と羞恥でウーノの意思はぼろぼろだった。
 放尿が終わってもぐったりとしたままで、動こうという気力が全く湧かない。

「まさか気絶しちゃったの?……まあいいわ。起きていようが寝ていようが、私も気持ちよくさせてもらうから」

 膝を折り畳まれて、強制的に後背位を取らされる。
 他人は誰一人として、それこそ生みの親のスカリエッティでさえ触れたことのない場所へ、男性の性器が密着した。
本当なら嫌悪感で鳥肌が立つところだが、理性も体力もほとんど残っていないウーノは、ぐったりとしたままだった。

(……もうしわけありませんドクター。こちらもいつかあなたに捧げたかったのですが、無理のようです)

 ただ、自分の愛するたった一人の男への詫び言を頭の中で繰り返していた。

737JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:23:38 ID:q0BUR9Kg
「ほら、挿入れるわよ」

 前戯も何もなく、肉の合わせ目がこじ開けられ突っ込まれる。

「ぐ、は……お尻、はいってく……る!!」

 意識せずとも括約筋が異物を拒み、進ませまいと道を狭くする。
 しかし肉の槍はそんな抵抗などものともせず、捻るようにしてぐっぐっと少しずつではあるが確実に挿入ってくる。
 一寸でも進む度に、柔な尻穴が摩擦に耐えられず痛みを脳に訴える。

「くああぁぁ……! 痛い、いたい……!!」
「我慢しなさい。そのうち気持ちよくなるから」

 ついに肉棒が根元まで挿入ってしまう。
 そこでドゥーエは動きを止めたが、指より太い物が肛門に突き刺さっているというだけで、ウーノには身体が裂け
そうなぐらい苦痛だった。

「つっ……! さすがに初めては締まり具合が違うわね。挿入れただけでイッちゃいそう……!」

 ドゥーエの声もどこか苦しそうだったが、底には愉悦が滲み出ている。かすかだが腰を揺らして快感を愉しんでい
る余裕すら見えた。ウーノには、わずかな振動ですら苦しい。
 しばらく部屋には、姉妹の漏らす熱い吐息の音だけが響いた。

「……休憩終わり。本格的にいくわよ」

 宣言から一拍置いて、ドゥーエはそれこそ遠慮も何も無く動き出した。
 強さは最初の比ではない。尻どころか喉元まで突っ込まんとばかりに、勢いをつけては貫いてくる。
 それだけのことをされても、初々しい尻穴は肉棒を受け入れない。串刺しにされる度に力が勝手に入って、握り潰
さんとばかりに肉棒を締めつけた。その分だけウーノの感じている痛みも増す。
 だが、微妙に痛み以外のものが生まれつつあった。痛み以上に熱くて、そのくせどこかに甘さを感じさせている感
覚。
 媚薬で徹底的に興奮させられた神経が感じ取っているもの。それがなんなのかウーノが気づく前に、ドゥーエが叫
ぶような声を上げた。

「くぅっ! もう出ちゃうわ!」
「あ、あなたなにを……あああぁぁぁ!?」

 尻の中に、灼熱の液体がぶちまけられた。
 液体を吐きながら暴れまわる肉棒の感触は、直腸だけでなくウーノの脳まで捏ね回す。
 熱い液体が擦られ過敏になった肉壁に染み込んできて、じんじんと疼く。
 疼きは即座に快感へと変化した。あれほどあった痛みが、全て快楽へと書き換えられていく。
 酩酊感によだれを零しそうな口を開いてウーノは言った。

「はぁ、はぁ……でないって、いったじゃない……」
「孕ませられないとは言ったけど、出ないなんて一言も言ってないわよ。まあ、出てるのは精液じゃなくて愛液あた
り。……だからね、男性と違って打ち止めなんて無いのよ」

 また激しい前後運動が再開された。出されたばかりの液体が撹拌され、ぐちょぐちょと卑猥極まる音を立てる。

「ほら、何回でも出してあげるからあなたも好きなだけイッちゃいなさい!」

 言っているそばから二発目が発射された。しかも出しながら腰の動きはちっとも止まらず、潤滑液を得て滑らかさ
を増した体内を蹂躙し続ける。

738JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:24:14 ID:q0BUR9Kg
「はうぅ……! あなた、早漏すぎるわよ……!」
「はっ、そんなこと言える余裕がるなんて、自分もすっかり愉しんでるんじゃない。いいわ、もっと感じさせてあげ
る!」

 軽口の代償は高くついた。
 突かれるに合わせて揺れていた乳房が、ぐいっと鷲づかみされる。前の穴にも手が伸び、指が三本も突っ込まれた。

「あ、んんんーー!!」

 胸全体が握り潰されんばかりに揉みしだかれ、蜜壺に溜まった愛液が分泌する端からかき出される。皮を自分で持
ち上げるぐらい充血しきった宝珠も、指の腹で徹底的に揉み抜かれる。
 頭の中がスパークした。一回来たと思えば、一秒の間もなく二回、三回と続く。絶頂の連続で、もはや果てている
時間の方が長い。
 ウーノの意識は半分飛びかけていたが、気を失いかけるのを見計らったようにドゥーエが尻に出していく。
 初めての交わりを体験んしている菊門は、膣以上に射精に敏感だった。出される度に律儀にそのことを脳に送り届
けて覚醒させる。

「あ……あくぅ……また、でてるぅ!!」

 出されすぎて入りきらなくなった液体が、尻からごぽごぽと漏れていく。床に出来た尿の水溜りに混ざって、さら
に床を汚した。

「そろそろ、ラストいくわよ!」

 胸、膣、尻。三ヶ所を攻める動きが一番強くなる。与えられる快感が天井知らずに上がっていき、脳神経を焼き切っ
た。

「ほらっ! 出すわよ! あなたも一緒にイッちゃいなさい!!」
「ああああああーーーー!! イくぅぅっっ!!」

 全身を突っ張らせながら、悶え啼くウーノ。ドゥーエもウーノの尻をがっちり掴みながら、これまでで最大の量を
出していた。
 やがて肉棒が少しずつ縮んでいき、尻から抜けた。
 支えを失い、ウーノは垂れ流した液体の中にぐったりと顔を突っ伏した。

「じゃ、初物ご馳走様でした。自分が出したものの後片付けはよろしくね」

 一方元気なドゥーエは、ひらひらと手を振りながら扉の向こうへ消えていった。
 小さくなっていく妹の靴音を聞きながら、ウーノは肩を震わせていた。屈辱ではなく、どす黒い怒りで。

「ふふふ……本当に好き勝手やってくれたわねドゥーエ」

 首だけを持ち上げ、次女が去っていった扉にウーノは押し殺した声と激しい視線を叩きつけた。

「見てなさい。私を怒らせたらどうなるな、思い知らせてあげるわ……!!」

739JS通販のとある一日:2009/05/15(金) 19:24:50 ID:q0BUR9Kg
          ※




 JS通販営業部門主任ドゥーエ。
 訪問販売という名の押し売りで商品を売りつけるのが仕事。巧みな演技とぎりぎりの色仕掛けで、会社の売り上
げに大きく貢献している。
 そのドゥーエが現在何をしているかといえば、縛られていた。
 両手を天井からの鎖に縛られ、強制的に立たされた状態で拘束されていた。
 そして、目の前では姉がやたら無表情で立っている。

「先日あなたの見せてくれたパソコン。正式に開発ラインに乗せることに決定したわ」

 そう言ってウーノは傍らの机に置いたパソコンを指差す。すでに起動しているパソコンは、クアットロが作った
物と本体もデスクトップもずいぶんと違う。
 ただ一つ、起動しているタイピングソフトだけが同じだった。

「だけどやっぱりあの大きさは問題でしょう。だからドクターに改良してもらったら、大きさは二分の一、適用単
語は五倍にまで増量してくれたわ。やっぱりあの人は天才ね」
「そ、それはすごいわね……」
「タイピングソフトの仕様も修正。間違えたらじゃなくて、正解したらご褒美ということで色々するようにしたの
よ。ほとんど完成してあとは売り出すだけなのだけれど」

 淡々と話していたウーノが、そこで一度言葉を切った。
 重苦しい沈黙とこれから起こりえる未来図により、ドゥーエの背中に冷や汗が流れる。

「販売前にいつもどおり、誰かでテストしないとね」

 一気に口元を吊り上げ、ぞっとする笑みを浮かべるウーノ。

「だ、だったらクアットロにしない? ほら、直接の開発者の方が色々と意見が出せるから……」
「訪問販売するあなたが体験すれば、お客様に売りつける時に実体験からくるリアルな内容を語れると私は判断し
たのよ。ドクターに許可も取ってあるわ」
「だったらより多様なデータを集めるためにお子様体型のチンクとかに……」
「これは命令よ。私は専務。あなたは平社員。異論は認めないわ」
「パワーハラスメントよ! 訴えてやる!」
「悪あがきしていないでそろそろ観念しなさい。大丈夫、あなたが壊れる前には止めてあげるから」

 姉妹中最速のタイピングが目で追うのも不可能なぐらいの速度で文字を打ち込み、立て続けに問題をクリアして
いく。

『連続絶頂』『イラマチオ』『肛姦』『お漏らし』『スパンキング』『二穴攻め』『荒縄』『種付け』

「どう見ても仕返しじゃない!? しかも種付けって…………ひゃああああああん!?」




 二人が入った部屋からは丸一日、悲鳴と嬌声が途切れることはなかったという。




          終わり

740サイヒ:2009/05/15(金) 19:26:06 ID:q0BUR9Kg
以上です。
通販会社なのになんで訪問販売もやってんだよと訊かれると困る。
きっとウーノが宣伝費ケチってるせいで、ドゥーエさんが一軒一軒回って商品勧めてるんでしょう。


>保管庫司書の皆様
お手数ですが拙作「あの日見上げた空へ」の本編及び外伝、保管庫からの削除をお願いします。

身もふたも無いぶっちゃけ話をすると、書いてるうちにあれも入れたいこれも入れたいという構想がどんどん増えてきて、
「現状に付け足すよりも一から書き直した方がよくね?」という状況になったもんでして。

再開を楽しみにしてくれていたみなさんには大変申し訳ないです。半端なことして本当にごめんなさい。
ハーレム時空の次世代話が終わったら、タイトルもプロットも変えて一から書き直そうかなとは思ってるんですが、
どう早く見積もっても半年以上先のことになりそうで、その頃には完全に書く気を無くしてる可能性もありますんで、
あまり期待しないでください。

741名無しさん@魔法少女:2009/05/15(金) 21:02:16 ID:fvD3GC7k
ふぅ・・・・・
GJ!
ウーノもクアットロも弄んでしまうドゥーエ姐さんに乾杯

742 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:45:29 ID:fUgnlRj6
ちょいと書かせていただきます。

・JS事件でスカが勝利したら…のIF
・主役はフェイト
・なのはを人質に取られてスカの軍門に下らざるを得なくなったフェイトの苦悩
・変わり果てたなのは…注意
・エロ
・ちょいと鬱っぽいかな〜と
・NTR
・オリ出る

743取らぬ狸の皮算用 1 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:46:44 ID:fUgnlRj6
 恐怖のマッドサイエンティスト・ジェイル=スカリエッティ率いる一派は、恐るべき古代兵器、
『聖王のゆりかご』を目覚めさせ、その力によって時空管理局を全滅させてしまった。
 辛うじて生き残った者も多くが捕虜にされ、ある者は殺され、人体実験の材料にされ、またある者は
スカリエッティの下で働かざるを得なくなってしまった。

 世の中には『勝てば官軍』と言う言葉があるが、まさにその通り。スカリエッティ一派の
勝利によって彼等が正義となり、旧管理局は悪とされてしまったのであった。

 元管理局執務官フェイト=T=ハラオウン。彼女もまた愛する人『高町なのは』を
人質に取られ、スカリエッティの軍門に下らざるを得なくなってしまった。
 そしてフェイトはスカリエッティの私兵として、スカリエッティの邪魔になる存在を
闇に葬って行かざるを得なかった。無論、その中には旧管理局の生き残りも大勢いた。
 かつての仲間を殺さねばならない事に罪悪感を感じながら…フェイトはそれを続けるしか無かった。

 それから数ヶ月の時が流れた後、フェイトはスカリエッティに直訴した。

「教えて! なのはは…なのはは無事なの!? なのはと会わせて! お願い!」

 フェイトはなのはを心配していた。管理局の敗北が確定し、スカリエッティ一味によって
囚われて以来離れ離れになり、フェイトはなのはの姿を見ていない。そして、口では
なのはは人質としてフェイトとは別の場所に軟禁されていると言う話こそ聞いていたが
本当になのはが無事なのか………心配していた。

「まさか…まさかなのはを変な実験や改造の材料に…。」
「ハッハッハッハッ! 大丈夫だよ! 心配する必要は無い! なのは君は五体満足かつ元気だよ!」

 笑って答えるスカリエッティではあるが、フェイトは信じられず睨み付ける。
そんな時、スカリエッティはウーノから何かの通信を受けていた。

「何? ふむ…そうか…。ならば丁度良い。見たまえ! なのは君の元気な姿を!!」

 スカリエッティが勢い良く手を上げると同時に、彼の隣の空間にモニターが出現し、
そこから映像が映し出された。そこには紛れも無くなのはの姿が映し出されていたが…

「なのは!」
『ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…。』

 映像とは言えなのはの顔を見て一瞬安心したフェイトだが、何か変だ。
 まるで何かに苦しみ、喘いでいる様な…………。そしてフェイトは気付いた。
なのはの腹部が妊婦の様に大きく膨らんでいたのである。妊婦の様に…………?
 フェイトが嫌な予感を感じた直後………それは起こった!

744取らぬ狸の皮算用 2 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:47:37 ID:fUgnlRj6
『オギャー!! オギャー!! オギャー!!』
『ドクター! 産まれました! 産まれましたよ! 元気な男の子です!』
「な…………………。」

 それを目の当たりにした時、フェイトは信じられなかった。無理も無い。ずっと会いたかった相手…。
愛していた相手………。そのなのはがフェイトの知らない間に妊娠しており、その膣口から子供が
産まれせり出て来る光景を見せられてしまったのだから……………。しかもその赤子は
金色の瞳に紫色の頭髪をもっていて………………

 そしてフェイトはある事を思い出す。スカリエッティが各ナンバーズに自身のクローンを
植え付けていた事を……………

「お前まさかなのはにまで自分のクローンを!?」
「君は何か勘違いしている。なのは君が産んだ子供は確かに私の遺伝子を受け継いではいるが…
決してクローンの類では無い。同時になのは君の遺伝子もまた受け継いでいるのだ。」
「え…………?」

 冷静に答えるスカリエッティにフェイトは愕然とした………。

「ま…まさか……………なのはに………自分の子供をを………?」
「如何にもその通りだ。」
「………………………………。」

 フェイトがこの世で一番愛していたなのはが…この世で一番憎んでいたスカリエッティの子供を
産んでいた………。しかし、そこでフェイトは何かの違和感を感じた。

「何で!? 何故なのはに自分の子供を…!? 自分の後を継ぐ者が欲しければクローンで良いはず!
そしてお前にはそれが出来るはず! それになのははお前が評価しそうな特別な物は何も無い! ただの人間だよ!」
「だからだよ。辺境の田舎世界でごく平凡な両親の間に生まれ、ごく平凡に育ったはずの彼女が
管理局でエース・オブ・エースの異名で呼ばれる程にまでなった。この点に私は惹かれた。
所詮私のクローンを作った所で、私と同じ能力の存在が誕生するだけで私を超える事は出来ない。
だが……私と彼女の子供……………ならばどうだ?」
「だからなのはに自分の子供を産ませたと!? でも…お前なら遺伝子操作や人工授精、その他
色々な方法を使えたはず! なのに……なのに何故………何故なのはに直接産ませる様な事を……。」

 そうだ。スカリエッティは生命操作の権威とも言える優秀な科学者である。彼がその気になれば
自分の遺伝子になのはの遺伝子を組み込んでより強力にしたクローンを作る事も可能であろう。
なのに何故………なのはに直接子供を産ませると言う非効率な手段を取るのか信じられなかった。

745取らぬ狸の皮算用 3 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:48:31 ID:fUgnlRj6
「確かに彼女に直接我が子を産ませると言うのは非効率であろうな。その子供が持つ資質としてもそう。
あのプレシア=テスタロッサとその娘アリシアの例を見れば分かる通り、必ずしも優秀な子が
誕生するとは限らない。それなら私となのは君の遺伝子をそれぞれ組み合わせたクローンを
作る方がよっぽど効率的だ。だが………私はその非効率な所から発生する新たな可能性に
賭けたのだよ。既に前述した通りなのは君は何の改造処置を受けずにあれだけの力を
手にした存在…。まさに天然自然の神秘。そんな彼女に変な改造やらと言った手を
加える事はむしろ冒涜だ! だからこそ………私もまた科学的手法を取らず、
自然な方法による生殖によってなのは君に我が子を産ませたのだよ!」
「自然な方法……まさか……………なのはを…………抱いたの………?」

 それはフェイトにとって恐るべき事だった。あのなのはがスカリエッティに対して股を開き…
抱かれ…SEX…。そしてスカリエッティに抱かれたままよがるなのは…………
想像するだけでフェイトはやるせなく…青ざめて行く。

「とは言え…なのは君が我が子を孕むまで毎日毎日続けるのは流石の私も骨が折れたよ。おかげで
体重が2〜3キロは落ちた物だ。こんな事なら日頃からもっと運動して体力付けておくんだったな…。
だが、その代わりなのは君の肢体は全て知り尽くしたぞ。」
「そんな……嘘だ! 幾ら囚われの身になったとは言え…なのはがお前の子供を産むはずが無い!」

 そう。フェイトの知る高町なのはなら間違いなくそんな事はしないだろう。フェイトやその他、
沢山の仲間達の裏切りになるのだから……。しかし………スカリエッティは笑っていた。

「ハッハッハッハッ! 彼女はエース・オブ・エースと言う異名の他にも、白い悪魔だの何だの
呼ばれ恐れられていた側面もあったそうだが……その本性は実に仲間思いの心優しい女性じゃないか。
我々が捕虜にしていたなのは君の仲間の命の保障を約束し、その通りにしてやればあっさり私に股を開いたよ。」
「ひ………卑怯な!!」

 なのはの優しい心を逆手に取ったスカリエッティの卑劣な手段に対し、フェイトは怒りを覚えるが…

「卑怯とは酷い言い草だな。確かになのは君の仲間の無事の保障を約束していながら、その約束を
あっさりと破るのは卑怯かもしれないが、私は決して破ってはいないよ。きちんと彼女の要求通りに
仲間の無事を保障した。だからこそなのは君も快く我が子を産んでくれた。言わば等価交換と言う奴だ。」
「そん…………な…………。」

 フェイトはショックの余り、その場に跪いてしまった。フェイトは人質とされたなのはの身を案じながら
今日まで屈辱に耐えながらスカリエッティの下で戦って来たと言うのに………そのなのはは
他の仲間の無事を保障してもらう為とは言え…スカリエッティの子供を産んでいた。
しかも………なのはがスカリエッティの子供を出産する所をまじまじと見せられて………。
 フェイトはもう………頭がどうかなってしまいそうだった………。

「さて、我が子も無事誕生した事だし。私もこれから忙しくなるぞ。と言う事で私はもう行くからな。」
「畜生………畜生………畜生…………。」

 スカリエッティが立ち去った後も、フェイトはその場ですすり泣く事しか出来なかった…。

746取らぬ狸の皮算用 4 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:49:18 ID:fUgnlRj6
 それからしばらくし、フェイトはなのはの軟禁されている部屋に訪れていた。そして久々の
再開を喜び合う余裕さえ無いとばかりになのはの手を引張っていた。

「なのは! 私と一緒に逃げよう!? こんな所にいたら私達本当にダメになっちゃう!」

 もう耐えられない。これ以上スカリエッティの下で働かねばならぬと言う屈辱は耐えられないし、
それ以上になのはが仲間の命を保障してもらう為とは言えスカリエッティの子供を産んだと言う事が
フェイトには我慢出来なかった。しかし………

「逃げるならフェイトちゃん一人で逃げてよ。私はここに残る…。」
「え!?」
「だって逃げ切る自信なんて無いし…何よりあの子を見捨てる事なんて出来ないよ…。」

 なのはは隣に置かれたベビーベットで眠っていた赤子を見つめていたが、フェイトはなおも引っ張った。

「あんなのどうだって良いじゃない! だってアイツの子なんだよ! スカリエッティの子なんだよ!
どうせロクなのになるはずがない! あんなの放っておいて逃げようよ!! どうせスカリエッティだって
父親の自覚を持つはずが無い! 単なる実験動物程度にしか思って無いって!」
「いい加減にして!!」

 次の瞬間、なのはの平手打ちがフェイトの頬に勢い良く叩き付けられていた…

「エリオやキャロ…その他色んな身寄りの無い子供達の世話をしていた事のあるフェイトちゃんの
言葉とは思えない! 確かにこの子はジェイルの血を引いてるけど……決してクローンじゃない!
同時に私の血も引いた私の子供なの! だから私はこの子を見捨てる事なんて出来ない!
あの子に酷い事を言うのは…例えフェイトちゃんでも許さない!!」
「………………!!」

 フェイトは絶句した。なのはがスカリエッティの事をジェイルと名前で呼んでいた事もそうだし、
そしてスカリエッティが産ませた赤子を自分の子供として認識し、擁護する発言を取った事…
その為ならフェイトを拒絶する事も構わないと言わんばかりの発言等…フェイトには信じられない事だった。

「オギャー!! オギャー!!」
「あ! ごめんね坊や。ちょっとうるさくしちゃったね。それともお腹空いちゃったのかな?
じゃあこれからママがおっぱいあげるからね〜。」

 先程までフェイトに対して怒っていたと言うのに、赤子が泣き出した途端になのはは表情を変え
赤子を優しく抱き抱えていた。そして自身の服を捲り上げると共にその豊満な乳房を露とし、
赤子は乳首に吸い付きお乳を吸い始めた。なのはがその赤子にお乳をあげる姿…
それもまたフェイトには信じられない事だった…………。

747取らぬ狸の皮算用 5 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:50:35 ID:fUgnlRj6
「な…なのは! それで良いの!? 本当に良いの!? アイツは…アイツはユーノを殺したも
同然の相手なんだよ! ユーノを殺したも同然の相手の子供を産んで…育ててるなんて…
天国のユーノが見たらなんて思うかな!?」
「フェイトちゃん………私がユーノ君と少し話をしただけで嫉妬してたのに…こういう時は
ユーノ君を引き合いに出すなんて…都合の良い事だよね?」
「な…のは…?」

 フェイトの必死の訴えの中…なのはは不思議と冷静だった。

「私だってフェイトちゃんの言いたい事が分からないわけじゃない…。あの時…魔力が完全に封じられた
ゆりかごの中で、私は本局が陥落して行く様をただ黙って見ている事しか出来なかった………。
あの炎に包まれて砕け散って行く本局の中にはユーノ君もいた事も分かってる…。そして生き残った私は
こうしてユーノ君を殺したグループのリーダーのジェイルの子供を産んだ………。本当に天国って所が
あったら…ユーノ君や皆は私の事…怒ってるかもね………。でも良いよ…。どうせ私地獄行きだから…。
皆を守る為に管理局に入ったのに…教導官として皆を強く育てようって頑張って来たのに………
結局多くの人の命を奪った極悪人の時空犯罪者の子供産んじゃうんだもん。地獄行きにならないはずが無い。
だから私はジェイルと一緒に生きるよ。逃げるならフェイトちゃん一人で逃げてよ…。」
「なのは……………!?」

 直後、フェイトは気付いた。なのはの左手の薬指に綺麗な指輪がはめられていた事を…………。
そして同時に悟る。もう自分の知るなのははいないのだと…なのはは完全に変わってしまったのだと…。
フェイトの愛したなのはは…完全にスカリエッティに寝取られてしまったのだと…………

「私が馬鹿だった…。こんな下衆を今まで心配して辛い目にあって…馬鹿馬鹿しい!!」

 直後、フェイトはバルディッシュを振り上げ、その魔力光の刃がなのはへ向けられていた。

「フェイトちゃん!? 何をするの!?」
「お前はなのはじゃない! なのはの形をしただけの…ただのスカリエッティの人形だ!!」

 フェイトの目からハイライトが無くなり、目から涙を流しながらバルディッシュをなのはへ
向けて振り下ろした! なのはは思わず身を挺して我が子だけは何とか守ろうとするが………
直後、赤い光のワイヤーがフェイトの身体を雁字搦めにして動きを封じていた。

748取らぬ狸の皮算用 6 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:51:22 ID:fUgnlRj6
「お痛は良くないな。」
「うっ! 離せ! 離せぇぇぇ!!」

 光のワイヤーでフェイトの動きを封じたのは誰でも無いスカリエッティ本人。
そしてフェイトがそれから脱しようともがく中、スカリエッティは我が子を優しく抱き抱えていた。

「見たまえ。私に似て賢そうな子供だろう? しかも検査の結果ではなのは君譲りの
強力なリンカーコアまで備えていると言う事が分かった。ほ〜らパパでしゅよ〜。」
「キャッキャッキャッ!」

 まるでフェイトに見せ付けるがごとく、スカリエッティは抱いた我が子を優しく揺らす。
そして赤子もまたスカリエッティがパパだと分かるのか、喜んでいた。

「とは言え…凄い物だな。培養槽の中で人工的に生を受け…その道の研究を続けて来た私としては
この様になのは君が自らの体内で新たな命を生み出すと言う行為が逆に不思議でならない。
大自然の神秘とはまさにこの事だな。私にもまだまだ学ぶ事は多そうだ。」
「そんな神秘って………。別にこういうのって普通だと思うけどな私は…。」

 子供を作る為に何度も行為を重ねる間に何かあったのか、フェイトの知らぬ間にすっかり
仲良くなっていた二人の姿にフェイトは絶望せざるを得ない。しかもフェイトは暴れたくても
光のワイヤーによる束縛から逃れる事が出来ないのである。

「次は女の子が欲しい所だな。君の様に美しい…………な。」
「う〜ん………自信は無いけど……頑張ってみるよ。」
「うあおおおおお!! 見せるな!! 私に見せ付けるなぁぁぁぁ!!」

 それはフェイトにとってまさに地獄だった。赤い光のワイヤーによって動きを封じられ、
身動きが取れない状態でなのはとスカリエッティが愛し合う様を見せ付けられる苦しみ………

 一番愛していた相手が、一番憎かった相手に寝取られる………それがフェイトには悔しくて悔しくて…

            やがて………考えるのをやめた…………

749取らぬ狸の皮算用 7 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:53:22 ID:fUgnlRj6
「…とまあ…私が天下を取った暁にはこの様になっていただろうな…。」
「……………そんな下らない話を聞かせる為に…態々私を呼んだの………?」

 軌道拘置所内の面会室にて、小さな穴の空いた強化ガラス製の壁を挟んで座るフェイトそんと
囚人服姿のスカリエッティの二人の姿が見られた。

 説明しよう! 今までの流れは全て『ゆりかご作戦が成功していたら…?』と言うIFに
基くスカリエッティの一大妄想だったのである!!

「ま…まあ…お前が何を妄想しようが勝手だけど…態々なのはに子供産ませる妄想を私に聞かせるって…何?」
「だってそうじゃないか! 君はなのは君にアブノーマルな感情を抱いていると言うが、その状況で
君が一番憎んでいるであろうこの私がなのは君を寝取ったらまさに君は涙目! それがまた痛快爽快!」
「ふざけるんじゃない!!」
「ほら! 今の時点で充分涙目になっているじゃないか!」

 笑いながら語るスカリエッティにフェイトそんは涙目。だが、フェイトそんは涙目のままこう切り返した。

「でもね………今の状況見れば分かるけど、ここは軌道拘置所。そしてお前は軌道拘置所に拘束されてる身。
分かる? お前達は……管理局に敗れたの。管理局に勝てもしない内から勝った後の事を考えるなんて…
そういうのはね、なのはの故郷じゃ『取らぬ狸の皮算用』って言うんだよ!!」
「うむ……まさに君の言う通りだ。しかし、レジアスの例がある通り、管理局と言えども全員が
聖人君子ではあるまい? 恐らく私の科学をこのまま腐らせるのは勿体無いと考える奴もいるはずだ。
そして管理局に力を貸すと言う条件で私を釈放…なんて事もあり得るのかもしれない。」
「おい…………。」

 また変な妄想を始めたスカリエッティにフェイトそんは呆れるが…彼の妄想は続く。

「そうなった時こそチャンスだな。私の科学を利用しようと考える局員がいたとしても、私の危険性は
よく分かっているはずだから、それを未然に防ぐ為に監視役を置くはずだ。そしてその監視役に選ばれるのが
なのは君だ。彼女の前には流石のこの私もあっと言う間に尻にしかれて悪さが出来なくなってしまうからな。
いや、上手く行けば政略結婚…………なんて事も出来たりしてな…。こういう展開…ありだろう?」
「ねーよ。」

 軌道拘置所に拘束されてもなお妄想力旺盛なスカリエッティにフェイトそんは呆れる他無い。

「と言うかね、お前の言う事はどれも誇大妄想。リアリティが無いんだよ。」
「そうか? なら君の口からリアリティのある話を聞かせてもらおうか?」
「え!?」

 まさかこう切り返されるとは思わなかった。フェイトそんは慌てて考えるが……

「そうだね…ウーノかクアットロあたりが事務的能力を買われて無限書庫に登用、
そこでユーノと良い仲になってそのまま結婚…とか、もしくはドゥーエが聖王教会の偉い人を
騙くらかして聖王の遺灰だか何だかをかっぱらったみたいに無限書庫に潜入してユーノを
騙くらかして何か必要な文献をかっぱらおうとするけど、逆にユーノの人柄に惹かれてって、あんた達を
裏切ってユーノと結婚…とか? これならなのはからユーノを遠ざける事が出来て一石二鳥だしね。」
「ふざけるなぁぁぁぁぁ!! そんな事は私がさせないぞぉぉぉぉ!!」
「わっ!」

 自分の妄想を棚に上げ、突然涙目になったスカリエッティがそのまま強化ガラスの壁に
体当たりを仕掛けて弾き返されると言う事もあったが……………今日もミッドチルダは平和。

                    おしまい

750 ◆6BmcNJgox2:2009/05/15(金) 23:54:24 ID:fUgnlRj6
この手の展開でなのはが苦悩するってのは既に何度もやったんで、今度はフェイトの苦悩を描いてみまちた。

751名無しさん@魔法少女:2009/05/16(土) 00:04:40 ID:bmH0T2iE
>>取らぬ狸の皮算用

えーい。なんでこのタイトルではやての出番がないのかっ!?

しかしGJ。
このスレのスカさんは本当に憎めない人になってしまった。
(「負け犬」除く)

752名無しさん@魔法少女:2009/05/16(土) 00:38:16 ID:OW5MU86M
GJ!!です。
このスカ博士は、アホだけどなんか脱出の手段をもってそうなのがいいw

753名無しさん@魔法少女:2009/05/16(土) 09:05:34 ID:9unGLeq6
できれば「生む機械になってしまった」の台詞をいれてほしかったw

754名無しさん@魔法少女:2009/05/16(土) 16:56:30 ID:mf2FfyLY
>>750
あいかわらずこのスカリエッティはダメだああwwwwww

たぶんウーノあたりに尻にしかれるな

755ザ・シガー:2009/05/16(土) 23:38:09 ID:d.S.7LY6
>サイヒ氏
ああ、やっぱ姉はエロイ。
ウーノとドゥーエはナンバーズでも群を抜いてエロいわぁ。
そんな姉同士が絡むなんて……ゴクリ
しかし『種付け』だけはやめたげてww
あとドゥーエ姉、そんなに男が欲しいんならよりどりじゃねえのか。
例えばほれ、>>74の詞ツツリ氏のSSのようにだね(ry

と、ともかくGJっした。
でも最近ちょっとだけ不倫時空のカリムさんが恋しい。


>>6Bmc氏
あなたって人は毎回毎回ww
というか地の分で、フェイトそん、とか本当に吹きますww
投下乙でした。


さて、では俺も投下させてもらうかな。
非エロ・長編・『偽りの恋人』の第五話です。

756ザ・シガー:2009/05/16(土) 23:41:32 ID:d.S.7LY6
偽りの恋人5


 晴天、その日は雲一つない、最高に気持ちの良い青空。
 天空を見上げれば、それは心をどこか空の彼方まで連れて行ってしまいそうなくらいに青く、どこまでも澄んでいた。
 そんな青の中に、太陽の光を受けて眩く輝く金色があった。
 幾筋もの金の糸が風に舞い、甘く芳しい香りを大気に溶かす。
 黄金の輝きの正体、それは長く伸ばされた少女の髪だ。
 少女は青空の蒼穹よりさらに青い色の、古来よりベルカ騎士の纏う防護服として騎士甲冑と呼ばれたものを纏っていた。
 各所に施されたレースや膝下まであるロングスカートと相まって、それはさながら上品なドレスのようなデザイン。
 だがそれが単なる華麗な衣装でない事は、彼女が腰に下げた二振りの剣型デバイスを見れば明らかだろう。
 そして優雅な騎士甲冑を着込む主もまた、それに劣らぬ美貌を持つ少女。
 乙女、名をソフィア・ヴィクトリア・ルイーズ。
 この日この場所、機動六課の訓練場にて愛の名の元に決闘を演じる気高き乙女である。
 海上に設けられた機動六課訓練場、その広い金属製の床板の上に立ち、ソフィアは一点の曇りなき晴天を静かに見上げていた
 凍りついたような冷たい色をしたアイスブルーの瞳に空の青が映る。
 その様はどこか幻想的で、どこか浮世離れした美しさを有していた。
 と、そんな彼女の隣りにはもう一人の少女、この戦いでソフィアの相棒は務める機動六課隊員、ティアナ・ランスター。
 意志の強さを感じる澄んだ瞳、丁寧に手入れされている事を伺えるオレンジ色の綺麗な髪を二つに結い、両手に銃型のデバイスを持った美しい少女だ。
 これから始まる戦いに緊張を感じているのか、ティアナはやや硬い表情を見せている。
 だが、そこで視線を隣りのソフィアに向けて、少女は思わず息を飲んで見惚れた。
 と、そこで目の端に映った人影に、ティアナがふと声を上げる。


「来た、みたいですよ」


 ティアナの声はやや硬く、そして瞳もまた揺らいでいた。
 それが愛故だという事を知る騎士の少女はすぐさま事情を察する。
 彼女の声に、ソフィアは輝く金髪を揺らして視線をそちらに向けた。
 そこには恋敵の狙撃手、そして自分が愛する凛々しい女騎士が並び立ち、こちらと同じく視線を投げ掛けていた。
 いつものツナギとジャケットを羽織った偉丈夫、機動六課のヘリパイロット兼狙撃手、ヴァイス・グランセニック。
 そして白を基調とした騎士甲冑にたおやかな肉体を身を包んだ美女、機動六課ライトニング分隊副隊長、剣の騎士そして烈火の将の名を持つ誇り高きベルカ騎士シグナム。
 この麗しき容貌を持つ女騎士こそが、本日この場で行われる模擬戦の事由。
 彼女の凛々しく誇り高い騎士としての姿、そして女神のように美しい美貌が同性の壁を越えソフィアを恋に落とした。
 それが全ての始まり。
 中空で交錯する二人の騎士の瞳。
 シグナムの濃い蒼、ソフィアの凍りついたようなアイスブルー、二つの青が見詰め合う。
 空の蒼穹と相まってそれはある種、一個の芸術的な美の形だった。
 愛する者、されどこの日打ち倒さねばならぬ尊敬する上司。
 シグナムを見つめるソフィアの瞳には様々な感情が入り混じっている。
 だがそこには“迷い”の二文字だけはない。
 と、そこで美しき金髪の少女は眼前の二名に頭を下げ一礼した。


「ヴァイス陸曹、シグナム隊長。本日は私の申し出を受け入れて頂き、ありがとうございます」


 礼儀正しく礼を述べ、少女は静かに顔を上げる。
 さすれば、少女の顔と眼差しは先ほどまでの美貌とはまるで別種のものへと変わっていた。
 鋭い、それはまるで磨きぬかれた剣の如き瞳。
 戦い、そして勝利を掴む事を決意した力強い眼光だった。
 顔を上げた少女はそのまま腰に下げた剣に手を伸ばす。
 瞬間、銀色の閃光が翻ったかと思えば、ソフィアは二振りの愛剣を抜剣。
 天より注ぐ煌めく陽光を受けて二つの刃は鮮やかに輝き、鋭い白刃が現れた。
 麗しい少女騎士は凛と双剣を構え、その澄んだ声を紡ぐ。


「では、どうか全力でお願いします。私も全身全霊で参りますので」





 涼やかな風が頬を撫でる中、機動六課の訓練場に五人の男女が佇む。
 ソフィアとティアナ、そしてシグナムとヴァイスの二つのタッグチームだ。
 向かい合って立つその両チームの間には栗色の髪をサイドで束ねた少女、機動六課スターズ分隊隊長、高町なのはの姿。

757偽りの恋人:2009/05/16(土) 23:43:04 ID:d.S.7LY6
 若きエースオブエースは両陣に交互に視線を向けると、小さく一息ついて口を開いた。


「ええ、ではこれより私高町なのは一等空尉が審判として立ち会いまして、2対2のタッグマッチ形式による模擬戦を始めたいと思います。双方準備はよろしいですか?」


 外部の人間であるソフィアがいる為か、やや硬い口調で少女は尋ねた。
 このなのはの問いに、答えは即答で返る。


「問題ない」

「委細承知の上です」


 答えたのは騎士二人。
 ソフィアとシグナムは共に凛とした澄んだ声で、淀みなく返した。
 これになのはは一度頷き、では、と言葉を続ける。


「ルールは簡単、殺傷設定攻撃を始めとする危険行為は厳禁、それ以外は特になし。あとはどちらかのチームが全滅するまで戦うだけ。ただし、審判の私が危険と判断した場合は止めに入る場合もあります」


 言葉と共に場に閃光が走る。
 足元の訓練場の床、いや、というより訓練場全体が光りそして動いていた。
 魔力を用いた訓練場の変形機構、様々な状況を想定して設定された建造物や地形へと形を返る魔法世界の技術である。
 現れたのは灰色の巨大な無機質の群れ、魔力によって立体化された煤けたビルだ。
 先ほどまで硬質な金属の床だった足元も、アスファルト様の道路へと変わり、その場は都市の一区画へと変貌を遂げた。
 生まれ出でたビルの姿を見上げながら、教導官の少女は続けて言う。


「地形はこの日ランダムで設定されたこの都市空間で行います」


 そして最後の確認とばかりに、なのはは視線を双方へと向ける。
 返ってきたのは両陣営からの力強い眼差し。
 これ以上は重ねる言葉もないだろう。と考え、少女は大きな声をあげた。


「では、これより模擬戦を開始します!」





「すまんな」


 機動六課訓練場、その控え室で愛機ストームレイダーの手入れをするヴァイスにふとそんな声がかけられた。
 声の主は言わずもがな、この日の模擬戦を共に戦う相手にして長年慕ってきた上司である女性、シグナム。
 彼女のそんな言葉を聞き、ヴァイスは手にしたマガジンを己がデバイスに叩き込みながら返した。


「何がですか?」


 と、コッキングレバーを引き薬室(チェンバー)に強装魔力カートリッジを導きながら問う。
 言葉と共に視線を向ければ、騎士甲冑姿の烈火の将はこちらをやや困ったように眉尻を下げていた。
 彼女見せる表情、普段の凛々しい顔とのギャップに思わずヴァイスの胸の鼓動が高鳴る。
 思わず、先ほどソフィアとティアナのコンビと戦うに当たって立てた戦略が頭から飛びそうになったが、理性で制御。
 だが動揺は表には出さず、いつもの気さくな笑みをヴァイスは顔に張り付けた。
 そんなヴァイスに、シグナムは静かに口を開く。


「いやな、私が変な事を頼んだせいで妙な事になってしまって……な」

「そんな事気にしてたんですか?」

「ああ」


 今さら何を、ヴァイスはそう思った。

758偽りの恋人:2009/05/16(土) 23:44:41 ID:d.S.7LY6
 もしこんな風に戦いの場に立つ事が嫌だったなら、とっくの昔に頭を下げているだろう、と。
 だが彼は、そんな事はしなかった。
 確かにこんな形式で決着をつけるのには最初戸惑った、だが正直今となっては引く気はさらさらない。
 ソフィアは言った、シグナムを愛している、と。
 なら自分だって、そうだ、あの少女が恋心を抱くよりずっと前からシグナムに恋慕の情を抱いていた。
 今は偽りの恋仲だが、いつかこの想いを実らせたいと願っている。
 だから、見せ付けてやれば良い。
 自分がこの程度の不利などに、逆境などに、屈したりはしないという事を。
 あの娘に負けぬくらいシグナムを愛しているという事を。
 だから、ヴァイスは笑みを以って愛する騎士に語りかけた。


「気にしてないっすよ。姐さんには昔から世話になってましたから」

「そうか、すまんな」

「あ、でも……」


 と、言いかけてヴァイスの言葉が淀む。
 言って良いものなのか、それとも胸に秘めておくべき事なのか。
 狙撃手は迷う。
 言葉を途切れさせ、何か言いかけたまま固まるヴァイスに、“ん?”とシグナムは首を傾げて疑問符を浮かべた。
 その様はどこか子供っぽくて、彼女の理知的で凛々しい様とのギャップでひどく愛くるしく見える。
 また一つ、心臓の鼓動が高鳴るのと共にヴァイスの頬が熱を帯びた。
 そして思う、ああもう言っちまえ、と。


「もしこの勝負に勝ったら、一個だけ俺のお願い聞いてもらって良いっすか?」

「お願い?」

「ええ、まあ……ダメ、っすかね?」


 ヴァイスは頬を掻きながら、どこか恥ずかしそうに問う。
 彼の問いに、シグナムはしばし質問の内容を胸中で吟味すると、口元に優しげな微笑を浮かべて囁いた。


「いや、構わん、今回は世話になったしな。だから遠慮せずに何でも言って良いぞ」

「そう、っすか。ありがとうございます」


 愛しい騎士にそう言うと共に、ヴァイスの胸中に一つの決意が宿る。
 決して曲げられぬ強い意思が、熱い想いが男の中で滾った。
 狙撃手はまるで自分に言い聞かせるように、そしてシグナムには聞こえぬ程度に小さく呟いた。


「じゃあこの戦い……負けられねえな」


 全ての戦闘準備を整えた狙撃銃型デバイス、愛機ストームレイダーの銃身を肩に置きながらヴァイスは顔に不敵な笑みを浮かべた。
 ああそうだ、あの少女が見たいと言うなら見せてやれば良い、自分だって彼女に負けないくらいシグナムを愛しているという事を。
 狙い撃つしか能のないこの身で、全身全霊を以って。
 胸中に燃えるその想いに、ヴァイスの眼光は獲物を狙い肉食獣のように鋭く光る。
 彼のその様を戦いの前の高揚と判断したのか、シグナムもまた不敵にそして嬉しそうに微笑を浮かべた。


「その意気だヴァイス。ではよろしく頼むぞ」


 そして、先に行くぞ、と言うとシグナムは一足先に控え室を後にする。
 凛とした彼女の後姿に視線を注ぎながら、ふとヴァイスは想う。
 やっぱり自分のこの気持ちを、この人は少しだって気付いていないんだろうな。と。
 どこか諦めたような軽い絶望感を込めて、口から小さな溜息が漏れる。
 だが、構いはしない、とも想う。
 この勝負が終われば、どうせ打ち明けるつもりなのだから。
 勝利と共に、長年募らせ続けたこの想いをぶつけよう。と。
 そう胸中で思い、ヴァイスは狙撃銃を肩に自分も彼女の後を追って控え室を後にした。



続く。

759ザ・シガー:2009/05/16(土) 23:48:53 ID:d.S.7LY6
投下終了。
次回、ついに修羅場トル開始、狙撃手はナイスボートを逃れられるか。
ただ今回ちょっと短くなってしまって困った。
次ではバトルを入れてなるべく密度濃いめにできれば良いのですが。

ともかく、あと一話か下手したら二話くらいでこのオハナシも終わりです。
ま、あくまで予定ですが。

760名無しさん@魔法少女:2009/05/17(日) 00:59:14 ID:3.ABkz32
どう見てもしb、負けフラグです。本当に(ry

しかし模擬戦とはいえヴァイスは撃てるのか?
妹とそっくりな声のかわいい後輩を。

761名無しさん@魔法少女:2009/05/17(日) 04:19:18 ID:vBRYr.gI
向こうは容赦なく撃ってくるだろうがなッ!

762名無しさん@魔法少女:2009/05/17(日) 20:04:07 ID:kydFglEo
>>740
GJ!!
ウーノ、ドゥーエの二人でも素晴らしいのに、ウーノ姉様の復讐のレパートリーが素晴らしすぎる。

>>759
GJ!
万が一場外乱闘になってもなのはさんがいればなんとかなるか。

763名無しさん@魔法少女:2009/05/20(水) 09:35:02 ID:1KpdxziI
vividが楽しみでならない

764名無しさん@魔法少女:2009/05/20(水) 20:43:15 ID:F0A0q9fE
書き手としては設定に大幅なずれが発生したらどうしようかとちょっと怖いけどなw
既存キャラでメインに入りそうなのは、ヴィヴィオ・ラグナ・カレル・リエラあたりかね。
エリキャロも年は近いけど、別の次元世界で仕事中だし出ないかね。

765名無しさん@魔法少女:2009/05/20(水) 20:45:04 ID:4W0FuwlY
いやいや、ラグナStS時点で12だから。

766ザ・シガー:2009/05/20(水) 20:54:48 ID:3e6z/lao
おいおい、土曜からまだ誰も投下してないなんて寂しいじゃないか。
寂しくって、つい投下しちゃうぜ俺。

つう訳で投下いきます。
非エロ、長編、オリ主、「鉄拳の老拳士」最新話。
今回はそこはかとなく暴力表現というか、ダークなのでそういうの駄目な人は注意でお願いします。

767鉄拳の老拳士:2009/05/20(水) 20:57:29 ID:3e6z/lao
鉄拳の老拳士 拳の系譜8



「なあ親父、俺にシューティングアーツ教えてくれよ」


 ある日、息子がそう言ってきた。
 男は手に持っていた新聞をテーブルを机の上に置き、一度息子に向き直る。
 少年、今年で9歳になる息子が己と同じ黒い色の瞳でこちらを見上げていた。
 息子の突然の願いに、男は首を傾げて尋ねる。


「どうしたギル坊、突然」


 ギル、息子を愛称で呼び、問う。
 父の質問に、少年はどこか恥ずかしそうに俯いてしばし沈黙。
 顔を僅かに赤らめ、幼い子は静かに答えるべき言葉を紡ぐ。


「いや、だってさ……強くなりてえ、から」


 幼いながらも少年は力を、純粋な闘争の為の牙を求めていた。
 きっかけはごく単純なもの。
 近所の悪ガキに妹が苛められていたというものだった。
 少年は相手にケンカを挑んだが、結果は芳しくなかった。
 何人かは気合と根性で倒したが、最終的には数の暴力の前に倒れ、負けた。
 かっこ悪い、そう少年は思った。
 相手に負けた事もそうだが、妹の前で無様な姿を晒したのが腹立たしかった。
 故に、彼の思考は導き出した、屈辱を雪ぐ術を。
 強くなる為に、父の技を覚えようと。
 だがその理由は口にしない。
 言えば父に拒まれるかもしれないから。
 見上げれば、父は悠然とこちらを見下ろしていた。
 そして息子をしばし見つめると、父は言う。


「そうか。ま、良いぜ」

「ほ、本当か!?」

「ああ。ただし、だ」


 父は言葉を繋げながら、ふと手を伸ばした。
 鉄の拳を握り続けた、数多の激闘の中で敵を砕き続けた手。
 全体が角質化し、ゴツゴツと節くれたその大きな手が少年の頭を撫でる。
 そして、息子の短く切りそろえられた髪をクシャクシャと撫で回すと、男はニヤリと笑った。
 口元にはいつも彼が浮かべている、獰猛でそれでいて悪戯っぽさのある笑顔。だが眼だけは違う。
 鋭く細められたその瞳に浮かぶのは、遊びのない真剣な色。
 その眼差しで息子を見つめながら、男は問うた。


「教えてやっても良い。だが俺との約束を守れるか?」

「やくそく?」

「ああ、そうだ」


 父の言う言葉の意図を計りかねたのか、少年は首を傾げる。
 そんな我が子に、男は言葉を続けた。


「習った技、戦う力と術、そいつを決して自分の為には使うな」

「ええー、なんで?」


 自分の為に使うな、その言葉に少年は不満そうに顔をしかめた。
 何故に、と問えば、父は静かに答える。


「良いかギル坊、どんな理由があろうとどんな使い方をしようと、結局のところシューティングアーツは暴力、目の前の障害をぶっ壊す為の術理に他ならねえ。
だからこいつを決しててめえの為に使うな。そこにどんな大層な理屈があろうと、人ってな自分の為には決して善徳だけで生きられねえんだ」


 男は我が子の眼をしっかりまっすぐ見据えながら、そう告げた。
 眼をパチクリと開けてこちらの話に聞き入る少年に、父はさらに語る。
 自身がずっと昔から貫いてきた道、譲れぬ信念を。


「だからな、強くなったらその力は誰かの為に使え。自分の為じゃねえ、誰か大事な人の為にだ。約束できるか?」


 口元の笑みとは対照的に、問う言葉と瞳は真剣そのものだった。

768鉄拳の老拳士:2009/05/20(水) 20:58:55 ID:3e6z/lao
 戦いの場で鉄拳を振るう時のように、強大な敵と対峙した時に宿すように、力ある眼。
 見据えられた少年が思慮に費やす時間は、そう永くなかった。
 しばし考える素振りを見せると、少年はすぐさま言葉を紡ぐ。


「うん。約束する」


 父の力強い眼光に、それに負けぬ意思を持つ曇りなき眼が言葉を伴い返事を返した。
 子のその様に、父は満足そうに今度は口元だけでない会心の笑みを浮かべる。
 そして手に力を入れて、少年の髪をクシャクシャと強く引っ掻き回すように撫でた。


「おお、そうか。よし、じゃあ教えてやる」

「本当に!?」

「ああ、嘘はつかねえよ」


 破顔する父の言葉に、少年も嬉しそうに笑みを浮かべた。
 そんな我が子の姿を見て、男もまた嬉しげに笑みを深める。
 実を言えば彼は知っていた、息子が何故こんな願いをするのかを。
 妹から件の話は既に聞いており、遠からずこんな要求をされるだろう、と。
 最初は少し心配だった。
 なにせこの少年は自分に似て直情的な事この上ない、自身の為だけに拳を振るう事を望むかもしれない。
 だがそれは杞憂だ、このまっすぐな眼を見れば安心できる。
 息子はきっと誰かの為に戦うだろう、その道を貫き続けられるだろう。
 少なくとも当面は、妹の為にだけ、というのは明らかだ。
 そして男は、まだ幼い我が子にまず簡単な型を教えてやる事にした。
 願わくば息子が自分の伝える鉄拳を、この拳の系譜を悪しき道に用いぬ事を願いながら。





 過去の幻はそこで潰えた。
 まず感じたのは全身を駆け巡る痛み、ズキズキと肉も骨も肉体の一切合財が苦痛を訴えて神経を刺激している。
 そして、うっすらと開けた目に映る茜色に燃える空。
 そこでゴードンはようやく意識が覚醒した。
 痛む首を動かして視線を周囲に向ける、そうすると自分が今コンクリートの壁に埋まっているのが分かった。
 そして辺りは凄まじい有様だった。
 幾つもの朽ちたビルが倒壊し、アスファルトの道路は粉々に撃ち砕かれ、あちこちから炎が上がっている。
 それはさながら大爆撃の後のように、全てが破壊し尽くされていた様。
 全ては先ほど息子、ギルバート・ゴードンと演じた激闘の為である。
 それが人の成した所業だと、誰が想像できようか。
 超常なる魔法の技を以ってしても、そう易々とできる事ではない。
 鉄拳と鉄脚を持つ獣同士の戦いは、おおよそ半径100メートルに渡り、古びた都市の一区画など造作もなくさながら積み木の家を崩すように破壊していた。
 正に化物同士の死闘と呼んで相違ないだろう。
 倒壊したビルの一角、その凄まじくヒビ割れたコンクリート壁の中にゴードンは埋まっていた。
 纏った黒のバリアジャケットはあちこちが破れ、両腕両足のデバイスにも幾つか亀裂が走っている。
 だが幸いにも、五体も愛機も全壊はしていなかった。
 全身に軽く魔力を流して知覚する、大した損傷はしてない。鋼の身体を持つ血の流れぬ弟分も同様に、元気にコア部分を明滅させて返事をした。


<生きてるかい?>

「ああ、なんとかな……どんくらい経った?」

<2時間45分きっかり>

「そうかい。ありがとよ、兄弟」


 永き時を共に激闘を駆け抜けたデバイスに一言告げると、老兵は懐から銀のシガレットケースを取り出し葉巻を咥える。
 長年愛用しているオイルライターで火を点けると、ゴードンは紫煙を思い切り吸い込んで一息ついた。
 そして覚醒した思考で、先ほどの激闘で途切れた記憶の最後の断片を思い出す。
 凄まじい拳足の攻防、シューティングアーツを極めた者同士の超高速戦闘の果てに自分は息子から痛恨の一打を喰らった。
 その様は網膜にきっちり焼き付いている。
 それはあの日、随分と昔に自分が教えた正拳だった。
 強く、速く、重く、鋭い、力も魔力も申し分のない最高の拳打。
 紫煙と共に、ゴードンは消え入りそうな声を宙に零す。


「ったく……あん時のチビ介が……随分と強くなりやがって」


 と、呟くと、ゴードンは葉巻を燻らせながら立ち上がった。

769鉄拳の老拳士:2009/05/20(水) 21:00:20 ID:3e6z/lao
 傷と疲労が蓄積され、ダメージを負った五体が痛みを発するが気にしない。
 今はそんな事を気にしている暇はなかった。
 先の戦闘から既に3時間近く経っている。
 恐らく息子はもう向かったのだろう、憎い仇を討ちに。
 戦闘機人、ナンバーズらへの憎悪がないと言えば嘘になる、だがそれとこれとは別問題だった。
 子が道を踏み外したならば、仕置きの拳をぶち込んで引きずり戻すのが親の役目だろう。
 相手がどれほど強くなっていようと、それは問題ではない。
 小気味良い音を立てて首を曲げると、老兵は己が鉄拳を胸の前でぶつけ合わせる。
 良く響く金属の残響が空気を震わせ、同時に戦意を高めた。
 そして次なる刹那、天を駆ける青き魔力の道、シューティングアーツの使い手が用いる魔法、ウイングロードが姿を表す。
 魔力の道の上をローラーブーツで踏みしめながら、ゴードンはポツリと言葉を零した。


「さぁて……それじゃあ親のケジメだ、クソガキを叱りに行くとするか」


 瞬間、老兵の巨躯は黒き疾風となる。
 目指すは茜色の日が落ちる先、ナンバーズの収監された収容所。
 赤く燃える夕焼けの空を、魔力で紡がれた青き道と黒い風が駆け抜けた。





 そこは地獄だった。
 砕かれた瓦礫の中、数多の人が本来の形を失い凄惨な姿へと変わり果てている。
 ある者は斬り刻まれ、ある者は撃ち抜かれ、ある者は砕かれ、一様に破壊の限りを尽くされて屍を晒す。
 千切れた手足、砕かれた頭蓋から零れ落ちる脳漿、引き裂かれた胴から溢れる臓腑、そして全ての死肉から止め処なく流れ出る血潮。
 それは、一部隊が約15人で構成された武装隊3つ、都合45人分の人体が織り成す最悪に暴力的な地獄のアートだった。
 そんな屍山血河の只中に、三人の男が立っている。
 一人は闇のように黒いロングコート型バリアジャケットに、鉄拳・鉄脚のデバイスを装着した黒髪の男。
 一人はまるで神父のような聖職者の服のような詰襟の純白のバリアジャケットに身を包み、手に長剣を握った隻腕で長髪の男。
 一人は足元に流れる血の河よりも赤いレザー風のバリアジャケットを着込み、手に二丁銃型デバイスを持った金髪の男。
 戦闘機人、ナンバーズを狩る為にフランクモリス収容所の正面玄関を血と暴力の坩堝へと変えた鬼共。
 復讐鬼ギルバート・ゴードン、剣鬼ジャック・スパーダ、悪鬼テッド・バンディ。
 通常ならば突破する事も容易ではない陸士部隊の猛者達を、三人の鬼は事も無げに喰い散らかした。
 45人の人体が、血と肉と骨と防護服とデバイスを掻き混ぜた物体へと変わるのに要した時間はたったの30分。
 三鬼の一人、金髪の美青年テッド・バンディは、おもむろに足元に転がるモノを爪先で小突き転がした。
 先ほどまで死の間際の断末魔を上げていた一人の陸士の首、自身の魔力弾で首を弾け飛ばしたそれを、さながら虫を嬲り殺す子供のように無造作に転がす。
 絶命した時の恐怖で歪みきった顔で、砕けた頭蓋から脳を零す生首。
 普通の感性を持つ人間ならば怖気が走り、吐き気を覚えるようなそれをバンディはまるで道端に転がるゴミでも見るような眼で見下ろす。
 屍の首を弄びつつ、悪鬼のような男は視線を雇い主に移すと、瞳に邪気を浮かべながら口を開いた。


「なあ、ゴードンさんよぉ。あんた昔管理局にいたんだっけか? 知ってるぜ、聞いた事あっからよ」


 ニヤニヤと、見る者の心に不快感を生むような邪悪で嘲りを含んだ笑み。
 問いに、ギルバートは鉄拳にこびり付いた血を払いながら答える。


「それがどうかしたか?」

「いや、ね、どんなもんかと思ったのさ。昔のお仲間をぶち殺す感触ってのは、な」


 明らかな挑発の、こちらの怒りを誘うような言葉だった。
 悪意の塊のようなこの男からすれば、如何に自分の雇い主といえどもかつて管理局に身を置いた者は気に入らないのだろう。
 そしてギルバートが自分の力を必要としてるのを承知で、彼の怒りを煽っている。
 だが、この邪な悪鬼の挑発に彼は少しも感情の起伏など見せなかった。


「別に。誰が相手でも殺す感触なんざ変わらねえだろ」


 冷めた、凍るような瞳でバンディを見据え、静かに言葉を紡ぐ。
 その眼の奥に見える、氷のように冷たく炎よりも熱い、暗く淀んだ色にさしもの悪鬼も怖気を感じた。

770鉄拳の老拳士:2009/05/20(水) 21:01:48 ID:3e6z/lao
 と、そんなバンディにギルバートは続ける。


「この先、軌道拘置所の奴らや、他にも色々と殺さなきゃならねえんだ。邪魔するヤツを掃除すんのに躊躇なんざできねえんだよ、俺は」


 ギルバートは、言の葉の隅々に決意と憎しみを込めてそう説く。
 復讐に、復讐を完遂する為に、男は既に人の道など踏み外していた。
 かつての同胞、罪なき勇敢なる法の執行者達を手にかける事も、彼は少しも厭わなかった。
 ああそうだ、もうとっくに正気など捨て去り、その身も心も復讐の憎悪に深く沈んでいる。
 五体から瘴気でも立ち昇りそうなその気迫に、バンディは背筋に寒気にも似たものを感じながら、愉快そうに笑みを浮かべた。
 邪悪な、悪意と愉悦に満ちた美しい微笑を。


「はは、良い感じに壊れてんなぁ。あんた」

「うるせえ、てめえに言われたかねえぞ」

「はっ、壊れてんなぁ事実だろ?」

「まあまあ、お二人とも落ち着いてくださいよ」


 と、横合いから声をかけたのは長剣を持つ隻腕の剣鬼、ジャック・スパーダ。
 この男だけにはとやかく言われたくはない、そう思い二人の眉根が不快そうに歪む。
 復讐の為に修羅道を歩むでもなく、金や享楽の為に戦うでもなく、この剣鬼はただ闘争の為だけにここにいたのだから。
 先の戦闘で最も積極的に戦い、そして殺めたのはこの男だ。
 どこまでもひたすらに、激闘に興じて殺戮を謳歌する、それだけがこの男の望みであり存在理由なのだ。
 根本的には金の為に戦うバンディの方が、幾らか人間味があるようにすら思えるくらい歪んでいる。
 その感情を、バンディは不満げに歪めた表情と共に漏らす。


「うっせ。正真正銘の戦闘狂(バトルマニア)には言われたくねえっつうの」

「はは、酷いなぁ。まあ、否定する気はないですが」


 凄惨な死肉の山の上でするとは思えぬ程に、剣鬼はにこやかに笑う。
 人間として大切な部分、人が人である為の正常な精神性を欠いた微笑。
 正にそれは剣持つ鬼だった。
 と、そんな鬼共のやり取りに、復讐鬼が告げる。


「じゃあ、ここは任せた」


 言うや、ギルバートは黒衣の防護服を翻し、収容所の施設へと向き直る。

771鉄拳の老拳士:2009/05/20(水) 21:02:40 ID:3e6z/lao
 そして静かに、されど確かに歩を進めた。
 復讐を成すが為に。


「てめえらはここで余計な邪魔を掃除しとけ。俺は機人を狩ってくる」


 低くされど響く残響を夕闇の大気に木霊させ、報復の狂犬は黒衣を翻した。
 屍の山と血潮の河を跨ぎ、目の前に立ちはだかる全ての障害を圧倒的な暴力で蹴散らし、ひたすらなまでに突き進む。
 その姿はさながら地獄の鬼か、冥府の悪魔か。
 酸鼻なる地獄絵図の上を闊歩する男の姿は、その情景と相まってもはやこの世の者と思えぬ程に魔を帯びていた。
 ギルバートのその後姿を見つめつつ、外道なる二匹の鬼はそれぞれ得物を手に空を見上げた。
 遂に完全に日が沈み、闇が全てを支配しつつある形容し難い紫色の空。
 その張るか遠方から、収容所の異変に応じて派遣された地上本部の部隊が迫ってきているのを二人の索敵魔法が察知する。
 お代わり、つまりは次なる獲物の登場。
 収容所正面玄関に築いた程度の屍山ではまだ足りぬと冥府の餓鬼欲しているのか、どうやらまだまだ死肉を製造する作業が続くようだ。
 テッド・バンディ、ジャック・スパーダ、外道は双方眼を期待に鈍く輝かせ、舌なめずりした。


「ああ、次はアレだな、女、女いねえかなぁ。最後にヤったの一週間以上前だからよぉ、レイプ恋しいわ、マジで」

「嗚呼、次は是非とも、もっと強い方がいてくれたら良いんですけどねぇ。もっともっと素敵で楽しい殺し合いを興じたいものです」


 まったく以って、人の道理を盛大に踏み外した者共の、外道に生きし者共の狂った暴力願望。
 屍と血潮が織り成す新たなる地獄が生まれたのは、それより数分の後。

 そんな現世の地獄に、地上本部からの救援要請を受けた機動六課が到着するのは、それからさらに一時間の後だった。



続く。

772ザ・シガー:2009/05/20(水) 21:05:57 ID:3e6z/lao
投下終了。
本当にどうしようもないドグザレ人間劇場でした。
みんな壊れてます、どうしようもなく。
あとオリキャラ祭。

でも次回こそ! 次回こそリリなのキャラ出るよ! ちゃんと出るよ!!


ただ、ちょっと最近エロ書いてないからそっちも恋しい症候群。
ナニを投下するかは見てのお楽しみです。

773名無しさん@魔法少女:2009/05/20(水) 22:11:01 ID:74a7TkF6
>>772
ミミは・・・?

774ザ・シガー:2009/05/20(水) 22:17:02 ID:3e6z/lao
>ミミ
ミミ大戦はまあ、地道にコツコツ書いてる。
いや、本当に。
投下いつになるか分からんが。

775 ◆6BmcNJgox2:2009/05/21(木) 00:05:25 ID:YvWIOmA6
日付が変わりましたので実に馬鹿馬鹿しいお話を投下させて頂きまする。

・勝手な被害妄想をひたすら語り続けて相手を呆れさせるシリーズ第二弾
・エロ
・鬱だったりNTRだったり色々ありますが全部「被害妄想」の産物なので無害です

776よくもまあそんな考え付く物だ 1 ◆6BmcNJgox2:2009/05/21(木) 00:07:32 ID:YvWIOmA6
 それはなのはがあるTVのドラマを見た事が発端だった。旦那の浮気をきっかけとして、
崩壊して行く夫婦を描いたドロドロの愛憎劇…。この手のドロドロとしたドラマは比較的良く
あるのだが…そこでなのははある恐怖感を抱いていた。

「ユ…ユーノ君が浮気してたらどうしよう…。」

 普段ユーノとは何でもないただの友達とか偉そうな事を言いつつも、他の女性に
取られるのもそれはそれで嫌だったなのはは怖くなり、意を決してユーノの所へ向かった。


「ユーノ君!! まさかとは思うけど…ユーノ君浮気なんかしてないよね!?」
「え!? いきなり何を言うんだい!?」

 突然質問されて戸惑うユーノ。しかしなのはの質問攻めは始まったばかりだ。

「だって…無限書庫にも女性の司書は沢山いるし…ユーノ君自身普段は情けなく見えても
やる時はやる人だから、何だかんだで狙ってる子は沢山いると思うんだよね…。
だから…怖いの…ユーノ君が他の女の子と浮気なんてしてたら…私………。」

 なのはは目に涙を浮かばせる程にまでなっていたが、ユーノは笑って答えた。

「あのね…なのは…僕が浮気なんてしたら大変な事になるに決まってるじゃないか。」
「それは私も分かってる。浮気をきっかけに、人間関係だけじゃなく生活まで崩壊するって
パターンはドラマだけじゃなく現実でもざらにあると思うから…。」
「ハハハ…その程度で済むならまだ幸せな方だよ。」
「え? その程度…?」

 なのはの恐れている浮気をきっかけとして起こり得る惨劇がユーノにとっては『その程度』
これにはなのはも思わず眉を細めてしまうが…ユーノは続けた。

「良いかい? 冷静になって考えて見て? 仮に僕が他の女の子と浮気なんかしてたら…
なのはが凄い怒るのは当然じゃないか。」
「うん。その通り。そんな事したら私ユーノ君絶対許さないから。」

 なのははユーノを軽く睨み付けるが、ユーノは不思議すぎる程冷静。

「でもその後が大変なんだ。もし仮に僕が本当に他の女の子と浮気してて…その女の子と
ベッドでイチャ付いてる状況をなのはが目撃したとする。そしたらなのはは怒って
僕とその女の子をまとめて頭冷やそうとするだろうね。」
「そんなの当たり前じゃない!」
「でも残念ながら僕もその女の子もなのはが考えている程丈夫では無いかもしれない…
なのはにとってはほんの『頭冷やす』だけの行為でも………僕や浮気相手の女の子にとっては
命に関わる程の砲撃で…その威力に耐えかねて死亡する事もあり得るかもしれない。
そう…なのはは殺人犯になってしまうんだよ!」
「ええええええええええええええええええええええええええええええ!?」

 ユーノの超絶理論になのはは思わず愕然とするが、これはまだまだ序の口に過ぎなかった。

777よくもまあそんな考え付く物だ 2 ◆6BmcNJgox2:2009/05/21(木) 00:09:24 ID:YvWIOmA6
「例え管理局のエース・オブ・エースと言えども殺人は許されない。故意では無かったとは言え、
僕達を殺してしまったなのはは忽ち逮捕されて軌道拘置所に収監されてしまうんだ。そして…そこで
なのはは運命の出会いを果たす事になる。その相手とは…あのジェイル=スカリエッティ!」
「ちょっと待ってよ! 私…私本当にユーノ君殺しちゃった事になってるの!?」

 幾ら妄想の中とは言え、顔色一つ変えずに自分を殺してのけ、かつ真に迫った演技で
超絶理論を展開して行くユーノになのはは戸惑うばかり。だが彼の話はまだまだ続く。

「その天才的な頭脳を駆使し、軌道拘置所からの脱獄を計画していたスカリエッティはなのはに
コンタクトを取るんだ。なのはの魔導師として非常に高い戦闘能力は利用価値があるとね…。
そして僕をうっかり殺してしまった事が原因で性格が捻じ曲がってしまったなのははあっさりと
スカリエッティの申し出を受けてるんだ。で、『私も犯罪者になっちゃったから犯罪者同士仲良くしても良いの。
それにスカリエッティって冷静に考えたら何かハンサムだよね…。』とか言っちゃうんだ。
僕を殺しておきながらあっさりあんな男に乗り換えるなんて最低だよなのは!!」
「ええええええええええええええええ!?」

 勝手に変な理論を展開し、勝手に怒り出すユーノになのはは戸惑う以外の反応が思い付かない。
しかも妄想の中とは言えスカリエッティと手を組んでしまうなどと…もう無茶苦茶だとしか言えない…

「とは言え…スカリエッティとなのはのコンビは最強だった。何しろ次元世界有数の頭脳を持つ
スカリエッティと、元管理局のエース・オブ・エースのなのはのタッグだからね。しかもまるで
急造とは思えない…まるで長年タッグを組んで来たかの様な息の合ったコンビネーションを見せ、
脱獄不可能とされた軌道拘置所からあっさり脱獄して見せるんだ。そうだ。君は殺人のみならず
他の受刑者と脱獄と言うさらなる罪まで重ねてしまうんだよ!!」
「私そうなっちゃう事前提なの!?」

 ユーノの妄想の中とは言え、どんどん罪を重ねて行くなのはの姿になのは自身も
かなり今後が恐ろしくなって来たが…ユーノの妄想の真の恐ろしさはここからだった。

「そして二人の逃避行は続くわけだけど…ここである変化が起こるんだ。なのはにせよ
スカリエッティにせよ、ただ単に脱獄を成功させる為に互いを利用し合うだけのドライな
関係に過ぎなかった。ましてやスカリエッティはあのナンバーズに代わってなのはの
体内に自分のクローンを植え付けようとすら考えていた程だ。しかし…スカリエッティは
なのはと共に逃げる内にそれが勿体無いと思えて来る様になるんだ。」
「え…それで…それでどうなるの?」

 ユーノの勝手な被害妄想の話のはずなのに…何故か続きが気になるなのは…




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