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母の飼い主 1
28
:
母の飼い主 15
:2013/10/18(金) 02:34:06
「へえ、本当に美人じゃないですか!」
「だから、そう言ったろ」
そんな眼鏡の男と太った男の会話で、僕の心はようやく現実へと引き戻された。
太った男がスマートフォンの画面を、眼鏡の男に見せている。
あれは何だ――?
もはや僕は何食わぬ顔を装うこともわすれていた。食い入るようにふたりの客のほうを見つめていると、太った男がそんな僕に気づいた。
「あんたも見たいのかい、お若いの? ――なぁに、あんたがさっきからおれたちの話に、こっそり耳を傾けていたのは知ってるよ。もっとも、小さな店のことだから、いやでも聴こえるだろうが」
「小さな店でわるうござんしたねえ」と洋治さんがわらう。
「言葉の弾みだよ、マスター。それはそうと、あそこの若い人に秘蔵写真を見せてもいいかな?」
「どうぞ、お好きに」と言って、洋治さんは肩をすくめた。
好色な表情をうかべながら手招きしている太った男のもとへ、僕は操られてでもいるかのように足を運んだ。
男のスマートフォンに映し出されていたのは――まぎれもなく母だった。
写真の母はテーブルの上に仰向けに横たわっていた。衣服は何ひとつ身につけていない。完全に生まれたままの姿だった。
僕が小学校に上がったくらいから、母といっしょに風呂に入ることもなくなったし、以来、その裸身を見る機会など勿論なかった。だから、そのときスマフォの画面で目にしたそれは、僕にとって、ほとんど初めて見る母のヌードだった。
写真の背景は薄暗く、仰向けに寝た母の裸身だけが、仄白く浮かび上がっているように見えた。その肌は透けるように白い。まるで生まれてからいちども陽の光に当たったことがないようだ。肩や腰のラインは細く、しなやかなのに、もちもちとした乳房のふくらみは意外なほど豊かに熟れていた。
母の視線はうつろで、じぶんの恥ずかしい姿を写真に撮られていることも意識にないようだった。半開きの唇から白い歯がこぼれており、頬のあたりは全力疾走した後のように紅潮している。全身が弛緩しているようだったが、すらりとした手は両方とも股間の前へ伸びていて、指先が黒々とした恥毛にふれていた。
「オナニーの直後に写したものだよ」と太った男が僕の耳元で囁くように言った。「ずいぶん激しく逝ったものだから、しばらくは半失神状態でね。いくら呼びかけても、ぴくぴくと痙攣するばかりで反応がなかった。そのあいだに、こちらの寛大なマスター殿にお願いして、写真を撮らせてもらったというわけだ」
僕は一語も発することができなかった。
口の中がカラカラに乾き切っていた。
オルガスムの余韻にうち震えながら、しどけなく横たわる母の裸身――それは、息子として、本来ならけっして目にするはずもなく、また、けっして見てはならない種類のものだった。――
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