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母親が他人に侵される 漫画・小説 #避難所

33名無しさん:2012/10/17(水) 12:48:37
8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/10/07(日) 23:37:03.86 ID:hl94Ad7S [4/4]
やがて。しだちの湯に近いところに出る。耳を澄ませば湧く湯の音さえ聞こえる。
藤次は体を草むらに隠して進み、しだちの湯壷が見える場所に進んだ。
果たして、そこに母いさはいた。裸になって、いい具合の湯壷に身を浸していた。
何を思うでもなくぼんやりと、月でも眺めているのかといった顔立ち。
物の怪に襲われる最中でもなく、謂れなき恐れに慄いている様子もない。
藤次はひとまず安堵する。だが安堵したことで、別の感慨が沸く。
ここしばらく、母親と一緒に風呂に入らなくなった気がする。
もう少し幼い頃は、そもそもこのしだちの湯にも連れ立って来た。
なのに母は、今は当たり前のようにひとりでここに来る。
だから、母の裸を見るのは久々なのだ。
全て脱いでしまわないでする家近くの川での水浴びとは、まるで違って見える。
力仕事で締まってはいるが、緩く柔らかそうな肉。
日焼けた所以外はまるで娘のように真白な肌。
揺れる湯の中で同じように揺れる大きな乳。
そんな乳と同じような丸みで沈む尻。
ああ。母の体だ。良く知る女の体だ。藤次は凝視し、そして少し上気した。
奇妙ではあった。心配だと母を追い、今は母の裸を見てなぜか猛っている。
表しようのない気分に藤次はなっていた。
ならばと。今はともかく声をかけよう、と。「一緒に入ってもいいか」と。
母は必ず許してくれるだろう。
夜道を駆けて来たことを叱りながらも、頭を抱いてくれるだろう。
そうしたら、惚けた振りをして乳に触れてみよう。
母は必ず許してくれるだろう。
藤次は、そこまで思った。そしてきつく締めた帯を解こうと手をかけた。

39 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/10/09(火) 02:50:51.89 ID:Kk0keqU7 [1/3]
「女」
思わず声が出そうになった。しかし出なかった。それは恐れのせいだ。
湯浴む母に向かって、どこからか声がかけられた。
生身の声ではない。間違いなく妖かしの声。
藤次は慌てて湯壷を見る。母もまた、声がしたほうに首を曲げていた。
「女」
もう一度声が聞こえる。しかし姿は見えぬ。
同じほうから聞こえたので、母いさはずっとそちらを向いている。
聞いた話ではこのあと「違う」と物の怪は言うらしい。
そのようになった時何が起こるのか。自分は母を救うためどのようにしたらよいのか。
藤次は覚悟して次の言葉を待った。「違う」という声を待った。
ところが。

「女」
三度呼ばれた時に、母は首を元に戻した。姿の見えぬ者の声がするのに、だ。
「また来たか」
そして藤次が聞いていた言葉とは違う声が聞こえる。「また来たか」と。
母はもちろん返事はしない。不思議なことに、強張っているが慄いてる表情ではない。
飛び上がってしまうほどの場であるはずなのに、母は何食わぬ顔で湯に浸かったまま。
「湯浴みしてるだけです」
小さく母は口を動かした。湯につけた手ぬぐいで首筋をゆっくりと撫でながら。
なぜ母はあの声を恐れぬのだろう。自分は猛りも失せひたすら震えているというのに。
「そうか」
また誰かの声がし、不思議なことが続く。湧く湯と母が動かす水音しか聞こえないはず。
なのにその湯壷から、ざぶざぶと誰かが進んでいく音が聞こえる。波は立たぬのに。
誰かいる。母が浸かる湯壷に、誰かいるのだ。
やがてそのざぶざぶとした音も消えた。しばらく音も止む。
しんとした湯壷。ゆっくりと肌に湯を滑らす母。
そしてその母が、「ふうう」と奇妙に長いため息を吐く。
藤次はしばらくぶりに母の顔を見た。ああ、あの顔をしている。
しだちから帰って来たばかりの、あの赤く火照った顔だ。

40 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/10/09(火) 02:52:52.89 ID:Kk0keqU7 [2/3]
「女」
「はい」
「お前が来るのをずっと待っていた」
「はあ」
「お前は、我が一族の女だ」
「それは前に聞きました」
「ではなぜ早く来なんだ」
「ここで知るまで知りませんでした」
「いくさで破れてからずっとだぞ」
「ですから、知らなかったと」
「いくさに破れ、血が絶えそうになったら、ここで再び会おうと」
「いくさからは、とうに百年経っております」
詳しくは知らないが、母の言う通り都などでいくさがあってから百年以上も経つ。
殿さまの武者行列などたまに見たりはするが、それもまるで祭りのようだ。
藤次には、男がなぜ母にそれを問うているのか分からない。
母がなぜ、それに応えているのかも分からない。
相手が、生身の者でなく物の怪であるのは明らかなのにだ。
「あ」
藤次は驚く。母いさが、小さく喘いだからだ。


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