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RPGキャラバトルロワイアル11

574Phalaenopsis -愛しいきみへ、愛するあなたへ- ◆6XQgLQ9rNg:2012/10/14(日) 06:47:48 ID:YS0TZHjM0
「それでも、私は、君に……」
 弱音めいた口調が、零れ落ちた。
 それをロザリーは、宝物のように掬い取る。 
「逢えます。私が貴方を愛する限り、貴方が私を愛している限り、いずれ、必ず」
 断言には揺るぎがない。
 お互いに想い合う気持ちさえなくさなければ、絆はきっと引き寄せられると、ロザリーは告げている。 
 ですから、とロザリーは続ける。
「ニノちゃんが伝えてくれた私の想いを、もう一度、私の言葉で伝えます」

 毅然として、堂々と。

「もう、お止めください。私の命を願い息づく命を奪う行為など、私は、決して望んではおりません。
 その果てに蘇ったとしても、私は」
 
 それでいて、ひどく痛そうに、とても苦しそうに、見ていられないほどに辛そうに。

「貴方を、愛せません……ッ」
 断言する。
「どうか、私にくださる想いやりを、少しでも他の方に向けてあげてください。
 罪を思い、償いを成し、そして――ご自身を大切になさってください」
 お願いです。
「どうかこれ以上、貴方を傷つけないで。私を、苦しめないで……ッ」
 深い吐息を挟み、ロザリーは、想いを吐き出した。
 
「ずっとずっとずっと、貴方を、好きでいさせて……ッ!!」

 責められても仕方あるまいと、憎まれても言い返せまいと、怨まれて当然であると。
 嫌悪され、唾棄され、侮蔑され、憎悪され、忌避され、厭悪されるであろうと。
 思っていた。思い込んでいた。
 そうあるべきだと独りよがりに信じていた。だから躊躇わず、ロザリーの想いを裏切ってきた。
 そんなピサロのココロに、ロザリーの震えが、嗚咽が、切なる願いが突き刺さる。
 ピサロの傷がロザリーの傷ならば、ピサロの復讐は、ロザリーをいたずらに痛めつける行為でしかなかった。
 自傷行為が愛する者を傷つける行為に繋がるというのなら。
 この復讐は、二人の傷を深めるだけで、決して終わらない。
 ピサロはロザリーを三度殺した。
 それだけではなく、殺した後も、その高潔な想いを冒涜し続けた。

「すまない……。本当に、すまない……ッ!」
 見て見ぬふりはもう出来ない。ロザリーの傷を目の当たりにしても復讐を続けられるほど、ピサロの愛は歪んでいない。
 謝罪の気持ちが溢れ、またも涙が視界を滲ませる。
「抱きしめて……くださいませ……」
 変わらず両手を下げたままのピサロを、ロザリーは、潤んだ瞳で真っ直ぐに求めてくる。
 泣き声の彼女に、ピサロは、歯を食い縛って首を横に振った。
「私の手は血塗られている。罪に塗れている。そんな手で君を抱き締めるなどと――」
 言い淀むピサロへと、ロザリーは繰り返す。
 ルビーの涙を流しながら、ピサロを真正面から見据えて、繰り返す。
 
「抱きしめて、くださいませ。私を抱き締めるのは……お嫌ですか?」
 問いかけと呼ぶには生易しい強さを孕むその言葉は、ピサロの想いの確認だった。
 言い訳がましい否定よりも、逃避めいた理屈よりも、ただ、愛おしさが勝る。
 もう、裏切るのは止めにするべきだと思った。騙すのは止めにしたかった。
 大切な女性のたった願い一つの叶えられないというのなら、そこに愛は、きっとない。
 ピサロの手から武器が落ちる。
 空いた手で、代わりに。
 愛しき身を、抱き締めた。
 腕の中にある肩はとてもか細い。
 この細い肩は、どんなことがあったとしても、絶対に傷つけてはならないもののはずだったのだ。
 その根本にあった誓いを押し出し、内省へと繋げ、傷ついたロザリーのココロを撫でるように抱き締める。


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