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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
709
:
深紅の協奏曲 ―独奏、王へと届くこと願い 3―
:2018/02/10(土) 22:32:20 ID:t3B0wPOI0
「……おや、来客かい?」
最初に出迎えたのは、視覚よりも強烈に飛び込んでくる臭気。堆積し凝り固まった老廃物の発する吐き気を催す臭い。それを無理矢理上書きするような葉の燃える甘さとも取れる刺激臭。……それらを少し吸い込んだだけで、脳内が明るくなるようだ。
ディアボロの視界に僅かに知覚できるのは階段から続いている転々とした小さな、ろうそくの灯火程度の光、何かを焼き焦がした時の灯り。
「すまない、香のせいでわからないんだよ。……ここは安全だよ、上とは関係ないから……ヒヒッ」
赤い襤褸切れをまとったそれが小さく呻くように話す。歓迎しているのかもわからない、ぼそぼそとつぶやいているようにしか聞こえない。薄らと視界に移るその顔は、同じく照らしているはずの光すら認識できていそうにないほどの盲であるようだった。
ただ音がしていた方向に向いてみただけなのかもしれない。現れた者を正確に認識しているかどうかも怪しい。僅かに震え続けている身体、もはや肌の色もわからないほどに薄汚れた醜態、それに比例する醜悪な顔。理由なく虐げられることに否を上げることすら戸惑わさせる。
「……なあ、あんた、もしかして俺の友達じゃあないか? いや、友達だなんて不敬だけど、でもきっ」
ナメクジのようににじるよるそれに嫌悪の言葉の一つでもかけようとしたディアボロは、突然の衝撃を予知する。
暗がりからの悪意、ただ目の前の呆けたそれと同じように過ごしていたらその衝撃に巻き込まれ危機に落ちていただろう。妙に痩せ細ばった身体の、ずだ袋を持った男が、その体躯からは想像もできぬほどの膂力をもって襤褸切れのそれを蹴り飛ばした。その先にいる者を諸共纏めて蹴散らす目的で。
哀れなそれは、小さな呻き声と水分の詰まった袋がつぶれる音と共に闇の中へと消えていった。わざわざ目を凝らせばその結末は知ることはできるだろうが。
「…………人、間。どうして、こんなところにいる」
腐った歯根しか残っていないような口から唾液と共に吐き散らされる言葉は疑問。黒い襤褸を被った男は明確にディアボロを認識し、存在を明かそうとする。
「お前た、ち、なんぞにやるもん、なんてない」
過度に力の籠められた拳はブルブルと震え、襤褸の陰から除く瞳は明らかに視線の焦点が合っていない。やや目の前のものに当たっている程度。その光がわずかに映す姿が何に見えているのかはわからないが、ただ明確な敵意だけを訴えている。
「表がど、うだ、と知った、こっちゃない、こ、こ、こまで明、かすのなら」
「……やや品質は悪いな、このような場所ではこの程度か?」
しかしディアボロには関係ない。屈みこみ、散らばる粉末状のそれを一つ摘まみ上げる。少なくとも自分の常識で、という根拠からだが今手元にあるものはあまりよろしいモノではなかった。彼からすれば、目の前の暴力など何の障害にもなりえないと判断できる程度。
質問に答えず、あまつさえ無視を決め込まれた男からすれば、その行動はただの侮辱でしかない。一欠けらの情けの言葉を踏み躙られたその衝動はたやすく頭に血を登らせる。
「ぎ、ぎひゅうぅいぃっ!!!」
閉じ切らない口から泡とともに激の感情が噴き出てくる。携えたずだ袋を、中に何が入っているかわからない赤く染みた袋を振り上げ、彼をその一部にしようとする。
だがそれは起こりえない。男はディアボロのそばに立つ精神の像を認識できていない。とっくに確認済みであり、そんな大振りをする間にほんの少し、眼球でも突いてしまえばいい、その奥、脳の髄まで。その準備がとうにできているのだから。妖怪という、以下に人間より強大なものであろうと、鬼の首領と僅かながらに交えた彼は、それに劣る者との明確な線引きはできるようになっている。
……だが、それは起こりえない。
「暴れるの、禁止」
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