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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

676深紅の協奏曲 ―ただ一人に送られた詠嘆曲 3―:2017/05/17(水) 23:28:29 ID:VxKLcTJo0
「腹が減った、腹が減った」「血が流れたい、血を流したい、血に流したい」「いつも貪られるんだ、貪りたいんだ」「ああ、柔らかい、温かい……」

「あっあっあっあっあっあああああああ」「暗いんだ、明かりがいるんだ、ここはずっと暗いんだよ」「俺だけこうなのは、全部あいつらが悪いんだ、だからあいつらがこうなっちまえばいいんだ」「肉、肉がいい、こんな筋張ったものじゃあなく」「かね、かねかね、足りない、もっともっと」「小さいのもいいなあ、大きいのももっといいなあ」「例大祭落ちた」「鬼どもも、覚も、神でもスキマでもなんだっていい、みんないなくなっちまえ」

「殴りたい、殴りたい殴りたいなぐなぐぐぐ」「許してくれ、許してくれ、あぁ、醜い獣たちがまた……」「みんな認めようともしねえ、兄より優れた弟がいるはずない」「俺は不屈、不屈なんだ」「血晶石を求めよ、狩りを全うするために」「俺のでよがってるんだ、俺のでよくしてるんだ、へへへへえへへええへ」「何がわかる、何がわかる」「聞こえないの、何も聞こえないの、聞かせてよぉ」「飯だ、赤い紅い朱い赫い飯だ」「酒、飲まずにはいられない」「私にだってやればできる、やってみれば簡単なんだ」「コマドリ、私は飛べるのよ、飛べるのよ、飛べ」「矮小なんだ、卑屈なんだ、だから穴に潜ってたいんだ」「一人じゃ何もできねえ、4人で一つなんだ」「のっかりてー、のっかりてぇー」「見ないで、ぼくを見ないで」「沈めたいなあ、沈めたいなあ、血の池地獄に溺れるなあ」

 市街に向かって走り続ける中、ぼんやりと立ち尽くすささくれた外見の者たち。その様々から奥底の欲求が聞こえてくる。自分に言い聞かせるように、周りに言いふらすように。きっと、肉体はその欲望を満たすために勝手に動き回っているのだろう。
 火柱が上がり、窮屈に積み上げられていた建物が倒壊する。眠らない街の明かりが、ただむやみに増えていく。
 逃げる、離れる、距離を置く。……いつかはその果てにたどり着けるだろうか? ……それから、どうやって?
 答えの見えない逃避に、徐々に芯が潰されていく感覚。だが追いつかれれば終わりという答えからくる焦燥。強大な力を持つ者と対峙したときの底から湧き出る恐怖。

「おにいさん」

 頭に声が響く。直下に流れる電気信号は辺りを警戒し、目と耳を最大まで酷使し、浮かび上がる像は安心を求める。
 ……まだ見えていない。何も見えない。

「おにいさん」

 それは先ほどよりも小さく、囁くように、けれど確実に脳内から響いてくる。甘えるような囁き声は、それでも姿が見えず慌てる自分を嗤っているかのようだ。
 
「おにいさん」

 ずっと滴り続ける雨音のように、その声は止まらない。予知に映る像にも、辺りの騒ぎからもこいしの気配は感じ取れない。
 ……もしも、先程まで感じ取れていた気配は、今に思わせるための撒餌ではないか? 近くにいないから、そう思わせておいて、

「おにいさん」

「う、あああああああああああああああああっっ!!!!!」

 絶叫し、有らん限りの力を振り絞って身体を動かす。周りと違い、何かに色を染めた表情を浮かべているのはディアボロただ一人。
 もはや、向かう場所すら曖昧に、それでも何かに縋るため、駆けた。


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