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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

653ピュゼロ:2017/01/22(日) 02:58:18 ID:IeD7ISTM0
「手のひらを前へ……ひじは直角……」
「なにしてる?」
「これですか? 記事を書く前の準備体操です。……だそうです。同僚がやってたんでマネしてみました」
「取材か」
 机の対面からは、極々小さい、騒霊の声。
 小さく灯された明かりに浮かぶ金の髪を揺らして、ルナサ・プリズムリバーは小首をかしげた。
 ちょっぴり、面倒そうな感じがする。
 人里まで顔を出せと、突然言われていそいそとやってきたはいいが、ただ酒を呑んで終われるようではなさそうだ。天狗も中々話がわかると思ったのは間違いだったらしい。
 酒とうどんが用意されていたところまでは順調だったのだが。
 妹たちに目的も告げず、黙ってこっそり、しめしめとほくそ笑んで来たのがよくなかったのかもしれない。
「ま、あの子なんかは準備体操がどーのよりもまず、自分の脚でネタを稼ぐという事がわかってないんですけどね」
「そうか。自分から動くのは……大事だな」
「いやあおっしゃる通りで。ささ、どうぞどうぞ」
「すまない。うん」
 示し合わせてぐいと酒をあおった。
 昼間と夕暮れと長く続いていた太陽の照り付ける視線もようやく落ち着いて、代わりに月の明かりの下でよどんだ風がふわふわと吹き抜ける夜だ。
 ぐびりと喉を落ちた酒は熱くもぬるくもなく、そのさまはまるで、生きてる人間みたいだった。


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