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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
647
:
深紅の協奏曲 ―ただ一人に送られた詠嘆曲 2―
:2016/12/06(火) 00:52:41 ID:OgIDPnI60
「……本当に、殺すつもりかい?」
正面、猫のしっぽを見ながらナズーリンは隣のディアボロに尋ねる。
「必要ならな」
端的に、それに返答する。
彼女はもう理解できる。短い間で、かつ会話はあの喫茶だけでだが、それでも彼は殺すといえば、殺すだろう。
やや考えを巡らせた小さな手は、ポシェットにあった水入れを取り彼に向ける。
「……何も飲んでいないだろう。さとりたちを信用しないのであるならば、私くらいは信じてくれ。君が殺しをしてほしくはないが、君に死んでほしくもない」
それは彼女の固い芯の一つなのだろう。そして、間に立ち入ることもできないことを理解してだろう。
元来の容量も少なく、さらに飲みかけだ。乾いた体を完全に癒すには程遠い量。
「……」
何も言わず受け取り、飲み干す。このような形で人から貰い受ける、こと躍進を始めてからなかったかもしれない。
飲み終えたそれを返すと、彼女は何も言わずに受け取った。
なぅ、と目の前の黒猫が鳴き声を発する。扉が二つ、開いており中は小さな寝室。
「……私はここで待っている。君は自由にすればいいさ」
言い放つ彼女はこちらに目もくれず部屋の中へ入っていく。落ちた肩は、何も追いつけていないことに対して苛立っているのかもしれない。
みぃ、と再び猫の鳴き声。前足をくいくいとさらに先へと伸ばしている。
歩みを進めようとしたその時、
「彼は殺しに行く。彼女は殺すかもしれない。私はどちらに付けばいいか、わからない。1000年経っても、それはわからない」
頭に声が響く。耳からの声ではない。まるで、精神に直接響くような。
「聖なら、ご主人なら、すぐに答えを見つけることができるだろうか。……私は未熟だ。彼に考えさせることもできない。……彼の、名前も知らない」
先ほど分かれたはずのナズーリンの声。だが、振り返ってもとうに扉は閉じ切っている。
わざわざ扉越しに? 理由がつかない。何より、聞こえる声に説明がつけられない。これは、ディアボロに語り掛けているのではなく、まるで自分に語り掛けている様。
「私に何ができるだろうか? 私は監視者、傍観者だ。……何も、できはしない。このまま、全てを忘れて眠りたい。祈ることしかできない自分を、さらに追い詰めるように」
まさか、と思い部屋前に駆ける。ノブを破壊するかの如く、勢いに任せて押し開く。
「これ、は……!?」
すぐそばの壁にもたれかかり、虚ろな目のままに床に伸びるナズーリン。そして、そのすぐ上に立つはおぼろげな、色合いの薄いささくれた、それも同じナズーリン。
存在感の類似は、まさしく自分の傍ら、スタンドに近しい。
ぶつぶつとうわごとを呟いているのは、おぼろげな方。今の立ち入りでかなりの音が発せられたが、まるでそれが聞こえていなかったように何も反応を示さない。
……そして裏に足音とまた新たな人の気配。動物ではなく、人。
「……恋物語のような恋がしたい」
存在を理解できる。まるで、自分から誇示しているかのように。姿は見えなくとも、その声でどこにいるのか理解できる。
「気持ちを伝えるには、まず相手の目を見て話さなきゃ。応援してね、帽子さん」
廊下の先、倒れた猫の奥。果てに見えるその姿……整容したか、少し小ぎれいになった衣装に変わった、古明地こいし当人。
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