[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
646
:
深紅の協奏曲 ―ただ一人に送られた詠嘆曲 2―
:2016/12/06(火) 00:52:10 ID:OgIDPnI60
「こいしの止め方、簡単ですよ。……あの子の恋心を止めればいい。もちろん…………いいですよ、殺しても」
「なっ」
その言葉を聞き、ナズーリンは振り返る。怒りと、驚愕、信じられないものを見た、という顔を浮かべている。もっとも、ディアボロも予想は着いていた。
「周りに悪意を知らずに振りまき、その飼い主は止めようとせず。もっともそれを被るのであるのならばまず最初に、排除が浮かぶ。当然だと思うが?」
「だ、だからと言って!」
「くく、くっくっ、私も当然だと、思います。現に過去にあの子がやらかした時も、その意見が大勢でしたよ……星熊童子がその場を抑えてくれましたけど」
笑みを抑えきれず声を漏らしながら、さとりは言葉を紡ぐ。ナズーリンの心を揺さぶるように。ディアボロの提案を肯定する。それが正しいように。
その二人の、突飛な想像に間に立つ彼女の顔はひくついて歪む。
「何もおかしいことではありません。底知れぬ悪意の媒介者、殺すことも普通。どうにかして殺さず何とかしたいと思うことも普通。そのどちらに立つか……そちらは、前者だったこと。彼が善人であればそんなこと考えもしなかったでしょう。ですが、彼の心の声はずっと、自らにかかる危機の排除しかなかった」
それに、と一度言葉を止め、再びさとりは続ける。
「彼からは私の能力を不気味とは思えど否定する声は聞かれなかった……手中にあればとも思っていた。……悪い人です、面白い人ですよ。覚はそういう人間がいるから食いっぱぐれない……」
くつくつと抑えながら笑い、またカップに一口つける。
「……あっま」
まるで気の入っていない、今まで一本調子だったさとりの声。確認のためだけ、動揺することなく口を開いたディアボロ。ただ一人、ナズーリンだけが振り上げた手を下すこともできずに立ち尽くしていた。
「それで……どうしますか? こいしが現れるまで、ここに滞在しますか? ここは広いですから、過ごす部屋はいくらでもあります。もちろん、ペットの部屋じゃあないですよ」
「……こいしはもうここにいるんじゃないのか? さっき、地霊殿に向かったはずだったんだが」
ナズーリンが自分が落としたカップを拾いながら、疑問を投げかける。まだ言葉の端々にとげは残ったままだが。
「……ええ。ですがここで見えない者を探すのも大変でしょうから。話に聞いていますが上の吸血鬼の館と遜色ないくらいには広いですよ、ここも」
「そうか……君は、どうするんだ?」
ディアボロに振り返るその顔は、やはりこちらにも思うところがあるのだろう。さとりへと向けられたとげは同じく残っている。
「……その女の言う通り、奴を探し出すのは容易いことではない。ただ何もせず待つ、というわけではないが……どうせ、お前は殺さないよう、私を見張るつもりだろう。……こいしの部屋は、どこにある」
「……わかりました、案内をつけます」
そういって手を叩くと、黒い小さな猫が入口から顔を覗かせる。
「お燐とは別の猫です。黒い猫、だけならうちにはまだまだいますが、人型になれる2尾はあの子だけですよ」
「……また猫かぁ」
小さく声を上げると、手と尻尾で器用に扉の外を指す。ついて来い、と言っているかのように。
「……」
「……行こうか。……さとり、君を見ていると聖の思想、到達への長い道を改めて感じるよ」
「お褒めの言葉、どうもありがとうございます。あのような方がいるからこそ、私たちは繁栄し続ける。つまはじき者は、互いに傷を舐めあうことを良しとし、手を取られることを拒むのですから」
その場を後にする者に、最後の言葉が投げかけられる。背中で受け取った二人は、しかし互いも変わらず表情だった。
二人とも顔を合わせることなく、長い廊下を歩いていく。動物たちの息遣いと、僅かに聞こえる足音が、二人の足に合わせて響く音を装飾している。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板