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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

645深紅の協奏曲 ―ただ一人に送られた詠嘆曲 2―:2016/12/06(火) 00:51:38 ID:OgIDPnI60
「あの子は無意識を操ることができる。だけど、それを他の者に使おうとは思わない。……思えない。それは、あの子が他者に使おうという意識がないから。それが平常です」
「……それが先程の話とどうつながるんだ? さとり、さっきからこちらの反応を伺うような話し方ばかりだね」
「くく、すいませんね。覚とはそういう性分なのです。……単純ですよ。あの子ははっきりと思いを告げる。きっと、それだけなのでしょう。だからこそ、おかしくなる。無意識に支配されたあの子が、唯一つ『意識する』。自分のことを理解してほしいと、自分のことを受け入れてほしいと。……そこに、無意識の引き金があることを知らずに、ね」
「引き金?」

 2杯目のミルクを入れながら、ナズーリンは口を挟む。

「あの子は寄り添い方を知らない。忘れてしまった。相手の傍に立とうとするのではなく、相手を傍に置こうとする。自分が思いを伝えれば、必ず相手が歩み寄ってくれると信じている。そう思って、取ってくれると思って手を出したのでしょうね」

 話し続けの彼女は、そこで自らの入れたお茶をすする。

「……おいしくないですねこれ」
「……続きは?」
「ごめんなさい。……あの子が自分を知ってほしいと思ったとき、あの子の力は発動する。意識して『無意識を操る』時、その歯止めをあの子は知らない。……わかる? その意味が」

 ナズーリンの一瞬呆けた顔がすぐに引き締まるのを、頭越しにでもわかる。

「ご明察です。無意識の伝播をあの子は理解できないし、それを止めようとも思わない。あの子の眼には相手の心しか映っていないのだから。周りのことなど映っていない。あの子は視野が狭いから。……相手が無意識に自分を愛するよう願ったとき。結果、無意識のパンデミックはコミュニティの機能不全をもたらす。表層の意識が抑えられ、無意識の行動が止められなくなる。封じられた心が解き放たれ抑圧された思いをはじき出す。
 …………これが、こいしがあなたにすることで起きること、です。あの子がすることは、おそらく自分の心を伝えるだけ、です。覚の最も苦手とする、ね。……私でさえも例外ではない」

 カチャカチャと砂糖壺から4杯5杯とカップに沈めながら、さとりは結論を話した。わなわなと、ナズーリンが震えている。
 彼女の心を読み取ったのか、首をかしげさぞ不思議そうな顔を浮かべた。

「無責任、でしょうか? それは違います」
「どこが違うというんだ! 君のやっていることは大勢に危害を加えることを傍観してるに過ぎないっ! 君がっ、こい、……くっ」
「こいしを抑えておけば……物騒な。口には出さないほうがいいですよ、そのようなことは。幽閉なんて、あまりにも残酷です。それに……」

 くすくすと嫌らしい笑みを浮かべる、その言葉を待っていたかのように。唇の端を歪め半開きの目と、ぎょろり、と音が聞こえるほど胸の瞳を開きながら、

「妹の幸せを願わぬ姉が、いるでしょうか」

 空間を震わせる、振動と衝撃音。彼女の卓上のカップが跳ね上がり、遅れて高い音が辺りに響く。

「……当人の付随のくせに、あなたが激昂してどうするのですか」
「っ、おまえは……っ!!」
「前の奴、どうなったんだ。殺された、でいいのか」
「ええ、その通り。経緯はわかりませんが、気づいた時にはゴミとまとめられており、こいしはいつもと変わらず何も知らない様子で。……彼、悪い人ですね」

 感情を抑えきれないナズーリンに変わり口を開く。単なる確認、しかし重要な項の一つ。さとりの顔は後ろに立つ者、ディアボロへ向く。対峙している彼女と変わって、彼は表情も変えずそのまま聞いていた。


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