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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

633ピュゼロ:2016/11/26(土) 20:56:44 ID:WuAK45Gg0
「……」
「……し、師匠?」
 鈴仙が震える声で一度ぽつりと誰何して、誰も答えてくれずにそれっきり、沈黙が大きく手を広げて圧し掛かってきた。
 知らず知らず、耳がわずかに「くの字」に曲がっていた。なぜなら、最強の鈴仙の能力にも例外というものがあって、その盲点とでも呼ぶべきものがまさに目の前にいたからだった。
 たぶん。永琳さまか、姫さまよ……あの二人にも、あんまり効かないし。
 そうでなかったなら……おそらく、鈴仙はここで腹筋ぼこぼこにされてしまうだろう。……相手が永琳の場合でも、最悪の結末を考えると、あり得る事ではあった。
 そうやって鈴仙が、想像と警戒と、ありもしない苦痛の想起によってぶるぶるぶるぶると震えていると、どこか躊躇うような気配ののちに、ややあってから声がした。
 中空に垂らされた水の一滴のような、快晴の空のまなざしのようなその声は、鈴仙が聞いた事のあるものだった。
「おはようございます」
「お、おはようございます……。……えっ?」
 その声に、聞き覚えはあった。しかし。
 鈴仙の脳裏では最悪の結末が意地の悪そうな妖怪の姿をして、師匠と肩を組んで鈴仙の事をげらげらとあざ笑うのが見えた。二人して、指で下品なしぐさをしたり、「負けて死ね」という意味の書かれたプラカード(おそらく師匠の仕事用の医療カルテ)を振り回していた。
「月の兎(せんし)よ。けがをされたと聞きました。今日は、そのお見舞いに来ました」
「……純狐さん、ですよね?」
 思わず鈴仙がそう尋ね返すと、純狐と呼ばれたその人は、にっこりとした笑みでにうんうんと頷いた。
 それだけで、怖気の走るような力が部屋中に溢れだし、渦巻き始めるのだ。
 それは先だってのかの異変の折に彼女と対峙した際、真の意味での古い力、神霊である彼女がぶつけてきたものとまったく同一だった。
 そしてその時に、投げつけられた言葉たちも、ありありと思い出せる。

「だが、不倶戴天の敵、嫦娥(じょうが)よ
見ているか?
お前が出てくるまで
こいつをいたぶり続けよう!」
「お前に良心の呵責というものがわずかにでも残っているのなら、大人しく観念しろ!
さもなくば嫦娥よ、聞け!
こいつの生皮をはがし、おもてに塩と香辛料を擦り込み、風通しの良い日かげで適度に寝かせ、熟成をみ計らい、からだのいたるところが裂けて血の吹き出すまで転がしてやろう!」
「口だけではないかと疑っているのか?
私は本気だ!
見よ! このうさぎの、臆病そうなくせして妙に増上慢な表情を! 見ているだけでついつい苛めたくなるさまを!
私の怒りは混じりけがないぞ!」
「そして見せよ!
こいつが生きて帰られなくなるか、さもなくば腹筋ぼこぼこにされた上で帰れなくなるか
二つの道を前にして、お前が選ぶものを。お前の答えを待とう!
このうさぎの極限の状態を前にして、お前の純粋なところが露わになる
どちらにしろ、穢れたるこいつの行く末など決まりきっているがな!」


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