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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

624深紅の協奏曲 ―ただ一人に送られた詠嘆曲 1―:2016/11/03(木) 15:08:28 ID:NawRDUkI0



「待て、待ってってば」
「……まだついてくるのか」

 やや離れて、その後を討とうとする者が来ないかを確認していると、来たのはナズーリンただ一人。

「当り前だ。何をしたのかわかっているのかい? ……少しでも君が生きていけるように手伝っているんだよ、私は」

 おそらくあの場から息を潜め、急いでこちらまで駆け付けたのだろう。少々息は荒いが顔は少し青白さが残っている。

「さっきの戦いで君は完全に鬼たちを敵に回した。勇儀の前だからこそ、彼女の顔を立てるために手を出す者がいなかったけどもし君が目のない場所に言ったらそのまま殺され」
「だろうな」
「……わかっているつもりなのか? 死にたい、とでもいうのか?」

 顔色を、真意を伺うように顔を覗きこんでくる。逆に見返せば、そこには心配と疑いの色。

「健闘の勝利でも敗北による撤退でもその後は変わらないだろう。あの子供のいうことならば注目を集められればそれでよかった。何より、あの女のことより前の男の言っていたことのほうが気にはなる。……私に、何をさせる気なのかが」
「……まあ、確かに。はっきり言って異常だ、あの反応は。話に聞いた程度とはいえ、私の知っている地底ではないみたいだよ」

 そういうと、顔を下に向け思案するナズーリン。耳をゆらゆら揺らしながら呟くように、

「元々こいしは……古明地こいしは覚えられていることが珍しい妖怪だ。無意識を操り、無意識に支配されたあの子は他の者の目に映っても意識外に映る。だから認識できない、記憶に残らない。私のように余所から教えられたとかなら別だがね」
「その割には全員が知っているように見えたが」
「だから妙なんだと言っているんだ。……あの姉がわざわざ知らせた? こいしの事をわざわざ、全員に? 要の人物だけじゃなく……地底は何を隠している……? そもそも、何が起こるというんだ……」
「……それを、確かめる必要もあるな。私としても投げ出す気にはなれん。後ろからいつまでも見つめ続けられるのはまっぴらだ」

 辺りを見回す。先ほどの喧騒が嘘のように静まり、こちらを陰ながら伺う目線が増えてきた。先ほどの現場から引き揚げ、自分たちを追っているか。
 そんなものは関係ない。それより、あの子供を視界に収めること。……できるかは、不安だが。

「……地霊殿は、もうすぐだ。それほどかからないと思う。あそこに近ければ近いほど目もなくなるよ。……さとり、こいしの姉について、何か知っているかい?」
「いや……何も知らない」
「…………さとり、名前と一緒だけど種族としてのサトリ。人の、心を読む妖怪だ。こちらの思っていること、考えをすべて読みとることができる。話し合いの舞台が違う、誰からも好かれない妖怪だよ。余程の変わり者じゃない限り、好意的には受け入れられない。相手もそれをわかっているのか、誰とも相手をしない」
「なるほど……気に入らない能力だ」

 つい、と先を指さす。辺りから家を灯す光が消えた先、僅かな熱気を感じられるその方向には様式と規模の違う屋敷が経っている。洋装の館は地底の天井が見えないようにその高さを測れない。
 ここに至るまでに人の姿は垣間見えたものの、こいしの姿は見当たらなかった。
 いつに現れるか、いずれに出てくるだろうか? そう思った矢先に、

「おにーさんっ!」

 後ろから声をかけられる。振り返るとそこには飾られた包みを持った彼女の姿。
 振り返るディアボロの姿を不思議そうに見て、釣られて振り向くナズーリンは、ややあってこいしを認識したようだ。

「現れたね……厄介者」
「すごかったね、おにーさん。みんながあなたを見てたわ。あんなにみんなが夢中になることなんてここではなかった、おにーさんの注目度は最高ね!」

 二人や、他の者たちと違い熱に浮かされ頬を染めながら興奮を露わにする。両の腕をパタパタと振りながら自身の感情を伝えている。

「きっとお姉ちゃんもおにーさんのことを好きになる。地霊殿のみんなもおにーさんのこと好きになってくれる、きっと!」

 今まで以上に笑顔を浮かべ、ディアボロの腕をとりながら先を指す。ナズーリンと同じ方向、地霊殿。
 ……その先にまた一人影が見える。

「呼ばれてじゃじゃーん、あたいにじゃじゃーん、とぉ。……おやぁ?」


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