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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

613ピュゼロ:2016/10/08(土) 11:10:12 ID:0qVqoaD.0
 一、

 鈴仙がふと顔を上げると、陽光が真っ赤に燃えながら沈んでいく、まさにその瞬間だった。
 大層ご機嫌な感じだ。
 右手にお団子。そして飴湯。
 徹夜が続いて、少々疼痛のする頭に、甘くて温かいものがとても嬉しい。
 店先の腰掛けに落ち着いて、足をぶらぶらと遊ばせる。その影が夕日に長く長く伸びて見えた。靴先がぐんにゃりと奇妙に歪んでいて、耳のところがお化けみたいにゆらゆら揺れていた。
 隣の男もだいたいそんな感じだった。
「……で、ごめんなさい。何て言ったっけ」
「ドッピオですよ」
「ああ。そう、それだわ」
 しょうが湯から上る湯気ごしに、小さな苦笑が見えた。
 覇気がない、というのだろうか。大人しそうなやつではある。人里ではあまり見かけない名前に、髪の色。珍しいのか、鈴仙の耳をじろじろと見てきた。鈴仙はわりと身長が高いが、そいつもわりと低かった。話しかければ、案外気安さはあった。
「ま、お互い大変よね。探し人なんて。里こそけっこう狭いけど、ここで見つからないとなるともう、どこへ行けばいいやら、ね」
「この辺りにいないなら、外にいる事になるのかな」
「そうじゃない? でもまー、妖怪なら何やらに、食われるほど弱くなければ……だけどね」
「例えばどこに行けばいいだろう?」
「ん。んー? 一番近いとこからしらみ潰しに、って?」
「そうするしかないのかもしれない」
「いや、でも……あそこはやめといた方がいい。なんてったって悪魔の館よ」
「なんだって?」
「ほら、あそこ。あの畔のとこ。赤くて趣味悪いやつ。血に飢えた吸血鬼が住んでるからね」
 話す彼女はけっこう生き生きとして、楽しそうだった。
 それは、ドッピオの人当たりの良さがそうさせるのかもしれないし、周囲の事情からくるものなのかもしれない。永遠亭において、輝夜は主人、永琳は師、てゐは年長、その他妖怪ウサギたちは皆手代のようなものだ。気楽に話せる対等の仲という意味ではむしろ、巫女や黒白といった、弾幕を撃ち合ったりする外の連中との方が多いのかもしれなかった。
「まあ、やるしかないけどね。頼れるのは自分だけだわ」
「……そうだね」


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