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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

579深紅の協奏曲 ―無意識に奏でられる即興曲 2―:2016/07/16(土) 16:57:03 ID:4pN8s2To0
「あは、やっとしっかりつかんでくれた」

 その腕を、柔らかくいとおしそうにさすろうとする腕がある。
 ディアボロには、それがひどく不気味に思えた。感触、伝わる温度は確かに人の手のひらそのものだが、小さな、無数の毒蛇が量の腕をはい回るような不快感。無意識のうちに、それらは感じ取られた。思わず、肌が粟立ち身震いを起こす。

「さ、一気にいくよー!!」

 知ってか知らずか、はたまた押し殺すためか。速度を上げて落下、飛翔する。重力に従った高速の移動、直下型のエンターテイメントに五感が、脳が揺さぶられる。

「おまっ、なぜスピードを上げるッ!?」
「こんな真っ暗なところじゃつまらないもの。早く着きたいでしょ?」

 ナズーリンの照らす明かりから逃れるように、その速度はぐいぐいと上がっていき、直下に落ちていく様についにはこいしの帽子は耐え切れず、ディアボロの顔を打って彼方に残る。
 目をつぶってしまいそうな相対的な風量をあびながら、それでもこらえて暗闇に落ちるさまを眺めていると、

「、あれは、なんだ」
「もうすぐ到着でーす」

 先に広がる緑の光。先ほどまで照らしていたナズーリンの蒼い明かりとは違う、どこか陰鬱とした印象を与える暗い緑の光。何もないはずだが、それが自然であるかのように、どこからも射さぬ光の代替となって辺りを照らし始める。
 ぐんぐんと迫りくる地面を確認すると、ディアボロはこいしから手を放す。

「あっ」

 降りる速度のままにほぼ直角に曲がろうとした彼女が急な重量の減退にバランスを崩してその場にとどまろうとする。
 対してディアボロはその速度のままに地面に向かう。人が死ぬには十分な速度だが、間に自分のスタンドを挟み、それをクッションとして衝撃を和らげる。
 辺りを見回す。上には確かに長い竪穴が続き、見えるものはほとんどない。うすぼんやりと青い光が漂っているが、おそらくはナズーリンのペンデュラムだろう。
 近辺にはそれ自身が輝く植物が繁茂しているようだ。そしてそれとは別に石造りの灯篭が緑の火を灯して点々と続き、来訪者を導いている。
 その先には一つの和様建築の立派な橋が見え、奥には闇の中に集いを表す光が見える。

「もう、あぶないよ!」
「……歩かなくてよさそうに見えたからな」

 心配しているのか離れたことに対する怒りか、頬を膨らませながら両手を上げて感情をアピールする。……しかし、それでも彼女の瞳はどこか空をさまよっているような、こちらを見ていないように感じる。
 もともとそういうものだろうか。目線を合わせていながらも、一度も通じた記憶はない。

「この先は嫌なのがいるから急いで行ったほうがいいの、だから行くなら急いで」
「嫌なの、って誰のことかしらね」


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