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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
575
:
深紅の協奏曲 ―無意識に奏でられる即興曲 2―
:2016/07/16(土) 16:54:26 ID:4pN8s2To0
「いったい何を考えているんだ君は! 地底は忌み嫌われた妖怪たちの住処、幻想郷の中でもはみ出し者の集落だ!」
「違いますーっ! ちょっと変わり者のいい人たちだらけでーす!」
「それはこいしの主観だからそう見えるだけだ! 今は少し緩くなったとはいえ基本的には行き来は禁じられている場所だ! 思い付きでおいそれと入るわけにはいかないんだぞ!」
「けどお燐もお空も行ったり来たりしてるし、霊夢の所に行ってるけど何にも言われてないもん」
「あの不良巫女め……! それはあの風船巫女が何も言わないからで本当はダメなんだぞ!」
ディアボロの歩く後ろで、少女特有の甲高い声が辺りを賑わわせる。子供の言い争いなど久しく見てはいなかったが、ここまでうるさいものだっただろうか?
いつまでも続きそうなその声に一喝を入れてやりたくなる気持ちもあるが、おそらくそんなことでとどまりはせず、むしろその熱意は加速するだろう。
「君もだ! よくもやすやすと心変わりするものだ! スカーレット姉妹に何か見出したんじゃなかったのか!? だから紅魔館に行くんじゃなかったのか!? 足掛かりとか仇敵を乗り越えるためのどうのこうのはいったいどうした!?」
「……」
「これから行くところは地の底の底だ、人間もいなければ君一人で抜け出ることもできない! 一体どうするつもりなんだ!」
「もー、ネズミさん、そんなに大きな声出したらみんなが起きちゃうよー」
「そんな時間かっ!!」
ふと空を見上げる。橙に染まりゆく空の色、元々の目的地への出発と到着の予想は日が暮れる少し前だった。博麗神社の近辺にあると聞いている地底への入り口、おそらくそこへの到着は月が見えるころだろう。夜分には妖怪も活動的になるし、神社の近辺にも傘の妖怪がいたように、こちらに害を成そうとする妖怪が現れる可能性はある。
向かうとするのなら、少し急ぐべきだろうか……?
「ねえ、そんなにゆっくりじゃあ日が暮れちゃうよ」
考えた矢先に、こいしが自分の片腕に組み付いている。
「ッ!!」
「わぁ」
条件反射に素早く振りほどいてしまう。もっとも、飛ばされた本人も傷んだり驚いたりしている様子はない。そうされるのが当然の反応と思えるような笑みを浮かべたまま倒れる。
あの夜にあった傘の妖怪より、よっぽど驚かすのは上手なようだ。現に、ディアボロは少しの隙に再び心臓を跳ね上がらせているのだから。
「……黙って抱き着くのはやめろ」
「でへへ」
知ってか知らずか、その表情に反省の色は見られない。
「おにいさん、歩いたままじゃあ日が暮れちゃう。飛んでいかないの? 人間だから飛べないの?」
「そうだよ、彼は飛べない、というか普通の人間は空を飛べないだろう。修業した退魔師とかならともかく」
「ああ。オリン……あの猫の妖怪から聞いてはいないのか?」
「しょうがないな〜」
立ち上がり、姿勢を整えたこいしは両腕両肩をぐるぐると回す。さしずめ準備体操と言わんばかりに。
「両手を持っちゃうと腕が抜けちゃうから、肩車でいいよね」
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