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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
560
:
ピュゼロ
:2016/05/08(日) 11:46:35 ID:Xo8qSb6.0
もちろん、あらゆるものは戦いの果て、死の上にそびえ立っているのであり。
この世界、幻想郷も、その下には殺された無念のものたちが無数に蠢いているのだ。
藍は常にそれを考えている。
このちっぽけな囲われた世界のために。
誰かが死ぬ……殺されるだけの価値は、はたして本当にあるのだろうか。
「いいや――」
どこからか、幻想郷では珍しい、少女以外の声がした。
その時、藍は実に奇妙な反応をした。「ブルブル」と突然身震いをしてみせたのだ。それは、体のいくつかの部分をその場で厳重に押さえつけられて、さらには見えない巨人の手で左右に無理矢理「揺さぶられた」かのような動き方だった
「……うぁっ」
その動きは痙攣のようで、しかし藍の驚愕する表情から、それが思ってもいない事なのは確かだった。
九つの尾がばさりと莫大な妖気を持って広がり、ぶわっと森の中を見えない強風のようなものが通り抜けていった。
それは一瞬の事だった。
遠くから見れば、藍の姿が少しの間、握った拳の一つ分宙に浮いたように見えた。彼女がその場でぴょんと飛び跳ねたと言われてもおかしくないぐらいだった。
そして「すとん」と地面に降り立った。
藍はふと、自分の腹を、道着の上からぽんぽんと叩いてみた。
しかし、触れるはずの指先は、するりと何もないところを突き抜けた。
それは、嘲笑うハロウィンかぼちゃのようにぽっかりと空いた大穴だった。
藍にはそこを突き抜けていた紅い腕を目の当たりにする事もかなわなかった。
どう見たって、決定的な、致命傷であり――
――死ぬのはお前の方だ。
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