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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

551ピュゼロ:2016/05/08(日) 11:31:11 ID:Xo8qSb6.0

 邪魔するぜ。表の方から声が聞こえる。
 ハイハイ開いておりますよとぞんざいに返した。
 声より先に戸口から現れたのは、月明かりの薄闇の中でさえも見紛う事のない――
 黒白の魔法使い、霧雨魔理沙であるようだった。
「いきなり、悪い。いま、いいか?」
「ええ、ええ。構いませんとも」
 機嫌よく頷いたのは、もちろん彼女の手にぶら提げられていた酒のためである。
 せまっ苦しい長屋では、少女が一人増えただけでますます手狭な感じになる。
「すいませんねェ、気を遣ってもらってしまって」
「いや、押しかけたのはこっちだしな。あー、ちと立て込んでて、酒しか持ってきてないんだが」
「呑める酒はないので丁度いいのですよ。……まあ、もう呑めない酒もなくなりましたがね」
 恨めしげに、横目でちらりと空になった瓶を見る。閉ざされた里の中では貴重なものだ。そいつは賢くも強くもないなりに、医者の真似事などをして日銭を稼いでいるのだ。
 長い金の髪が揺れる。
 狸妖怪の向かい合ってどかりと腰を下ろし、ちょいちょいと座布団を引っ張ってくる。お互いに慣れたものだ。
 その拍子に、ふわりと眼前の少女の……体臭が届く。
 それは少女たちにだけ許された甘い甘い、酷く蠱惑的なものだった。
 薄れて掠れ、ほとんど忘れかけていた食い意地がふと顔を出すような……そんな気がした。
 ごほん、ごほん。
 心中浮かんだ気持ちをごまかすように咳払いをした。
 魔理沙の方は、常の陽気なさまをどこかに隠し、なにやら終始、難しい表情をしている。


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