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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
549
:
ピュゼロ
:2016/05/08(日) 11:25:52 ID:Xo8qSb6.0
※
藍は――
星の燐火である。
人は、大勢である。何処にでもある。人里にも、野山にも。或いは“外”にもある。群れている。
それらは不思議な光景だった。それは、“外”で死に絶えたとされる種が姿を見せる幻想郷らしいものでもあった。
妖怪に囲まれているにも関わらず――
妖怪も、少なくはない。外にも僅かある。人里にもある。そちこちに溢れている。犇いている。
痩せ衰え鈍麻不明と化したものたち。かつて失ったものを想い居並ぶものたちである。
人間を襲えないにも関わらず――
……藍は、折々に考えている。
彼女は誰にも見えなかった。役割なのか、性質なのか、強大で佳麗な狐に向けられる視線は彼女を素通り何でもない処を突き抜けた。
さながら、夜空に輝く星々の煌めきが、それが眩しければ眩しいほど、決して個々の輝きとして意識されないのに似ていた。
その数は次第に次第に増えていって――
増えたと思えばふとした時には消え――
ちらりと瞬きまた増えているような――まやかしの、ゆめまぼろしの、狐の燐火である。
色さえ定かではなく、見る者を惑わすのか、追う者を煙に巻くのか、由来も目的もはっきりせず、ただそこにあるというだけなのに、それでもその存在は無視できないぐらいにはっきりしているという、なんとも曖昧で、厄介なものだった。
誰にも藍は数えられない。
華美で幽玄な狐の焔も、やがては落ちて跡形もなく消えるという。
だから、誰にも藍は数えられない。
冷徹で、身も蓋もない藍の明快な方程式は、情やら義といったぬくもりの入る余地のないものだった。
それはあの、天に輝く目一杯の星空を眺める時の、手を伸ばしても決して届きはしないのに、それでも俯いて地面を見つめる気にはなれないという、あのどこか屈折した想いにも似ていた。
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