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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

530深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 4―:2016/04/20(水) 21:56:13 ID:y37Qs2Pw0
「私の能力には……スタンド能力には先がある。その力を用いた者が、幻想郷を巻き込む宇宙の事変を巻き起こした。私はその能力のテストケースとしてこの幻想郷に連れてこられた」

 彼女の目的をためらうことなくその場に居る全員に向かって話す。事実は、その場に居る数人に少なからずの衝撃を与えていた。

「あら、勝手に話されてしまっては困りますわね。何のための実証でしょう」
「……紫が泣いて請うたあの事変の、原因ですか?」
「泣いてません」
「あ、失礼しました。弄るつもりではなかったのですがつい」

 ついうっかり、と完璧に偽った表情を浮かべる咲夜。先ほどの主へのための意趣返しだろうか。

「……とにかく。そのためのテストケース。妖怪を恐れる人間たちが、人間を恐れる様になってはいけないの。あの事変が人間同士の争いの結果だとわかってしまえば、この幻想は崩壊する。レミリア、貴女がここに来た理由もそうだったでしょう?」
「……そう、だけどねぇ。私には咲夜がいる以上驚きはしなかったが」
「だからこそ、貸してくれたのでしょう? 本当、痛み入ったわ」
「気持ち悪っ」
「レミィ、突っ込みいれてたらいちいち進まないよ」

 他と違い、ほとんど興味なさげなパチュリーの声が間を刺す。

「まったく。……話を戻すわ。貴方を観察し、外に起きた因子を探り。……結論を言うわ。貴方に、いえ、その他の者にあそこまでの事象を起こしうる力は存在しない。100年の歳月とそれにまつわる数奇な運命、そして周到に用意された贄と土地。……そこまでを用意することは二度と、起こらないでしょう」

 そういって紫は一冊の本を取り出す。本、というよりは少し厚い、使い古された黒いノート。それを取り出すや否や、ノートは紫の炎に包まれ消失する。

「あ、何なのよそれ」
「とある男と、その因縁との長い長い結末。届かないが故に手を伸ばし、果てには天国を掴んだ男の話。……今は、それも過去の話。終わった話を不用意に紐を解く必要はない」
「……天国? それが、何の関係が、……むぅ」

 口を挟むナズーリンに対して、何も言わずに紫は睨みつける。同じことを二度繰り返す必要はない、と言いたげに。まさしくその通りなのだろう、意図を読んだ彼女は諸手を上げて押し黙る。

「いずれにせよ、あのことについて皆が考えることはない。皆が悩むことはない。巡り巡って大団円、です。彼が、受け入れるのならば……ね」

 眼の先が、ナズーリンからディアボロに移り、自然とその場の者の視線も彼に向けられる。

「幻想郷から貴方を束縛する理由はなくなった。いくらか貴方が歩む道を敢えて与え、道より先も、貴方は自分の力で歩みを進めた。……結局あの事変でさえ、人の歩む道の先だったのだから。貴方は歩き切り、そして次へ行くのなら」
「…………」
「けれど、一つ付け加えるのなら。幻想郷の外へは……元の世界へ戻るのであるならば、貴方の枷は全て再び嵌められる。幻想の中だけでだけ紡げるものを外へ持ち出すことはできない。万に一つ、良成る可能性を信じることもできますが、期待しない方がいいでしょう」
「…………」
「もし次へ進まず、ここを終点とするならば。外への未練を断ち切るのならば愛した我が子と共に永住するのもいいでしょう。別の形になりますが、貴方に平穏は訪れる。貴方が手にすることのできなかったものが、幻想郷なら手に入る」
「……」
「岐路は訪れた。以後選択はないと心得よ。遷ろう時を澱ませることなど、本来できはしないのだから」
「できますが」
「お静かに」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」

 唐突に突きつけられた選択に、再びナズーリンが声を上げて制止を求める。


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