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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

512深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 3―:2016/03/08(火) 21:08:38 ID:9wl90O9U0
 わざとらしく、耳に手を当てて言葉を促すようにレミリアは振る舞う。

「今なんて言った?」
「……何」
「オレはー、なんだって?」

 にやにやと、さぞ嬉しそうに。

「…………」
「ん〜〜〜〜〜〜????」
「……オレは、敗者だ」
「なぁにぃ〜? 聞こえなーい」
「…………」
「ん? 何だって? ん?」
「……………………くっ」
「ほら、早く言ってみなよ。はーやーく、はーやーくー」
「……私は、レミリアに、っ、ま、負けました…………」
「グッド。その言葉が聞きたかった」

 ご満悦、といったように。幼さの残る悪趣味な笑顔を浮かべながら、満足げにレミリアは言い放つ。屈辱に満ちた表情のディアボロを、見たかったのだろう。彼も、敗北を味わったことが無いわけではない。だが、改めて事を強調させられる恥辱は、耐えがたいものがある。

「思いつめた顔が取れたね。私も真剣だった、それに偽りはないよ。だけど、ここは幻想郷。郷に入っては郷に従え、ってね。あとはあの子が許せば、私はあんたに何もしないわ」

 そういって指した先、残骸の影に隠れ、皆の輪から離れる様に虹色の宝石をぶら下げた羽が、その持ち主が窺うようにじっと見ている。

「フランを利用したことについて、『私は』今の表情を拝ませてもらったことで無しにする。けれどあの子はあんたが倒れてからずっと近寄ろうとしない。あの体験はもう御免みたいね」

 食い入るように見つめる瞳は、恐れと羨望だ。興味はある、輪の中にも入りたい。自分が興味を持った人間と、自分に興味をすこしでも持った人間に触れてみたい。だが、大元を断てていないことへの不信。

「……好きに、すればいい。私が相手をしたものが決着はついたと認めた以上、その者に関わる何かに因縁をつける必要もない。先ほども言ったが敗北したのは私、今は抵抗もできず、もしフランドールに同じことをしたならばお前がすぐにこの首を分かつこともできるだろう」
「つまり?」
「……」

 再び、残酷な笑顔を浮かべる。レミリアの心は、本当に死闘と結末とで別なのだろう。否、レミリアだけでなく、幻想郷の住民は。その中でフランドールだけはまだ至っていないということ。相手が幻想郷の住民ではないということ。

「……私はお前にも負けたんだ、フランドール。生殺与奪はお前たちに権利がある。好きにすればいい」
「………………ほんとう?」
「殺させはしないけどな! 元々は私に挑んできたんだから、今は私が所有しているんだからね」
「おい……」

 おずおずと、影から全身を見せる。

「ほんとうに、もうあんなこと、しない?」
「……今は、できないな。せっかく拾った命をむざむざ捨てる行動など」

 とたた、と姉の膝元に横たわるディアボロに、フランドールが近づく。自分が吹き飛ばした右手を、今は繋がっているその腕を手に取る。

「……大きい手。お父様の手みたい」


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