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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

476深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 2―:2016/02/09(火) 01:06:42 ID:YIi0InD60

――がぁん。



 高い質量が石床にぶつかる。膨大な力を持ったそれも制御しきれない速度をもてあまし、安定を保てず無様に転がる。
 轟音が響いただろう。館を破壊し抉る主の全力が無作為にまき散らされたのだから。
 だが、二人の耳には何も響かない。
 脳が現状を理解するまで、神経は何物も捕らえられなかった。



「くぁっ」

 転がりつづける小さな身体が、壁面に叩きつけられ肺の中身を搾り取る。震えた声帯が、ようやくレミリアの現状を認知し始めるきっかけとなった。
 自分が負けた。残滓の全てを使った、吸血鬼の底の底をすくい取られた。自分より傷ついた人間に。称賛はあれど、種の誇りが心に敗北を刻もうとする自分を許さない。
 相討ちではないか。あれほどの余力を用いて相手だけ立っているなど。……最後に立っていた方が勝ちなのだ。まだ折れる時では、

「くっ! ……ぁ」

 必死の勢いで顔を上げたレミリアに恐怖が宿る。屋根がすべて破壊され、謁見の間には月明かりを遮るものはない。
 なのになぜ、あの赤い月は自分を照らさないのか? 闇の王が、何故闇を恐れなければならないのか?
 簡単だ。

「……終わらせて、やろう」

 男が、彼が。ディアボロが手を振り上げる。全身が血濡れになり、動く死体のようにも見える。残された左腕は、もはやぶら下がっているだけ、にしか見えない。
 何もしていない目の前の男が、おぼろげに、だが確かに自分に手を下そうと。『何か』が戦いの終結を告げるために手を振り上げている。



 目を瞑った。縛られたレミリアには、それくらいしか抵抗はできなかった。


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