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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

474深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 2―:2016/02/09(火) 01:05:38 ID:YIi0InD60




 暗転。
 そういえば、レミリアが辺りを飛び回り始めたのはどれほど前だっただろうか? 5秒か、10秒か? もっと前だっただろうか。
 崩れ去った自分だけが見ている世界は、生あるものだけを映しこみ、阻害する何物も排除する。今ここで見る『予知』は、確実に自分を抉り去ろうとする彼女の姿。それも一つだけではない。
 期を示した彼女は一撃を皮切りに、反転と破壊を、自分の一点に幾度も繰り出そうとしている。いかな方向に逃げようと収められるように、周りから少しずつ、その機動を小さく細かく。
 先ほどの行使からどれほど止まっている間に動けるかを推測しての行動だろう。自分が五体満足であれば余裕のある距離を、今の肉体では到底向かいきれない距離は捨ててその最後の一撃に特化するために。
 もし、先ほどの声が無ければ機会を得ることはできず、不完全な状態での衝突は免れない。回避もできない。チェスや将棋でいう『詰み』の状態に陥っていた。

「……」

 変わらず、この世界は無音だ。必ず生じる空気の振動が、遥かどこかの虚空で起きているような錯覚を覚える。その感覚だけを、受け止めている。いつもの通り、いつものごとく。
 あの声が聞こえないのはこの中だからだろうか? それとも限界状態からの研ぎ澄まされた感覚が、自分の都合に合わせて変換していただけ? その答えは、ここではわからない。聞こえないのだから。
 一本の線を選ぶ。映し出される像は、映し出される画はその最適解。
 一つ、二つ。一瞬のうちに掠めていく線を一つ一つ避け、その戦前に立つ。
 勝負は一瞬。




 光速で、床を壁を天井を鏡に反射する光のように飛び跳ね続け、もはや自身さえも音も光も感じ取れなくなるほどの中、それでも何か、感覚で敵の位置を掴み続けてきた。
 その認識が大幅にずれる。レミリアはそれで理解する。時を吹っ飛ばされたことに。
 精神を摩耗するかのその集中力の中、感覚を飛ばして敵の位置を探る。
 背後か? 側面か? 上か? 下か?
 吹っ飛ばされた結果は常に回避、それに伴う反撃。だから、それは心理的な死角。

「な」

 一番最後に認識した正面。そこにディアボロは立っていた。
 秒以下の単位での認識のずれ。だが、今はそれが致命に至る決定的な瞬間になりうる。
 彼は飛ばしきれずに眼前にいるわけではない。『迎え撃つ』ために、正面に立っているのだと!!



「、あああああああああああああああああっ!!!!!」
「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」


 もはや、言葉にならない、ただただ腹の底から響かせるだけ。それだけの力が何処に残っていたのか、両者の衝突はその振るえから始まる。
 飛び回った最後の、愚直な故に全力の篭もった体当たり。
 それを迎え撃つ盾は、残された最後の左腕。
 ディアボロはキングクリムゾンの左腕を、レミリアを『流す』ことに使用した。
 最初に言った通りに、二人とも弱っているとはいえ力はレミリアに分がある。いくら不意を突いても衝突を行えば、敗北は必至。
 強引なレミリアの軌道は、その実壁との反射の時の精密な、あるいは強引なと言える受け身に依る物。軌道を反らし、不利な体勢を強要させればその力ごと、悪魔の紅に突っ込むことになる。
 それによる衝撃も、最初で最後の追撃にも、そのためにも。



 レミリアの頭を鷲掴みにしようと、見えぬその手が迫る。認識の遅れた邂逅に気付けぬも、その推進力は変わらない。
 目前にして、隕石が近づこうかという光と音の圧迫感。その手に触れ、溶けた鉄に手を突っ込んだような激しい熱。
 触れただけで発狂してしまいそうな苦痛をスタンドの左腕はなおも受け、反映して自身の左腕も肉が焦げ皮膚が裂け血が噴出しそのまま蒸発する。一瞬にして繋がっていることが奇跡ともいえるほどの傷が刻まれる。


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