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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

473深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 2―:2016/02/09(火) 01:04:42 ID:YIi0InD60
 同時に、背後の壁まで一瞬で飛び退くと、崩落と同時に突っ込んでくる。先ほどまでいた彼女の地点、床と壁がほとんど同時に壊れ崩れた様に。紅い閃光はディアボロの感覚より圧倒的に早く、速く、

「ぅあっ!!」

 彼の隣を破壊する。それを認識した直後、閃光は辺りを右へ左へ、目まぐるしく飛び回る。
 一本の紅いペンを、白紙でぐしゃぐしゃと塗りつぶしたような、その目に映る勢いは圧倒的な速度と破壊。館が壊れることを省みず、夜闇を照らす赤い月が遮ることなく二人を照らす。
 直接衝突していないのは、奇跡か偶然か。彼女の明確な意志によるものか。それでも飛び回り破砕される瓦礫のカケラは彼の視界を瞬く間に塞ぎ、その粉塵は呼吸さえ塞ぎ、絶え間なく響く破壊の振動は足元さえもぐらつかせる。
 これが紅い悪魔の本性。いや、違う。最初から彼女はこうだった。どうあれども、自分の物を守りたかったから。それは概念も家族も。自分の城を賭けるほどの相手ではないとどこかで思っていたから。だからここまでやらなかった。
 そんな悪魔の、最後の駆け引き。じゃれつく妹を離してでも向き合う自分への最初で最後の真摯な対峙。矜持以外の何かを守るものを得た自分に対する、悪魔なりの優しさ。強者なりの理解。守るものを一つ手放し、自分に改めて対峙してくれた。
 どこで仕掛けるかを、選ばせてくれている。その絶対的な瞬間を掴んでみせろと挑発している。これほどのお膳立てをしてくれることに、感謝を見いだせないはずがない。
 時を飛ばし、その中でレミリアを見出さなくては。音と光だけでは、もはや人間の感覚を越えられてしまった。全身にぶつかる飛礫が、あまりに傷ついた体を揺さぶる。赤子の力で切れてしまうほど細い糸の上で立たされている彼の心は、熱くも、冷たくもなっていない。

「……時よ」
(まだですッ!)

 その心を揺さぶる、どこかから聞こえる幼い声。

(僕が合図をしたら、時を消し飛ばしてください、いいですか、合図を待つんです! 僕ができるのはそれだけ、行えるのはボスだけですから!)

 今まで聞くことの無い声だった。聞こえるはずがない、自分が目覚めているときは彼は意識の奥底、揺り籠の中に沈んでいたはずだから。
 破砕した礫が足をえぐる。残った腕を傷つける。認識不能なほどに砕かれた身体を刺激する。それでも、驚愕の心は振るえを止めない。

「……おまえ」
(視え、2、1ッ!!!!)


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