したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

471深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 2―:2016/02/09(火) 01:03:17 ID:YIi0InD60


「ハァー、ハァー、ハァーッ」
「はぁ、はぁ、……ふっ」

 ほんの数分前からは想像し難いほどに崩れたその広間に、二人の荒い吐息が木霊する。
 ディアボロは右腕を失い、全身も痛めつけられ立っているのが不可解なほどの満身創痍。レミリアもスペルに注ぎ込んだ力を無駄に消費させられ、右眼に刻まれた傷は深い。
 優劣をつけるならば、レミリアのほうに軍配は上がるだろう。だがそれを知ってか、彼女は自身のこめかみに指を突きたてる。

「、はぁっ……血を、抜いたんだよ。興奮し沸騰しそうな血を抜いて冷静を取り戻す。昔、知り合いに教えてもらったものでね」

 引き抜いた指の軌跡に紅い液体がなぞっていく。少量に流れた後、その傷痕はゆっくりと塞がっていく。この程度なら問題はない、と言いたげに治癒していくが、それでも失われた右眼の回復は至らない。

「……で、どうする気だ」

 血の匂いでむせるほどの中、傷ついた2人。

「もはや勝負は決した。フランはお前に止めこそ刺さなかったが、戦闘不能にまで追い込んだ。その後、その傷ついた体で、それでも本性を曝け出して、フランをっ、私を共に追い詰めた」

 語り口が動いて、時間が動いて、血が流れ出るのは止まらない。

「その点は認めよう。お前の足掻きはただ死ぬだけ道から活路を見つけ、フランを戦闘から離脱させ、私にも一撃を喰らわせた。……それで十分だろう? 今お前が立っていても、お前が戦闘不能なことには、変わりないんだ」

 目が回る様な長い時間、それは常態では考える時間もないほど短い時間。

「私はまだ、少なくとも今のお前の、ボロボロの雑巾よりひどいお前なんかよりかは余力がある。もしお前と同じ損傷を負っていても、相手を倒すのに労苦はないだろう。……それほどの力の差、分からないはずないのに、なんでっ、立つ」

 受ける相手の、荒い息は変わらない。

「……もし、自分が死のうとも意志を継いでくれる者が居るのなら、それに殉じる者も居るだろう……」
「……ッ!」

 口からも、溢れ零れる血液が、彼の言葉を濁す。力強さを感じさせない、たどたどしい声。

「私にはそれがいない……彼らとは違い、私は常に孤独だった。それを良しに思っていた……皮肉かな。私が今ここで戦いを終えても、そのまま続けて死んでも、『私』を継ぐ者はいない。そのまま、過去になると思っていた……」

 どこか虚ろに響く声は、まるで自分に言い聞かせているようでもあって。

「そう、思っていた。……あいつが、ドッピオが、私を認識するまでは」
「……あの子どもか」
「最も傍にいて、最も信頼を寄せていて、……最も利用した忠実な部下。それでも切り捨てるだけの手駒。……だが、それでもあいつは付いてきた。死んだ先でも、この果てでも。その先で、『私』を見出した」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板