[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
462
:
深紅の協奏曲 ―深紅の協奏曲 1―
:2015/12/29(火) 15:09:44 ID:/s6KMLdY0
「何故、僕を生んだ」
村と共にあり、代々見守ってきた教会、それに伴う小さなガレージ。歴史と同じように年季の入ったその床に女は転がされ、彼女に跨り物心と共にあった疑問をぶつける。
何の証拠もないが、あの時顔を見て、今ここに連れてきて、近づいてみて初めて分かる。直感で、血の繋がりがわかる。村の誰とも、一番身近にいた養父とも違う、繋がっている感覚。この女こそ、自分の母親なのだと。
表には出さなくとも、自分の出生と存在を彼は呪っていた。生まれながらにして負わされた枷を、不自由な自分を、その根源と共に。
「何故、僕を生んだ」
感情と共に拳をぶつける。それに伴い自分の感情を表す人型も女を殴る。自分より大柄なそれは、今の自分には震えないほどの力を持って女の身体と心を削り取る。
答えは求めていても、どこかに知りたくはないという感情もあった。多数の色を溶いた絵の具のようにぐちゃぐちゃな心は、訪ねながらもこたえられる環境に女を置かない。少し待てば口から洩れる答えを、それを聞きたくないと言わんばかりに殴りつけ押さえつける。
「二人か、三人か?」
幼稚な自分でもわかる、あれは子作りではない。相手とのギブアンドテイク。運ぶ時に落ちた封筒からはどこに溜めこんでいたかは知らない金額が見えた。金銭を受け取って、代償として肉体を提供する。そのような在り方があるということは知っていた。
だからこそ、許せなかった。自分という存在を作っておきながら。自分を育てた、聖職者を。
何が正しいかわからない。ただただ、感情を発露させていくだけ。それは、子供の駄々だった。
口づけのできるほどの近い距離で、呟いた彼の首に冷たい何かが触れる。
ぞっとした。彼の熱を奪うかのように這うそれは、拘束もせず力無く垂れていたはずの女の腕だった。
そのまま引き寄せられる。奇しくもそれは、我が子を抱く母親のようでもあった。
「おお……私の可愛いディアボロよ……やめておくれ……助けておくれ……」
頭の先からつま先まで、雷が走ったような。それがそのまま、自分の脳や心臓や何から何まで、全てをミキサーにかけてしまったような激しい痺れが、耳から、首から、全身へ駆け巡る。
単純に助けを乞うただけかもしれない。話し合えば分ってくれるとと思っていたのかもしれない。ほんのわずかに残った意識が、ただ無自覚に手を伸ばしただけかもしれない。
だが、光の無い瞳は虚空を虚ろに見つめながらも、ただぽつりとつぶやいたことが事実。
「…………ッッッ!!!! や、めろ」
十分だった。その一言で、彼は顔を歪めながら一瞬の解放を認める。ずっと心に在った、全ての元凶。彼を苦しめていた楔の一つを大きく揺るがされる。
どこかで求めていた、母親への愛情。それを受けるにはあまりに歪んでしまった受け皿。神の御許で育った彼は、反する自身に常に苦しんでいた。
「僕を、呼ぶなッ 悪魔に、助けを乞うなあ!!!」
それでも離さない手は、死者が自分の世界に引き込むような、そんなおどろおどろしさもあるが、それに元々属しているのが自分なのだ。だから、親から子の名前を賜った。自分の生まれを、自分のこれからを定めるために。養父は賜った名を大事にしろと言い続けてきた。それは、存在の罪を認めさせるために。忌まわしき自分を示すために。
彼の思いは噴出し、その夜はそれでも終わらなかった。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板