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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

437まるく:2015/09/09(水) 00:18:52 ID:SNX6KJOc0
 ディアボロへの返答を共する行動で返す。彼女の言の末尾は既に後ろから聞こえていた。
 やり取りで確認の遅れた未来は、全身を走る衝撃と打撃音で現実となる。

「ぐうぅっ!?」

 吹き飛び、もんどり打って倒れてしまう。
 そんな吹き飛ぶ自分とは別、かすかに聞こえる空を切る音。


「……ふむ、やはり時を止めるだけではない。なにがしか、世界を歪めているな」

 一瞬の答えは、飛ばされた自分に追い討ちをかける、レミリアの強襲の後。持ち前の神速でディアボロの真上の天井まで移動するとその並はずれた身体能力を用いて急降下。
 時を飛ばしていなかったのなら。天井の崩落に巻き込まれるか、砕けた床の一部に混ざるか。

「私の身体は記憶している。が、その『過程』はなく『結果』だけが残っている。お前が回避したという結果だけが。もし時を止めて回避しているのなら。攻撃を回避しているのなら私がそれを認識できるはず。……にもかかわらず、その認識は欠けている」

 その場から翻り、足音もなく地に着く。その優雅な姿勢は吹き飛ばされよろよろと立ち上がる自分とは正反対。戦闘不能のほどではないが、それでも負った傷は大きい。
 だが、この程度の負傷は幾度もあった。いつしか、その程度と称せる様に。薄々と気づいていた、精神の成長と共にどこか現実離れていく自らに。

「未来を視る能力、世界を歪め認識を曖昧にする能力、見えぬ人型を操る能力。それらを一つにまとめ操る精神力。……外の人間にしては多彩だ。そして肉体も十分に洗練されている。…………」

 言葉の途中で、しばし何やら考えるか鬼なる。もし怪我が無ければ、その場で攻め入ることを選択していたかもしれない。

「……あー、それらは何ていうんだ?」
「…………何?」
「名前だよ、名前。いつまでもそれとかあれとかだとこっちも言いづらいじゃないか」

 怪訝な表情が浮かんでしまう。今までに気にしたこともないし、そも命を懸けて戦っていた一瞬だというのに。

「……呆れた。名付けは重要な儀式だ。名付けるそれに対して生命として、役割として生み出した者から初めての与える物、全ての始まり。それらを行い始めて生まれたものは意味を持つ。……いいだろう。外因にして好敵手、お前を表してこのレミリアが名付け親になってやろう!」
「……何を言っているんだ?」
「そうだな……お前の意気や信念、野望の為に自ら困難に立ち向かう精神ッ! それに基づくそばに立ち寄る者! 『スタンド』というのはどうかなッ!!」

 会心の出来と言わんばかりに、得意げな笑みをディアボロに向けてくる。それは、その見た目相応の、親に成功を褒めてもらいたい子どもの顔。
 何も言い返せない。急に言い出す突拍子もないことも、すでにその名前、というか種として呼ばれているという事実も。

「ふふふ……自分のセンスに高さが怖い…………あぁ、言っておくが使っても使わなくても構わない。けれど、名を持つことで『それ』は存在する意味を持つ。敵に塩を送ったつもりはない。長く生きるほどに好敵手を求めるものだ、贄の流れる血の質を求めることはお前に言われなくても同じなのさ」

 そのままに空で手と足を組み、今か今かとこちらの返事を待つ。
 結果としては確かに既についている名前を再び呼ばれただけだが、その意味を省みることは今までは確かになかった。通称として呼ばれていることを風に知って、そのままにそれを使っていた。
 いや、名付けが怖かった。その意味を、そのやりとりを自分に重ねてしまって。忌むべき、自分の名を。

「……それは敵に送る余裕ではあるが、軽視や侮蔑の意味で送っているわけではないことは認めよう。『スタンド』……立ち向かうもの、か。おもしろい」


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