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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

427深紅の協奏曲 ―スカーレットクイーンの迷宮 4―:2015/08/01(土) 01:16:27 ID:ZFFKblu.0
 肘掛けに頬杖をついたまま、空いた左手に自身の頭よりも大きな紅弾を生み出す。弾に血管を通る血液のように脈打つ魔力が、いっそうにそれの破壊力を想像させる。
 それを、屑籠にゴミを投げ入れるかのように軽い動作で放る。それを合図に、多数のコウモリたちが、ディアボロに共に向かう。
 単純な、数の暴力。絶えず生成されるコウモリたちは等しくディアボロを襲い、緩急をつける様にレミリアは紅弾を放る。

「避けるも耐えるも、いずれは崩れる。使ってみなよ、咲夜みたいな『能力』を! 時を操れる人間が咲夜以外に居たことには驚くけど、それははたしてどこまでできる? 一秒か、五秒か? 私の喉元に届きうる刃なのか!?」

 飛ばした時間はわずかではあったが、あの決定的な瞬間の回避に使用したことは知られている。当然ではあるが、それを引き出した門番は優秀だったということだろう。ただの『部下』という評価は改めねばなるまい。
 しかし、身近に似た能力を持っている者が居るからこそ、それだけということに気付かないか。
 キングクリムゾンも強力な力を持ち、時を吹っ飛ばすことのできる『帝王』の能力。だが、それだけでは振り回されてしまうだろう。
 それを補う、光栄の未来も残酷な現実も映し出すエピタフ。その予知を併せ持ってこその能力。
 自らの運命を捻じ曲げ、強引にでも負を打消し正を得る、王のためのスタンド。

「どうした、いつまで逃げ回っている! この程度で終わることはないだろう!? 死ぬべきではないと告げているよ、運命も 、ここに!」

 大量のコウモリに囲まれ、迫りくる紅弾を避ける術なく。もはや絶望ともいえる窮地にあっても彼の表情は変わらない。
 レミリアは作りだした。彼が使わざるを得ない状況に。もし使ったとしたら、次に来るのは自らの首を取りに近づくだろう。背後か、横か。死角はいくらでもある。移動したと感じてから、手をかける。
 持ち前の反射で身の丈ほどの槍状に魔力を固め、その刃を感じた方に向ける。

「……ぁ?」

 そこに居たのはいつから戻ってきたであろう、完全なる従者の姿。
 彼女を人質にとるかのように、咲夜の首元にナイフを突きつけながら背後に立つディアボロ。ナイフは、形状からしてそのまま咲夜の物を奪ったのだろうか。

「この女を下がらせろ、一秒待つ」

 普通に考えれば、それはただの死刑宣告。恐怖も駆け引きも存在しない。だが、彼女は無限に時を操作できる。それこそ、こんな脅迫など意味もないほどに。
 故に、どちらも呆ける。隙ができた、というわけではないが、彼の行動に理解が及ばない。
 透き通った首筋からぶつ、と僅かな痛みが走る。咲夜は感じる。なるほど、確かに美鈴への容赦の通り、自分へも容赦をすることはないわけだと。一秒は確かに経過した。


 だが、その時は進まない。


 世界に色が消え、存在するのは咲夜のみ。
 男に拘束されるのは初めてではないし、その抜け方を知らないわけではない。相手の抵抗が無ければ、それは容易に行える。
 首に刃物を突きつけられているが故にすぐに大きくは動けない。少しずつ体をにじり、その拘束から外れる。抜け出してしまえば後は簡単だ。動かぬ的を適当に料理すればいい。
 元々咲夜は傍には居るものの手を出すつもりはなかった。これは主が望んだ決闘であり、自らが入ることは無粋であるから。
 しかし、主を差し置いて自信を攻撃するとは。可能性として考えていなかったわけではないのだが。

―ともあれ、手を出されたからには返さないのはメイドの意志に反しますわ

 首元を擦るが、その傷はほんのわずか。さしたる痕も残らないだろう。先ほどまで首元に当てられていたナイフを取り、眼前に目掛けて配置しておく。そうすれば、時が動き出したときに自らの行いを呪うだろう。
 そう思考し、すわ行動に移るとき。

―……っ!?


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