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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

383深紅の協奏曲 ―BGM2 三枚の写真―:2015/04/15(水) 22:39:36 ID:40zn9w1c0
「へへー! みてみて! 大ちゃん見てみて!」
「わー、すごい! 何それ?」

 霧の湖のほとり、小さな二人の妖精が戯れ合う。

「んっとねー、カメだかメラだかそんな名前。文が使ってるのと同じなんだって!」
「へーえ、小さくってかわいいね! てことは、それを使えば新聞が作れるの?」
「うーんと、これで写真を撮るだけだから、新聞はできないけど、新聞のタネにはなるって言ってた」
「じゃあこれを植えれば新聞ができるの?」
「違うよ、これを押すと、わっ!」

 教えてもらった通りにスイッチを押すと、まばゆい光が漏れ、その驚きにカメラを落とす。
 それでもしっかりシャッターは切られており、レンズの下の口からは写真が印刷されて出てくる。

「お、おおお??」
「ほんとだ、チルノちゃん写ってる!」

 適当に押したその時に写っていた、カメラを持っていた妖精の顔が、ブレて、ピントもぼやけているがそれでもはっきりとした色合いで浮かび上がっている。

「どおーだ! これで妖精でも天狗の仲間入りってものよ!」
「すごいね! ねぇチルノちゃん、私も撮ってよ!」

 友人が写っていることに感動した妖精は、目を輝かせて自分も被写体になることを願う。

「もちろん! 大ちゃんもたくさん撮るから、あたいのもたくさん撮ってよね!」

 そう告げると、被写体の妖精は小さく笑みを浮かべて撮影を待つ姿勢に入る。
 撮影者の妖精はにこやかなブイサインと共にシャッターを切った。
 同じようににこやか、少しとられることに恥ずかしがるその顔は、年相応の優しい笑顔だった。
 一瞬の溢れる光に驚き、やや目を瞑るができた写真ではそんな瞑った顔ではない直前の笑顔の写真。

「わ、すごい、でた、あたしだー」
「おー、すげー! 動かなかったら写真も動いてない! ……あれ」

 写真の端に写る異物に目が移る。それは湖から這い上がる人間。

「あれれ? 人魚?」
「え〜っ?」

 そう言って湖の端に目を向けると、確かにその人間はいた。
 霧の湖の水温はやや低い。が、普通に水生生物が生存するには問題ない。
 だがこの氷の妖精が遊び場にしているときには、その影響でどうしても水温が下がる。それこそ、真冬の海の様に。
 ところどころに氷が浮かび上がるその湖面を、懸命に生きのびようともがくその姿。

「よーっし、人魚が凍るかやってみる!! 魚やカエルと同じかどうかやってやる!」

 その意志が成ることは、なかった。


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