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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

381深紅の協奏曲 ―BGM2 三枚の写真―:2015/04/15(水) 22:38:03 ID:40zn9w1c0
「掴まって! そっちまでまっすぐ進むから。見えなくなってても大丈夫!」
「木には注意してね、ぶっかると痛いよー」
「そんなドジ踏まないよ! 先に行った子たちの後についていけばそんなの平気だもの」

 言うなり、全く恐れずその暗闇の中を飛行する。一寸先の、それこそ自分の身体すらも認識できないほどの闇の中を。
 視覚を完全に遮るその暗闇も、緑髪の少女には何か別の感覚にて辺りの把握を行えているのだろうか。

「あてっ、いてっ、ちょっ、私の事も気に掛けて飛んでよー!」

 そんな彼女に引かれて飛ぶ相方は見えない中の木の枝や葉による擦り傷が増えていく。それは、尚更緑髪の少女の不気味さを醸し出していく。
 構わず進んでいくと、小さな何かがざわめく音と、それを散らそうと恐怖の中取り払う男の声が聞こえる。
 突然の暗闇の中、見えない何かが自分の身体を蝕んでいく、そんな恐怖に喚き散らされる絶叫。

「見つけたッ!!」

 暗闇の中に捉えた被食者が手元に来たことを確信した、闇を放った少女が片割れの手を離してそちらに寄る。
 視認はできないが、男の声がひときわ大きな叫びに変わる。先ほどまでのじわじわとした苦しみから、直下に襲いかかる直接的な暴力。
 辺りに漂う血の匂いが、より一層に強くなる。かなりの出血が、音でわかるほどに。

「うまい! これはまさしく私の好きな人肉の味!」
「ちょっと! 見つけたのは私が先でしょこれー!」

 捕食と共に闇を解き、辺りの状態は一変、夜の森の中に戻る。
 男の下半身には大量の蟲が這い、覆う。脇腹からは血がとめどなく溢れ、赤い肉と臓腑が見え隠れし、その源泉を貪るために蟲たちが入り込んでいく。

「そだ」
「どうしたの? 何でもいいけど、私が見つけたから頭は私のだからね」
「んー、それはしょうがないなー。一口だけちょうだいね」
「もう……で、それなに?」

 金髪の少女が小さな箱を取り出す。

「市松模様の天狗からもらったの。なんか面白い物があったらそれに向けてここを押しなさいって」

 そう言って箱と顔を男に向ける。
 男もそれに気付いてその顔をみる。飛行する人間、鼻から下半分、そして少女の身体に濡れた赤が異端を認識させる。
 脳が身体に信号を送ったその時に、箱から光があふれる。

「わっ?」
「ひえっ」

 突然の光に二人は驚く。それは一瞬の光だったが、それだけだった。

「……終わりかな?」
「わかんないよ」
「んー、まあいいかー」

 言いながら、二人の少女は男の近くに寄る。逃げようにも、下半身は既に骨が露出するほどに喰われ動かすことすらままならない。
 そんな彼に近寄って、一人は満面の笑みを、一人は申し訳なさそうに手を合わせる。

「悪いね。ここはそういう『決まり』なの」
「ありがとうございます、いただきまーす」


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