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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

359深紅の協奏曲 ―真実へ向かうための行進曲 4―:2015/03/01(日) 00:21:09 ID:7hyTWeVM0

「……どうなんだい、それは。おいしいの、かな」

――これ……すごくおいしいです。生地のお餅もさることながら餡の大粒小豆が噛んでいる、食べているということを度々に協調して……その上でこのイチゴ。敢えて、でしょうねこのイチゴのすっぱさ。甘さの中にさらに甘さを加えてもそれは激流に身を任せているだけ。何も変わりはしない。そのままお口の中を上っ滑りしていくだけでしょう。だけどこれは違う。まるであんこという甘さの流れを逆らうイチゴという鮭のような。いえ、もはや鯉。滝を上りきり龍と化す鯉です。その結果現れる、天を上る龍。コイキング。これ、きっと画竜点睛の故事ですよ。これが元ですよ、きっと……尊い……ほんとこれ尊い……
――早苗は本当においしそうに食べるわね。見てて飽きないわ
――これほどの深い味わいを生み出すハーモニー……これは奇跡です……いえ、そんな生半可なものでは……もはや崇拝しかありません……ここに神殿を建てましょう
――神棚から蹴落とされる神奈子と諏訪子、その代わりに鎮座する大福の姿を想像してから言いなさいね?

「だ、そうだ。悪くないよ」
「う」


 霧の湖と、その湖畔に建つその者達の拠点、紅魔館。危険度の高さが謳われているが、その記述ではほとんどわからない。最も、以前の妖怪たちが住んでいるから危険だろう、ということなのだろうが。
 そこを尋ねるにはその湖を越えなければいけないようだが、それもそれなりの苦労は必要のようであった。
 おもしろい。道のりが平坦では得る物も小さくなる。困難を好むほどのマゾヒストではないが、道程を超えるための、能力だ。


「……頼むべきか、頼まざるべきか……これ以上の無駄遣いは……」
「悪くない出来だったな。素材だけではなさそうだけれど。店主、会計を」

 霖之助が支払いを行おうと、懐から巾着を取り出したときに、小さな何かがともに落ちる。
 それは机の下に転がり、ディアボロの足を小突く。

「……あれ?」

 特に何も言うこともな足元に転がった何かを拾い上げようとするが、それを見た一瞬、時が止まったかのような感覚に襲われる。
 本来であれば、相手に傷をつけるためのその形状。しかし、その本質を知ればそれだけではないということ。

「……何であれがここに? ……もしかして」

 何を思ったのか、あたりをきょろきょろと見回す。それは何か不審な点を探しているように見えるが、すぐにそれは見つからなかったと見える。
 その様子を見ることもなく、ディアボロは足元に転がった、その鏃を拾い上げる。
 ……それは間違いなく、過去に発掘したあの鏃。

「妖精のイタズラかと思ったが……あの三妖精はいないようだね」
「ん、どうかしたのかい」

 二人の声も、すぐには耳に入ってこない。
 あの鏃がどのような経緯で流れていったかはわからない。明確な足取りを掴むことは不可能と判断し、途中で打ち切った。必要もないと思っていた。
 だが、何かの為にと、その外見と気づくものくらいにしか気づかない、小さな傷をつけておいた。……遠い記憶、自分の記憶と一致する。
 まぎれもなく、自身が発掘したあの鏃。

「いや、最近にも同じことがあってね。触ったはずの無い物が自分の近くに出てきたり……すまないね、拾ってもらって」
「…………」
「……? どうか、したのかな?」


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