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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

328深紅の協奏曲 ―真実へ向かうための行進曲 3―:2015/01/29(木) 00:11:04 ID:dpoNFIaY0

 少女はキリッとした表情をディアボロに向ける。どうやら、そのあたりは火車と呼ばれる妖怪の矜持の一つらしい。
 まあ、生きている人間に興味はないのは何よりである。先ほどまで、ディアボロの生に執着した者と戦っていたのだから。
 
「……まあ、お兄さんは何かしら訳ありみたいだからね。あたいもそういうのには慣れてるからわかるよ。ここは深く突っ込まないであげよう」
「そうしてもらえると助かる」
「でもあたいの恩を受けた以上、まともな葬式は迎えられないことだねぇ? お兄さんの匂い、覚えちゃったから」
「……そうだな。私にはそれくらいがふさわしいのかもしれんな?」
「へっ?」

 煽ったはずなのに、それを受け返されて少々困惑の表情を少女は浮かべる。
 元より、ベッドの上で死ぬことなんて考えていないし、式を上げられるとも思っていない。安穏とした生活を送れるとは思っていなかった。
 そんな彼の表情をじろじろと見つめ、

「ふ〜ん……お兄さん、面白いこと言うね。勇儀とは合わなそうだけどあの橋姫とは気が合いそうな気がする。なんとなく。
 ねぇねぇお兄さん、もし今度気が向いたら地底にでも遊びに来ないかい? きっと楽しめると思うんだよ」
「……歓楽街の一種かそこは」
「今は使われてない地獄跡で嫌われ者の妖怪が潜んでいる場所さ。けれど住めば都ってね? 幻想郷の中でも唯一の眠らない街さ。退屈はしないよ」
「遠慮しておく。少なくとも今は、な」

 彼女がディアボロの本質をうっすらと感付いている様子と、ディアボロも少女の雰囲気がややも穏やかではないことを感じられたこと。
 なるほど、どこの世界にも隅に追いやられた弱者の吹き溜まりは存在するらしい。死体に興味を持つ彼女のも、妖怪の中では異端とされるのだろう。
 嗅ぎ慣れた匂いに感付かれた、ただそれだけの事。そんなスラムのような場所に興味が無いわけではないが。

「……灯りだな。あそこが人里か」
「お、だねぇ。道はないが、もうここからは案内が無くても行けるだろうね。そしてちょうどあたいはこの辺りでおさらば」

 夜もだいぶ過ぎたというのに、ぽつぽつと灯っている小さな光。その光が人の住処と理解させる。
 少女はそことは違う方角を示す。記憶が正しければ、その先は博麗神社だっただろうか。

「神社に用が、ってわけじゃないよ。その近くが地底の入り口なのさ。地霊殿はいいとこ、一度はおいで」
「機会があったらな」
「また会うと思うよ、必ずね」

 ことことことと、押し車が轍を作る。
 その様を見届けると、ディアボロも人里へと歩き出す。
 ふと後ろを振り返る。今まで通っていた道は妖怪はわからないが野獣は潜んでいたはずだ。
 それを己の血の匂いにもかかわらず全く襲ってくる気配がなかったということは彼女も相応の実力者だったということだろう。
 これは運か、天命か。

「……それの、証明の為に」


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