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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
318
:
深紅の協奏曲 ―真実へ向かうための行進曲 2―
:2014/12/26(金) 23:19:07 ID:NaoiPVXc0
(……!! 開く、無事か、客人!)
今まで音沙汰もなかった部屋の外より、声なき声が響く。同時に、アンが中に入ろうと扉を開く。
(待て、開けるな)
それに対し、ディアボロは声を出さずにスタンドで話しかける。
(……何があった?)
疑問に対し、答える声はない。
返答がないことを確認、制止を無視して扉を開いた。
( っ、なんだ、これは)
アンが見たものは、散らばった将棋盤、焼け焦げた跡の残る畳、荒れた和室。その中ほどに広がる血だまり、横たわる女。
中に居たはずのディアボロの姿は形無く、苦しげに呻く彼女の声だけが部屋に木霊する。
「どうしたのアン、急に呼ん……って、いつの間に、いええええっ!?」
妖夢が遅れて駆け付け、中を見て絶叫する。
「……ぉ、ぅ……」
「藍さん!? どうして!? やっぱり賊!? 紫様!? 幽々子様ーっ!!」
(落ちつけ主! とりあえず嬢を!)
「へあっ、はい!」
浅く呼吸しようとするも塞がるその気道。口内にあるはずの者が無く、それが外に転がっているのを確認すると、アンは自身の能力を使って喉に対して静かに刃を沈める。
自分の能力を、自分から、人助けのために使うなんて、自分でも思いもしなかったが、勝手に体が動いていた。
詰まったその後ろへ、僅かな隙間だけを作る。そうイメージして沈めた刃は小さな切り傷のみを作りだす。その傷に対して自らの指、妖夢の細い指を突き刺し広げ、無理やりに気道を確保する。
そうしながらも、三度の疑問。突然に面食らったが、扉を開けようとしたら既に中に入っていた。呼んだ覚えのない主を呼んでいた。
そして、ここにいたはずの彼がいない理由。これらの符号が示す事実。
白玉楼へと続く石段。長い長い石段をただただ降りる。
ユカリに会うという当初の目的は果たせなかったが、果たせないということを知った。
彼女が、正確にはどれほどの規模かは知らぬが。彼女らが自分を見定めた暁には姿を現すだろう。
そして、右腕と言っていた者に対しての蛮行。どう評価されたことやら。
ならば、自らの為に動こう。他者の目を気にするという、びくびくと形をひそめて行動をする理由もない。
この世界にはすでに自身を知る者が多くいる。今更隠れる理由もない。
ならば、何をする?
昔に聞いたことがある。『男には地図が必要だ』と。信念が必要だと。
ただこの平和な世界で生を費やすか。不確定な外への希望を持ちだすか。
あの女が来る前に、心は既に決まっていたはず。ならばそれを胸に進むべきではないのか? ディアボロよ。
石段の果ては見えない。だが、辺りの冷え込んだ、いわば生気の無い空気がそれとは違う、ただ澄んだだけの空気に変わっているのを感じる。
ここを過ぎれば、あの結界の外へ出るのだろう。
普通なら、幻想郷の住人は空を飛ぶ。だから踏み込んでも特に何も思わない。だが、自分は違う。普通の飛べない人間だ。
だから踏み込めば死ぬ。空に投げ出され、成す術もなく落ちて死ぬだろう。それを避けるべく、もらったものがあるからこれまでなんとかなった。
『だから』あえて踏み込んだ。
恐怖とは何か。それは過去より去来する事実。それ以外の本能的な恐怖など、些細なことに過ぎない。
捨て去れ。耐え抜け。不必要に足を止めるな。もちろんただの死にたがりにはなるな。打算を持って進め。確信した道を。
矮小な身が、大空へと投げ出される。だが、不思議と何も感じない。パラシュートの無いスカイダイビングが、これほどまでに気持ちのいいものだと。
「…………ははっ、はははははははははははは!!!」
思わず笑いがこぼれる。何がおかしいのか、自分でもわからない。狂っているのだろうか。
だが、それでもいいのかもしれない。死んで死んで死んで死んで死んで死んでこれほど新しいことに気が付けるだなんて、脳が灼き切れてもおかしくはない。
自分の命が切れる前に、この精神の高揚が収まっていればそれでいい。それくらいにしか、考えなかった。
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