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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6
269
:
まるく
:2014/10/29(水) 17:14:08 ID:tIpZCboU0
白玉楼、厨房。
これから催される宴の準備として、霊たちが右往左往としている。
各々が器具を持ち、立派な料理を作っている、のだが。どうにも半透明の人魂状の物に器具が刺さっているだけの様にしか見えず、その光景は異様としか言えない。
「はい、肉と野菜持ってきたよ」
その中、倉から食材を持ってきた人型、妖夢がその場に荷を下ろす。
彼女も料理はできるが、大掛かりになると荷物の持ち運びには不便な幽霊たちの代わりを行う。
持ち出した食材は優に5人前はあるだろうか。そして、すでにあったものを数えると7,8人分ほどになる。賑やかな会場に合うのは大量の料理と主の言葉だ。それを常に胸に入れ、ここの従者たちは動いている。
持ち込まれた食材が下されると、やれ霊たちがこぞってそれを取り、自分の担当する料理へと調理を開始する。
「……? ねぇ、ちょっとそれ貸して」
妖夢は何かに気付いたかのように入り口に視線を送り、半ば強引に近場にいた霊の包丁を取り上げる。
それを右手に、正しく刀を持つように携え、
「曲者ッ!!!」
自身の感じた違和感を信じ、全力を持って斬りかかる。
ここにいる霊たちとは違う、実体を持った何か。最もそれに近い幽々子も今はあの少年との歓談でいないはず。そうなれば、侵入者以外何者でもない。
知り合いの大体は勝手に入ってくるのだが、もしそうであるのなら楼観剣でもないこの一撃位なんてことはない。そう、妖夢は考えていた。何でもいいから斬るのである。
「おいおいおいおいおいおいおいおいおい」
だが、それは達成されなかった。妖夢の身体能力を持っての全力の居合は、まるで時空が歪められたかのように進むことが適わなかった。
妖夢からすれば、果てない距離を全力で詰めようとしたように感じられる。だが、他所から見れば急に妖夢が失速してその場に留まるほどになったように見えた。
「……おまえさん、違和感を感じたら本当に斬りかかってくるね。あたいじゃなかったらどうなっていたことか」
入り口の陰から、妖夢より二回りほど大きい姿が現れる。
死神の装束を纏い、その身よりも大きな鎌を背中に備えた女性―小野塚小町―は手を頭の後ろで組み、呆れたように息をつく。
「何だ、小町さんでしたか。どうしたんですか、こんなところに。つまみ食いはダメですよ」
「違うよ。あたいがつまみ食いするようなキャラに見えるかい」
「見えますよ? 以前仕事のための燃料補給だー、とか言いながら里でお団子食べてたじゃないですか」
「あれはその通り仕事に向かうための物であってつまみ食いとは無関係」
小町と認識した時から、先ほどの警戒は薄れていつも通りの緩い雰囲気に戻る。
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