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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

221深紅の協奏曲 ―飛べよ、踊れよ、円舞曲と共に 3―:2014/09/07(日) 08:44:00 ID:hWr8uJPI0




「…………」 
「これで終わり、です」

 盤上に残っている物はほとんどがドッピオに切っ先を向けた駒であり、自分の駒はほとんどが失われているか、動かすことも無意味な状態にあった。
 そこに飛び込むように置かれた歩。元々はドッピオの駒だった歩を盤上に指し、幽々子は彼の敗北を告げる。
 まだ直接王手に至るわけではないが、どう動かしても次か、その次の一手で王手と至るだろう。詰みの状態だった。

「ん〜、やっぱり初めてさんには難しいかしら?」
「言ったろ、やったことないって。それに、あんまりこういう遊びは得意じゃないから」

 少し負け惜しむよう聞こえるように、幽々子に返す。
 一戦目は動きの確認と、彼女の実際の強さを図るためのものと考えていた。
 駒の動きと有効な活用方法。相手が使う戦略からの定石の推理。いわば勝つための手段を。
 そして、幽々子は実際に強いという確認。こちらのレベルに合わせて手加減をして、それを匂わせないようにする程度にはできる技量だということ。

「さあ、次へと参りましょう」

 盤上を片付け、駒を並べ直す。言葉の通り、再戦の合図。

「……そう、しようか」

 ドッピオも盤面に目を下ろし、その戦いに興じる。
 否、目線はそちらに向けていても意識は別方向に向いている。
 駒を持つ手におぼろげにもう一つの陰が現れ、共にドッピオの視界の端に映像が浮かび上がる。
 断片的ながらも、そこに映るのはこれから先の未来。

「あら、……あらぁ」

 ぱちぱちと、手の進むごとに幽々子の手の勢いが陰る。
 先ほどまでの様に慣れぬ手つきで進めていたとは思えぬ、道筋が見えているかのようなドッピオの打ち筋。

「随分呑み込みが早いのね?」
「そうかい?」

 彼女のペースに付き合わず、自分の勢いを重視して手を進めていく。
 いつの間にか、互いの技量が逆転したかのようにも見えた。


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