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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

183深紅の協奏曲 ―飛べよ、踊れよ、円舞曲と共に 2―:2014/07/31(木) 23:19:42 ID:tg1glbNE0

 白玉楼。冥界の中に位置する西行寺家の広い屋敷。
 それ以外には特に何があるというわけではない。ただ、広い広い空間に所狭しと墓標と樹木が立ち並ぶ。
 そんな中にある、一つだからこそ目を引くその屋敷と、それに沿うように並ぶ桜の木。
 時期が過ぎて花は散り、広々と緑の葉が冥界と呼ぶにはあまりにも眩しすぎる太陽の光を覆い隠す。
 明るすぎなければ、暗すぎず。そんな、爽やかな光が白玉楼の門を照らしていた。

「どうぞ」

 ぎ、と小さくきしむ音を立てて門扉が開く。
 妖夢の先導で、一応客人としてドッピオは屋敷に招かれた。
 彼の後ろには、先ほどまで斬り結んだアンが控えている。……そんな気はないようだが、抜き身の刃を持った者に後ろに立たれるのはあまりいい感じではない。
 それを見越しているのかいないのか、無表情のままについていく。

「私の後についてきてください」

 あの後、妖夢は合点がいったかのような態度を取ると、真っ直ぐに屋敷を案内した。
 彼女曰く、『主が懇談会を行う、あなたはきっとそれの来賓だろう』と話してくれた。
 すなわち、自分が来ることを知っていたということ。それについて妖夢に問うても『自分にはよくわからない』と返された。
 その時の困り顔からは、主が聡いのか従者が鈍いのかはわからなかったが、彼女の中での真相はそうであるらしい。
 結局、当の主に聞くしか解答は得られないようだった。

「……、おぉ……」

 通路の角を曲がって、思わずドッピオの口から嘆息が漏れる。
 曲がった先にある、開いた部屋のその先に見える中庭。日本、というものを表す様な美しい景色。
 流れが作られているかのように敷き詰められた玉砂利と、その中に植えられた力強さをも感じさせる美の表現、松。
 もっとこれを間近で見てみたい、という衝動に嫌でも駆られる引力があった。
 見とれて足が遅くなっているのを妖夢は感じ、振り返ると自慢げな表情を浮かべる。

「美しいでしょう? 外も中も、庭師である私が剪定してるんですよ」

 誇らしげに語る少女がもし人間であったのなら軽い気持ちで褒めることができるが、目の前の少女は立派な人外。
 それを語る技術と実行しうる腕が実際に備わっているのだろう。
 芸術家。
 そう、彼女を表してもいいかもしれない。

「素晴らしいね……僕らの国の庭園技術に負けず劣らずだ。君みたいな子がイタリアにいたなら、美術史に名を残せたかもしれない」
「えっへん。ですが、私の腕は幽々子様の物なので、残念ながら別国の為に振るうわけにはいきませんね。幽々子様が仰るなら別ですけど」
「慕っているんだね、主を」
「もちろんです」

 妖夢に素直な感想をぶつけるが、本人はその言葉を主へと飛ばす。
 彼女の忠誠の証が、そこからも感じ取れる。
 少し後ろに目を配るが、アンはそこに思うことはないのか、表情変わらず後ろについてくるだけだった。


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