したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

171深紅の協奏曲 ―飛べよ、踊れよ、円舞曲と共に 1―:2014/07/04(金) 20:17:05 ID:IS/fltSA0
「冥界……ですか」
『そうだ。冥界に赴き、その主である西行寺幽々子とコンタクトを取れ。死後の世界、というと良い物ではないが、あの尼僧の言う通りならば幻想郷ではそれほど境の無い物と認識してもよいだろう』
「……僕が知っている冥府と東洋の宗教で謳われる死後の世界は違いがありますが、そこは幻想郷特有の世界、とでもいうのでしょうか。地の底と一般に言われるところへ、今天を目指して向かっているのですから」
『それについてはこちらも未知の状態だ。お前がその場で感じ取り、理解するのだ』
「了解しました」
『お前の手元にも電話があったようで助かったぞ。危うく、私自らがその地へ赴く必要ができてしまう所だったからな』
「そうですね。命蓮寺でも借り物でしたし、今使っている物も借り物。こちらにトランシーバーの様な、……ちょっと、男性が持つには不自然ですが、器具を所持していますのでそれを渡せればボスにも手間を取らせずに伝達が行えるのですが……」
『文明が中途半端な発達を遂げた世界だ、現状に存在しない物を嘆いてもしょうがあるまい。良くも悪くもここは異世界だ、新たな世界に順応しなければ生きることはできない。これはどこでも同じだろう』
「その通りでした。失言をお許しください」
『構わん。では任せたぞ、私のドッピオよ』
「了解しました。……ボス、最後に一つ、僕の戯言を聞いていただけないでしょうか?」
『…………なんだ?』
「最初に電話した時には今にも死んでしまいそうな、消え去ってしまいそうな……脆い炎の様な印象でした。でも、今のボスからは以前と同じ、威厳と力強さを感じられます。何があったかは聞きません。ただ、安心しました。それだけです」
『…………そうか、そうだな。あの時はあまりに唐突な出来事でさすがの私でも動転していた、とでも考えておけ。あまりの展開には人間隙が生まれる。前の下っ端のカスどもにギリギリまで追い詰められたように、
 我がスタンドでも読み切れぬ運命に気が持たなかった……それを弱さとして、私は受け止めた。ドッピオ、私たちはまだ成長する必要がある。それをここで私は認識したのだ。……以上だ』

 幻想郷の空を、一人の少年が行く。
 ドッピオはボスとの『電話』を行いながら冥界へ、空の彼方まで飛んでいた。

「すまなかったね、長く電話を使ってしまって」
「あ、あー……はい」

 そう言って、ドッピオは大きく咲いた花を妖精の一人に返す。
 受け取った妖精は、何事もなかったかのように花を電話と言って返すドッピオに対して戸惑いを隠せない。
 無理もない。急に一人の少年が雲を操り近づいてきたかと思えば、

『とぅるるるるるるるるるるん、るるるん。……ボスからの電話だ、取らせてもらってもいいかな』

 と、かなりドスを効かせた声と、有無を言わせない恐ろしい表情で話しかけてきたからだ。あまりに怪しく、恐怖を覚えるその行動に、何も言わずに渡してしまうのは精神の幼い妖精では無理も無い行動だった。
 花を手渡された妖精と、その取り巻きの妖精。不気味さからさっさと逃げ出そうとしている姿に、

「あー、電話ついでにすまないけど……冥界? っていうのはこの先でいいんだよね?」

 そう、ドッピオは確認の質問を尋ねる。
 元々指示通りに雲は動くため、ドッピオの知らぬ土地でも幻想郷の中、地名が定められているのなら問題なく向かえるのだが、一人での知らぬ土地、先には案内人もいない。
 そんな状態で向かうのは心もとないため、つい出た質問だった。

「え? うん、お屋敷はこの先ですよ?」
「白玉楼はこの雲越えたら、おっきいおっきい門があるから、それを越えればすぐだよ」
「そう、ありがとう。何にもお礼はないけれど」

 答えも安心を得られる答えであり、問題はなさそうだった。
 あいさつを済ませると、雲もそれを理解したかのように速度を出し、冥界へと向かっていく。


「……変わった人だったねー」
「頭が春です?」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板