[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
| |
【ショート】花嫁ブーケ争奪略奪強奪ウェディング【ギャグ】
4
:
腐れ飯
:2011/08/05(金) 14:15:19
ドン と肩がぶつかり、またすみませんとおじぎをする。
これで何度目だろうか?
見渡すところ男性が少ないようでそれだけが救いだった。「怖い」という感情は、さほどおこらない。
…いや、それも嘘だ。
「こなきゃ…よかったかなぁ」
水野 萌がここにいる理由はここで行われる有名な儀式「結婚」を見るためだ。結婚という風習自体はさほど珍しいものではないが、この楽園のものは格別らしく、華やかで美しい、女性の心を非常にくすぐるものであるらしい。
しかし…
いつまでたってもそれが行われる気配はない。それどころか人が多すぎてがんがんぶつかり、そのたびにがんがん謝らなければならない。最近マシになってきた泣き虫な癖も発祥しはじめ、涙が自然と浮かんでくる。
とりあえず喫茶コーナーの中心にあるオブジェに腰をかける。オブジェのまわりにはテーブルや椅子が並んでおり、その周りには薔薇の海が広がっている。オブジェも花や葉、木で女神が作られていて、美術館においてあってもおかしくないクオリティのものであった。
「結婚かぁ…」
今の自分とは、程遠いフレーズに聞こえる。そういえば、ここまで人が集まっているのは、「ブーケ争奪」というイベントも関わっているらしい。ブーケをとれば自分の結婚が約束されるというものだ。
「私みたいな、魅力もない女じゃ、だめだなぁ。貧相だし、幸薄そうだし」
また自己嫌悪が始まった。自分の悪い癖だ。
座りながらオブジェを見上げながらそんなことを考えていると、急に悲鳴が聞こえた。厨房からだ。
「か…火事だ!!」
叫び声はやがて人から人へ伝染し、やがて大きな騒ぎとなった。人がいないからオブジェに近付いたのに、ここまで人が押し寄せてきた。水野は恐怖に再び目を潤ませる。
いや、それどころではない。
水野は咄嗟に立ち上がり、叫び声が聞こえたほうへと駆け出す。人に何度もぶつかったが、その度にごめんなさいと軽く謝る程度で、いちいち立ち止まっている暇はなかった。
厨房へ駆けつけると、既に火は大きくなっていた。キッチンから大きな炎が燃え上がっており、そこが出火原因だとよくわかった。よく目をこらすと、料理長らしき男性が未だに逃げられずに腰をぬかしていた。
こうしちゃいられない。
水野は歯をくいしばり、右手を天高く伸ばす。
「スプラッシュ!」
そう叫ぶと、突然厨房中に豪雨が振り出した。対人戦よりもかなり威力をしぼり、人を傷つけない程度にしたがそれでも豪雨にしなければ炎は消せないため、調整が難しかった。
みるみる炎は消えていく、煙が蔓延し、料理長はキョトンとした顔で炎があった場所と水野を交互に見比べていた。
炎が完全に消えたようなので、雨をとめる。なにを言ったらいいかわからない料理長の、次にでる言葉を待つ前に、水野は深くおじぎをして、すこし笑みを浮かべて走り去った。
よかった。これで大きな災害にならずにすんだ。
もう一度喫茶に戻ろうとした時、ガッと突然肩をつかまれた。
先ほど厨房を助けたのにも関わらず、水野は何故か「怒られる!」と思って振り向く。
黒く長い髪、少しジト目の女性だった。普通の女性というような格好をしている。
「あ…あのの…あののののの…」
水野が口をわななかせながら言葉を搾り出そうとするのを待たず、その女性は口を開いた。
「私はシノ…ところで、あなたに…少し手伝って欲しいことがあるのだが…」
5
:
木野
:2011/08/05(金) 23:13:01
「あの、のののそのあああああ」
言葉がうまく出ずに泡でも吹いているような喋り方で水野は既に泣き出しそうだった。
「…怯えなくてもいい。人出が欲しいだけだ。実は新郎新婦が行方不明でな・・」
「え・・・それって迷子ですか?」
水野のため息のでる返答にシノは眉間にしわを寄せる。それに応じて水野はまた
何かしたんじゃないかと震えるのだった。
「これは事件だ。定刻までに挙式できなければ集まった女性達が暴動を起こす危険性もあるんだ。」
「…それは大変です。ぜひ・・・お手伝いさせてくださいっ!」
震える手でシノの手をつかむ水野。シノは不安を感じながらも、先ほどの水野の行動を思い出し
彼女の手を握り返すのだった。
---------------------------------------------------------------
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板