したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【きままに】鉢巻と鶏冠【つれづれ】

11木野:2011/01/15(土) 14:37:08
ガキン
と、巨大な首斬り包丁が地面に突き刺さる。その刃先が自分の首に食い込まぬようにハリソンは羽先の銃身で受け止めていた。
「………」
「おぉこわいこわい。さながら処刑人のようなダンマリだな。…だけど料理はもっと楽しそうにお喋りするもんだぜ?」
ハリソンは包丁と地面の間を抜けた。シノの目の前に何本かの羽が舞った。

「ま、これでお喋りはオシマイだけどな」
シノの額に銃が突きつけられる。激しい銃声と金属音で舞っていた羽が風圧で海へと飛んでいった。

12木野:2011/01/15(土) 14:40:03
「さ、今度は私とサーシャの息子のあなたとでこの小屋を壊しちゃいましょう!」
イムホがにやりと微笑む。
「は、はいイムホ先生っ」
イサムも慌てて同じように構える。
「いくわよ…せぇのぉぉおおおっ」

金網が揺れる音と共にイサムの悲痛の叫びがあがったのだった。

13木野:2011/01/15(土) 21:57:12
イサムとハヤハは仲良く横に並んで横たわり、脇腹の痛みにもだえていた。

「イムホ先生…なんで拳を合わせるのに金網越しで脇腹を狙うんですか…」
「そしてなんで俺の所に吹き飛ばされてきてんだ…イツツ…」
イムホはそんな二人に対し金網の前で両手を合わせながら正座をして謝っていた。
「ゴメンってば〜。ついついがら空きの所狙っちゃって…」
「それにしても、俺だけの力じゃあイムホ先生には勝てないだなんて…どうすれば…」
急にハヤハは立ち上がった
「ったく、これ以上脇腹をやられたくはないからな…イサム。やるぞ。」
イサムはしっかりとうなづいた。

14木野:2011/01/21(金) 12:37:44
粉塵が舞う。視界が遮られる中、ハリソンはトサカを靡かせる。
「…まだくたばっちゃいねぇだろ?」
刹那。粉塵の中から鈍い光りがちらつく。次の瞬間ハリソンは腹底を突き上げられた。
「ぐわっ…!?」
くるりくるりと三回転半回り、ハリソンは着地した。
「そうか…その額のプレートで防いだってか?」

粉塵の中から紫の布が舞う。穴だらけとなった布の下から鋼色に光り、プレートの「無」の文字が傷ひとつ無く刻まれていた。
「ぐわわっ!?」
ハリソンは一瞬で首元を捕まれた。
「…お喋りは終わりだ…」
いつの間にか粉塵は消えていた。

15木野:2011/01/21(金) 12:38:46
「見事に小屋に穴が開いたわね♪」
「あやうく俺達にも穴が開くとこだったがな…イツツ……」
三人の拳は見事にバラバラの場所を攻撃してしまったが、逆にそれで力がかかり鋼鉄の小屋に穴が開いたのだった。結局、二人がかりでもイムホにはかなわず吹き飛ばされることとなったのだが…

「さ、はやいとこ鶏を捕まえましょう!」
イムホは颯爽と駆け出した。その後をイサムとハヤハは、互いを支え合い追うのであった

16木野:2011/01/21(金) 12:40:38
ギリリと絞められた首に力が加わる。足が地に届かない。このままでは…
「どうだい?空に向かって締め上げられる気分は。」
ハリソンはにやりと笑う。
羽の下からはジェット噴射の飛行機械が、そして三本の爪が伸びるアームはシノの首をしっかりと掴んで放さなかった。

「なんだあれは?!」
「鳥だ。鶏だ。ハリソンだ。」
「…ハヤハちゃんたら、相変わらず目がイイのね。私には首のタグまでは見えなかったわ…」
イサム達は三人は遥か上空に浮かぶハリソン達を見上げていた。

「…んっ。」
シノはなんとかハリソンの脚の付け根を握り首が絞まるのを抑えていた。
だが、付け根の羽毛のふさふさ感で気が緩みそうだった。
もう耐え切れない…そう思った時、一本の弓矢がシノの脚を掠った。
「…ッチ。脇腹が痛すぎて威力も命中率も全然駄目だ。」
ハヤハは脇腹をさすりながら愚痴った。
「…なんだ?閉じ込めておいた人間達がでてきやがったか。まぁ、このコンテナから見つけた装備で倒し……ぅいたたた!?」
さっきの弓矢の痛みで目が覚めたシノはハリソンの両足を力一杯左右に引っぱった。
「わわわわ!?痛い!やめろ!ローストチキンにするつもりかっ!!」
バランスを崩したハリソンとシノは最後のコンテナへと落下したのだった。

17木野:2011/01/26(水) 16:22:12
「大丈夫か!?」
イサムは倒れているシノに近寄った。近くのワラ束に落ちたようで気絶しているだけのようだった。
「シノ…?どうしてここに…。イサム、この子は私が運び出すわ。あのハリソンとかいう鶏をどうにかして!」
イムホはシノを軽々と担ぎ上げ、離れていった。
「マジかよ…怪我人二人であの鶏を止めろっていうのか?」
ハヤハはずっと脇腹に手を当てたままである。
「…それでもやるしかないだろ。このままじゃあシャユウ街どころかラドリオ中が鶏だらけだぞ」

その時、最後のコンテナが爆発した。

18木野:2011/01/26(水) 16:23:23
「あのサイズのコンテナのどこに入ってたんだよ…」
ハヤハは上を見上げている。
粉塵と共に舞あがったハリソンはドラゴンのような巨大なマシンにつつまれていた。
「…と、とにかく闘うしかないだろ!」
イサムは近くに落ちていた物干し竿を掴むと、そのままドラゴンマシンの頭を叩いた。
鈍い音が響いた。
続けてイサムが音を立てて倒れた。
「どうしたイサム!?」
ハヤハが駆け寄る。
イサムは苦痛に満ちた表情で呟いた。
「…脇腹が……痛い。」
それを聞いたハヤハまでも脇腹が痛くなってきた。
と、その時二人に大きな影がかかる。

ドラゴンマシンの腕が今振り下ろされんとばかりに掲げられていたのだった。

19木野:2011/01/30(日) 15:12:07
「…あたたた。ここはどこでござるか…?」
ドラゴンマシンの動きは止まり、ドラゴンの口の中からは黄土色の忍び服を着た人物が現れた。
「だ…誰だ?」
「拙者は…ニンッ!?」
突然ドラゴンの口がしまり、翼を大きくはばたかせた。
「…飛んでいきやがった。なんだったんだ?」
見上げる二人だったが、脇腹の痛みにその場に倒れ込むのだった。

20木野:2011/01/30(日) 15:13:23
「回収完了。いまから帰還する。」
飛び立ったマシンドラゴンの内部はコクピットになっており、チェックランプがせわしなく点灯していた。
「あぁ、邪魔が入ったが十分データは取れた。」

「ん…なんでござるか?」
彼はぶつけた頭をさすりながら起き上がる。あたりには人影どころか座席も見当たらなかった。
「異物が活動を開始したようだ。排除を開始する。」
「ぬ…?」
次の瞬間マシンドラゴンは宙返りをし、口から彼を吐き出した。
「ござぁあああああ!?」
真下は海。海面にたたき付けられてはひとたまりもない。
「…ったく五月蝿い忍者だな。」
突如、彼の背中から羽が広がる。吹き抜けるジェット噴射の勢いで空を滑空する。
「おぬしは…?」
「鶏共と反乱を起こした一羽のニワトリさ。ま、失敗しちまったがな。」

と、突然ハリソンのジェットが黒い煙をあげ、止まった。
「…さ、後は自分の力で飛んでくれよ。」
ガッシリと掴んでいたアームごと彼は空へと解き放たれた。
「せ、拙者には羽なんてゴザ…というかこの背中のが重くて、ゴザアアアアア!」

小さな街の小さい者達の反乱は
小さな激突音で幕を閉じたのだった。

21木野:2011/04/16(土) 22:33:11
■■■■■■■■■■■■■■■FIN■■■■■■■■■■■■■■■


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板