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孤空の月〜崩れゆく廃坑〜

733/12@gone the past!(後編):2011/03/04(金) 18:24:56
「エゴ。……落ち着いて話を聞いて」
先に口を開いたのはアイリだ。彼女は慎重に言葉を選びながら話す。
「ナインは確かにあなたを傷つけた犯人だったわ。
 多分、あなたは私達の敵にナインの事を教わった。だから、今……
 あなたは混乱してるのよ。いきなりだったから」
空気が異様に張り詰めているのをアイリは感じていた。
セイスイ、玲、エゴも、表には出さないが臨戦態勢だ。
「――でも、今は争ってる場合じゃないの。この洞窟の中に潜んでるあの男は、私達を殺すために色々な罠を仕掛けてきた。
 私達が金脈を見つけて、生きて帰るためには――そんな奴に負けちゃ、いけないの……!!」
アイリは喋っている間もエゴから目を離さなかった。エゴの表情に僅かに変化が生まれるのを見て、更に言葉を続ける。
「……あなたと私が仲直りしてから、エゴの事ずっと見てた。
 本当のあなたは元気で、人懐っこくてかわいい子だと思ってる。今ならまだ間に合――」
「どうしてそんな事いえるの?」
「―――!?」
ここに来てエゴが言葉を発する。
アイリはその表情を見て戦慄した。エゴの表情――あの夜であった時と全く同じ。
「どうして?〝たった二十日〟いっしょにいただけで……どうしてあなたはわたしの事全部知ったように話すの?」
「どうしてって……!一緒に鉱山をさまよって……!!」
「イッショ!?あんたナインの仲間でしょ!ナインの奴に言われてずっとカンシしてたんでしょッ!!」
エゴの態度が豹変する――と思えば、今度は暗い表情に変わり、
「エゴね……もうけられた事なんかどうでもいいの。ただ……こわいの。
 エゴを蹴ったやつも、エゴを撃ったやつも、おねえちゃんたちの仲間なんでしょう……?
 アイリおねえちゃんも、剣おにいちゃんも、みんな……そいつと仲良くいられることがこわいの。
 そうしたら気づいた。アイリおねえちゃんも、そいつと同じだって」
「……エゴ?気持ちはわかるけど言ってる意味がよく……」
「だから、そんなやつらはみんな静かになればいいって思った」
その目に迷いはない。清々しいほどに澄んだ緑。逆に彼女を止めに来た3人の目には――焦り。
言葉を紡ぐ間に、エゴの腕がマシンガンに変形する。
「剣おにいちゃんがエゴをしかったように、今度はわたしが皆をしかる番。そうすれば、皆反省していい子になる」
「エゴ……!!」
「よせ!こいつもう何言っても無駄だ!」
マシンガンの照準が3人に向けられ、引き金が唸る。
「タイフェンやニーハオがやった事を――」
轟音と共に銃弾の吹雪がアイリたちを襲う――!!
「わたしがやるのッ!!!」


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