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かやわら

12名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/07/07(日) 04:47:54

昨日は珍しく────夢を、見た。


───“それ”は昔の話だ。〝清村渡季也〟という存在に出会った日の夢だ。
彼の口から語る理想は『御伽噺』の様で純粋だった。
俺はそれに聴き惚れていた。―――正確に言えば、俺を必要としてくれてるのが嬉しかった。だから、渡季也の夢の世界を実現するまで傍に仕えたいと思えた。


 その使命を果たす事が、由緒正しい鏑木家の唯一の“落ち毀れ”である自分が出来る役目。或いは、だと思っていた。


―――初めて人を好きになれそうな気がしたんだ。

―――好きでいたかったんだ。


 切っ掛けは些細な事だった。
『方舟』の話を聞いた時、耳を疑った。聞かなきゃ良かったと思ったと後悔すらしている節もある。―――正直、“着いていけない”と思った。
 
 御伽噺の様な理想は、次第に手を必死に伸ばしても届かない所へ、
 自分は”常に“最善”を考えて渡季也の為に動いているつもりだった。……つもりだったんだけどなぁ…。



 俺は渡季也の期待を裏切らない様に。―――いつから、“横”じゃなくて“背中を追い掛けていたんだろなぁ…。


 彼奴は超人を同士と語るが、もし俺が超人じゃなければあいつは俺のことをどう思うのだろう。




――――――――
―――――
――


───泡沫の夢が、醒めた。


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