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好きな小説を語るんだよ(*`Д´)ノ

4061うぉんさんの読み聞かせの会:2017/12/23(土) 17:26:44 ID:LNssCYN6
脳溢血で倒れて以来、ノワルチエ氏は視覚と聴覚だけで周囲の情報をつかんでいる
腕の動き、声の響き、身体の姿勢が失われても、この老人の漲る活力はその目を見ればわかる
ヴィルフォール、ヴァランチーヌ、忠実な老僕バロワは老人の眼差しからその考えを読み取ることができた

ヴィルフォール氏、ヴィルフォール夫人はノワルチエに報告する
ヴァランチーヌを嫁に出すことに決めた
相手は家柄もよく、財産もある、申し分ない相手
フランツ・ド・ケネル、デピネ男爵である、と・・・
ノワルチエの目に動揺が走る
ヴィルフォールは言う
ヴァランチーヌは父上をことのほか愛しております
結婚後もヴァランチーヌは父上と3人で暮らすように取り計らいます

ノワルチエは苦悩と怒りで爆発しそうな表情を浮かべていた

ヴィルフォール夫人は言う
デピネ男爵も親代わりの叔父上さまたちも喜んでおられます
お母さまは男爵が生まれてすぐお亡くなりになったし、お父様は1815年に殺されておしまいになって・・・ですからあの方はご自分の意志だけでお決めになれますの

フランツの父、ケネル将軍とノワルチエとの間の事情を知りながら、ヴィルフォールは言ってのける
あの事件は謎の殺人事件でしたな

ノワルチエの唇はひきつった

もしあの事件の真犯人が我々のような立場にいて、娘をフランツ・デビネに与えて、かすかな疑惑の痕さえも消してしまえたら、さぞかし嬉しい気がするでしょうな

ノワルチエはその眼差しで「そうか、わかった」と言った
深い軽蔑の色と理知的な怒りをたたえながら・・・

ではお父様、失礼いたしますわ
エドワールをよこしましょうか?

ノワルチエは激しく瞬きした
(受諾は目を閉じる 拒否は何度もまばたきする)
拒否されたヴィルフォール夫人は思わず唇をかむ

ではヴァランチーヌを?
ノワルチエは目を閉じた

ヴァランチーヌがやってくる
彼女はひとめでノワルチエが怒っていることを察する
おじい様は誰に怒っているのかしら?わたしに?
『そうだ』
結婚の話を黙っていたからかしら でもお父様の命令だったの・・・
『ちがう』
じゃあ、どうして怒ってらっしゃるの?
わかった 私を愛してくださってるからなのね
結婚したら私が不幸になるとお考えなのね
『そうだ』
フランツさんが嫌いなの?
『そうだ そうだ そうだ』
私もフランツさんが好きじゃないの
修道院に入りたいと言ったとき、お祖父さまはお怒りになったでしょう?
実はこの結婚から逃げたかったからなの
老人の目から涙が一粒流れた
ああ、この結婚はお祖父さまをうんと悲しませるのね
お父様の計画を二人でやめさせることができたらいいのに!
ノワルチエはいたずらっぽい表情を浮かべる
まるでお前のためにわしにできることがある、と言わんばかりである

ヴァランチーヌは辞書を駆使する方法でノワルチエの指示を仰いだ
こたえは
『公証人を呼べ』であった


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