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天皇

27NAME:2022/08/01(月) 14:02:43
サウジアラビア王子の心遣い

 皇室が「なぜ世界で尊敬されるのか」、さらに知るためには実際に本書を読んでもらうしかないが、本書のもう一つの魅力は、皇室の国際的活動に関する知られざるエピソードを、いくつも掘り起こしていることだ。

 1953年のエリザベス女王の戴冠式には当時の明仁皇太子が出席した。第2次大戦終結後まもなくということもあり、日本に向ける英国社会のまなざしは厳しく、式で用意されたのは末席だった。ところが、それを見かねて最前列の自分の席の近くに呼び寄せたのが、後にサウジの国王となるファイサル王子だった。その18年後の71年、ファイサル国王は国賓として日本に招かれるが、これは戴冠式での恩義にも関係していると筆者はみる。

 1921年に当時皇太子だった昭和天皇が、パリでスペイン国王アルフォンソ13世と昼食会を持っていたという話も初耳だった。80年に来日したフアン・カルロス1世に、昭和天皇が「私はあなたのおじいさんにごちそうになったことがあります」と囁いた言葉をきっかけに、吉川元偉(もとひで)スペイン大使の執念で、詳細が明らかになる。これはスペインの公的な対外政策史の中でも引用され、両国関係の緊密化に寄与した。

 新天皇についてのエピソードでは、雅子皇后とのご成婚にも尽力した山下和夫東宮侍従長が登場する。山下氏はモロッコ大使を経験した経歴を生かし、1991年に徳仁皇太子のモロッコ訪問を実現させる。ご成婚後、最初の外国訪問もアラブ諸国だったが、新天皇とアラブ諸国との縁は、皇太子時代のモロッコ訪問から始まったと言ってもよい。

 本書には多くの外交官が登場する。ほとんど私が存じ上げている人たちだが、深い取材により、外交官が皇室の国際的な活動をしっかりと支えていることが書かれてある。外務省のOBとしては誇らしい限りだ。

 こうした皇室の活動を知ってもらうためにも、一人でも多くの方に本書を読んでもらいたい。そして、その皇室の活動がどうすれば今後も変わらず続けられるのか、多くの国民に考えてもらう機会になればと思う。

※国際社会における皇室の存在感 ――松浦晃一郎 「波」2019年6月号より


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