クシュネル元外相(Bernard Kouchner)が創設者のひとりであった「国境なき医師団」(Médecins Sans Frontières)。紛争地や被災地で、人命救助にあたっていますが、同じような名前の「国境なき記者団」(Reporters Sans Frontières:RSF)という組織があります。
RSFの主な懸念の対象は、“Hadopi”(Haute Autorité pour la diffusion des oeuvres et la protection des droits sur Internet)という違法なダウンロードを取り締まる法律と、“Loppsi 2”(la loi d’orientation et de programmation pour la performance de la sécurité intérieure)といわれる治安維持のために有害サイトへのアクセスにフィルタリングをかける法律だ。モリヨン曰くは、児童ポルノサイトへのアクセス対策といった、まったく合法的な目的の陰に隠れて、上記の2法律はネット上での表現の自由を脅かすことになりうるメカニズムを実施に移そうとしている。
フランスが監視対象国になったことは驚くべきことではない。ここ数年来、フランスが危険な方向へ向かっていることは分かっていたことであり、報道や表現の自由への大きな圧力がかかっている。政府与党は、あたかもインターネットに対抗する十字軍気取りだ、と“La Quadrature du Net”というネット上での市民と自由を擁護することを目的とした団体の報道官であるジェレミ・ジンマーマン(Jeremie Zimmermann)は語っている。