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理系ネタスレッド

3Seven:2004/04/18(日) 18:54
 さて、二つ目の毒性、即ち放射線的な毒性についてなんですが、ウラン238の半減期はなんと45億年もあります。これをもって「被害が半永久的に……」等という文句をまことしやかに語ったりしているサイトが多数あるんですが、半減期が長いという事は、つまり崩壊がゆっくり進むという事でもあり、微弱な放射線しか出さないという事でもあるのです。プルトニウム239なんかは、半減期が2万4千年と桁違いに短いので、それだけより危険な訳です。ウラン238が主に出す放射線はアルファ線(ヘリウム原子核)ですが、これは出た瞬間急激にエネルギーを失ってしまうので、紙一枚で遮断できます。従って薄皮一枚でアルファ線ははじき飛ばされてしまいますんで、ウラン238による体外被曝はほとんど無視して良いです。問題となるのは、特殊APFSDS弾が目標に命中した際に撒き散らされる微細な粒子物質で、そいつを吸引したりする事による体内被曝です。
 で、その被害はどの程度かと言いますと、広島大学平和科学研究センターHPにある篠田英朗氏の論文↓
http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/Pub/29.html
 によると、まずイラクでガン患者の発生件数が増加している、などという事を書いた後に、

「……しかし戦争後の経済制裁の条件下でなされた研究は、必ずしも精緻で体系的とは言えない。いずれの報告も、ガンの発生件数の増加と劣化ウランの因果関係を十分に証明するものではなく、さらなる包括的な研究によって補足されるべきだと言えるだろう。」

 などと、えらく歯切れの悪い文句が続いていたりしています。そして実際、現段階ではイラク住民に発生している癌とか奇形児とかの健康被害と、特殊APFSDS弾との因果関係を完全に立証するのは困難です。何でかと言いますと、まずイラクで「癌患者が増えている」事と、「それが劣化ウランのせいかどうか」というのは別問題なんです。どうも癌患者が増えればそれが即座に特殊APFSDS弾の危険性を立証する物であると考えている人が大勢いるようですが、それは間違いです。癌は放射性物質によってのみ引き起こされる疾患ではないからです。加えて、ウラン238の放つ放射線は弱く、エアロゾル化したそれを吸飲する量も微量で、中性子爆弾よろしく速効で人を殺傷するほどの威力は発揮しません。そして、戦地では劣悪極まるどん底の生活環境とか、胃に穴が一つや二つ空いても全然不思議ではないほどの心的ストレスとかの、健康を害するファクターが他にもあり過ぎます。イラクの場合、かつてフセイン政権が無分別にばらまいた大量の化学兵器、更に湾岸戦争時には膨大な量の原油が露天で燃やされて、ベラボーな量の有害物質がそこら中に撒き散らされた事は確実です。ぶっちゃけた話、戦争それ自体がどえらく健康に宜しくないので、考えられる他のファクターを全て排除し、ついでに癌は平和な地域でも自然に発症する病気なので、その可能性も排除し、純粋にエアロゾル化したウラン238の健康被害のみをピックアップして立証するのは、非常に困難なのです。


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