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地方選挙・地方政治
1912
:
片言丸
◆MACDJ2.EXE
:2007/11/19(月) 17:21:27
■解説
◇市民の期待、形に
西日本最大の都市に、行政経験のない市長が戦後初めて誕生した。推薦した民主の組織票が押し上げた側面はあるものの、結果は有権者の「大阪市役所」に対する不信任といえる。職員や市議会は、この民意を重く受け止めるべきだ。
現職の関淳一氏は職員厚遇問題などをきっかけに、労使蜜月関係を解消し、旧同和対策事業も抜本的に見直した。財政危機の克服に向け、1200億円の経費削減や4500人の職員削減なども進めてきた。外部の人材を登用し、情報公開も大幅に進め、全国から注目を集めるまでになった。
一方、当選した平松邦夫氏の出馬表明は投票の1カ月前と、有力4候補のうち最も遅かった。発表したマニフェストはわずか5ページ。16項目の政策にも、具体的な数値目標や手法は盛り込まれず、スローガンの域を出ていなかった。民主も市内に衆院議員はおらず、組織票は自民、公明の合計には及ばない。
それでも平松氏が勝ったのは、関氏の改革の効果が、市民サービスの現場に実感として伝わっていなかったからにほかならない。毎日新聞が選挙中盤に実施した世論調査では、改革を評価しない人が、する人の倍近くに上った。職員厚遇や同和などの問題が明るみに出る前、関氏自身が市幹部だった事実や、改革途中に噴出した学歴詐称や市税滞納など職員の不祥事も不信感を増幅させた。
それだけに、平松氏は「抜本的な変革」を求める市民の期待を一身に背負うことになる。
目前には、大阪市の7部局が入居する第三セクター「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)の処理という大きな課題が待ち構える。特定調停で経営再建中だが、民事裁判の鑑定で、市が負担する家賃の高さが指摘された。是正すれば2次破綻(はたん)が現実味を帯び、市が359億円に上る損失補償や95億円の債権放棄を迫られる事態も予測される。少数与党となる議会運営など難題も山積している。
選挙戦で、平松氏が訴え続けた「民の目線での情報公開」「ガラス張りで市民が参加する市政」を、市民が実感できる形で示せるか。これからは具体的な行動力が問われる。【堀雅充】
毎日新聞 2007年11月19日 大阪朝刊
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