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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

985『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/08/22(月) 03:01:34
>>981(エイノー)

   シュパ! ──ドシュン!

ティッシュを抜き取り、その一枚から『可塑性』を抜き取った。
新たな『カートリッジ』を手に、エイノーはらせん階段を登り出す。
鳥かごのような構造の階段には手すりがあり、
激痛を通り越し、なかば麻痺し始めたエイノーの足を補助してくれる。


      カン カン カン カン

頭上から降り注ぐ日の光を仰ぎ見ると、
頭上に大きな青銅の鐘が垂れているのが見えた。
鐘からは金属製の長い棒が鐘楼室まで下がっており、
階段を登らずとも、鐘を鳴らせる構造になっている。

だが、今、耳を聾しているのは鐘の音ではない。

 
           パ! ドパァア ──プ

空気を震わせるほどの音量──それは、ラッパの音色。
エイノーの想像が正しければ、『終末』のそれだ。
響きの距離から察して、鐘楼のすぐ傍ではない。


              カン カン カン カン

エイノーの手が、鐘楼に触れる距離まで来た。
鐘楼の周囲は正方形の小部屋で、四方に人が通れるほどの窓がある。
どれも扉の類はなく、開けっ放しの造りだ。
後一歩、上に出れば、その間から、外界の状況も見て取れるはず──

>>982(ウィル)

『フランキー・アヴァロン』の能力の一端に嘆息する。
射撃のみならず、格闘戦でも任意の地震は強力だろう。
足場という条件は、あらゆる戦いにおいて前提とされるのだ。
それを支配する『肉詰め』の能力が味方なのは、
『地上最悪』と呼んでよい敵を前に、心強いとしか言いようがない。

   ──シャキ!

井上の声を受け、ウィルはルンクスの胸に照準を合わせた
『ファイア』の引き金を、無造作に引いた。

                   パスゥ!

大気を貫いた『長針弾』が、まっしぐらに黒人へと放たれる。
人であれば振り向くことすら許さぬ『超高速』。
銃弾を弾けるスタンドですら、
この『ファイア』の針には手を焼いている──
『エンジェルズ・ラダー』の試金石には十分だ。

            カッ キィィン!

果たして、次の刹那に『針弾』を弾き飛ばしたのは、
右手でも左手でもなく──左に傾けたスタンドの『角』だ。
本体同様、股間から喉元までもそり立つそれを、
必要最低限の速度で傾け、『針弾』の軌道を塞いだ。

「ん〜〜っ、
 ナカナカ刺激的な『前戯』じゃねーカ」

──絶妙の対応力とスピード、そして硬度。
初弾にして、ウィルは敵の戦闘力の小手調べに成功する。

浜岡:
「・・・・どっから説明したもんだろうねえ」

水たまりのから現れた美女から視線を外さず、
浜岡は嘆息する。

「『呪いの鏡』ってーのは、隠された本心を映し出して、
 そいつを備えたもう一人の自分を作り出すんだ。
 『深淵』とか呼ばれてるそいつは、
 見かけは鏡映しなんだが、中身は本物と真逆に近くなる。
 もっとも、本音の部分を含むんだから、偽物でもない。
 やっぱりもう一人の自分ってことになるさね」

「『深淵』は鏡の中の住人で、鏡と鏡は繋がってるらしい。
 現実との出入りには大きな鏡や水面が必要で、
 何であれ傍に鏡がなくなると、この世から追い出される。
 ・・・・それ以外は人間と同じさ。
 傷付けば血を流すし、誰でも倒すことが出来る」

「・・・・あたしと同じスタンド使いの『殺し屋』に勝てるなら、だがね。
 あいつのコードネームは『スイート・バイト』。
 自分で言うのもおこがましいが、裏世界じゃ知られた『殺し屋』の名さ。
 今はもう、あたしのじゃないけど・・・・ねぇ」

その『スイート・バイト』もまた、ナツメグと会話を始める。
会話を切り上げ、一気に二人を攻めるか、
それとも情報と事情の聴取を優先するか──選択肢は二つある。

986『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/08/22(月) 03:43:57
>>983(高遠)
ウィルに説明する浜岡の声は、高遠にも届く。
『呪いの鏡』の説明を信用するならば、
眼前に立つ存在は過去の浜岡の鏡像であり、
偽物というよりは、『影の精神を持つ浜岡』ということだろう。

高遠の問いに、浜岡はかすかに笑みを浮かべる。

「・・・・そういうこったね。
 ま、あんたはあたしのスタンドをよく知ってる。
 未知の能力を相手にするよりゃ、やりやすいだろ?
 もっとも、アレは『殺し屋』だった時代のあたしさ。
 『寝具』は全て『永眠』用に使ってくる。
 手加減だとか容赦だとか一切ない相手さ。用心おしよ」

母親はどちらか、と考えた時、ふと高遠は思い出す。
出立前に新妻から聞かされた、浜岡の子供の話を。
『ナツエ』──新妻は娘だと言ったが、
その名は、今、偽物が呼んだものと同じものだ。

ナツメグ:
「その名で呼ぶなつってんだろ〜が。
 オレは『ナツメグ』。そんな女みてーな名前は願い下げだ」

『スイート・バイト』
「夏の恵みで『夏恵』。
 夏に生まれたあんたにはピッタリじゃないか。
 ま、そう名付けたのはあたしじゃない。
 文句があるなら、そこにいる『生みの親』に言えばいいさね」

ズギュ!

今度こそ高遠は『クレモンティーヌ』を発現した。
左脇には椅子列もあり、蹴り飛ばすには申し分ない位置だ。
高遠は音楽に合わせて回転しながら、『鏡の女』を観察する。
倒れた祭壇前、女と水たまりまでは『6m』。
そして女の体に、塗れた様子はない──
水たまりから出てきたように見えたが、一滴として体に浴びてはいない。

>>984(井上)
『ハッピー・オルガン』はともかく、
井上の体は確実に傷付いている。
現時点では強制的に無理をさせているが、
この調子で扱っていれば、遠からず機能に支障を来すだろう。
とはいえ・・・・それを意に介する『ハッピー・オルガン』ではないだろうが。
 
                   バ ババッ

ナツメグと謎の美女がやり取りしている隙を見て、
井上を呼び寄せる。わき目も振らぬダッシュで椅子列を抜け、
『道具』は再び、『ハッピー・オルガン』の手元に戻った。

「内輪揉め?
 あんたらにはそうかもだが、あたしには違うね。
 これは『教育』さ・・・・愛する息子が間違った道に行かないようにね」

『ハッピー・オルガン』と井上の発言を聞きつけ、
美女がこちらを一瞥の後、返答する。
ルンクスは周囲のやり取りを、いかにも楽しそうに聞き入っている・・・・
自分を暗殺しに現れた集団を前にした余裕ではない。
まるで来客を迎える王族の如き鷹揚さだ。

それでいて、ウィルの放った高速弾を、やすやすと防いでのける。
圧倒的に『襲われ慣れている』──それが日常であるかのように。

987『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/08/22(月) 03:49:26
>ALL

周囲の存在を無視したまま、
『スイート・バイト』はおもむろに、『ナツメグ』との交渉を始める。

「率直に言うがねえ、ナツエ。
 失望したのはあたしだって同じさ。
 勝てる相手と勝てない相手は見極めるのが、
 【殺し屋】に求められる重要な資質だと教えたはずだよ」

「状況を見て判断しな。
 アタシはあんたと、もちろんあの女の能力を全て知ってる。
 残りの二人、いや三人だったね。
 そいつらを合わせて、ルンクスに勝てる道理があるのかい?
 私らを教会に閉じ込めたつもりかもしれないが、
 実際に追い詰められてるのは、あんたたちなんだよ。
 両方の戦力をおよそ知ってるあたしが言うんだ、間違いない」

「その証拠に、
 あたしはとっくに司祭室のネズミを見つけてる。
 鏡は何処にだってあるからねぇ。
 でも始末はしないどいてあげた。つまりは、そういうことさ」

『ナツメグ』:
「・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!」

『スイート・バイト』: 
「それにあんた。
 まさか本気で、自分を捨てた母親と一緒に、
 育ての親に歯向かう気かい?
 『ババァは殺す』って口癖みたいに言ってたじゃないか」

「あんたがルンクスをよく思ってないのはわかるよ。
 母親を取られたようなもんだからねえ。
 でも、そんな感情で大局を見誤っちゃあ、まだまだだね。
 ルンクスは遠からず、世界を獲る男だよ。
 女はこの世の半分を占めてる。
 その上に君臨する人間が、王にならない道理がないだろ?」

「さあ・・・・悪いことは言わない。こっちにおいで。
 一緒にあの女と、ついでにおまけをブッ殺してから、
 今後について考えようじゃないか。時間はたっぷりあるんだ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



                          ド ド ド    ド ド ド ド ド



アルメニアン教会内 地図:

■■■■■■■■■■扉扉■■■■■■■■■■
■□□□エ.□□□□□□□□□□□□□□□□■
■□■■扉■■■■■扉■■■■■■扉■■□■
■□■□□□■□■□□□□■■□□□□■□■
■□■□□□■□■□□□□■■□□□□■□■
■□■□□□扉□■■■■■■■□□□□■□■
■□■□□□■■□□□□□□■□□□□■□■
■□□■■■■■□□祭壇□□■■■■■□□■
■■扉■■■■□□□□ル□□□■■■■扉■■
■□□□□□ナ□□□女水□□□□□浜ウ□□■
■□□□□□□□□□□□□□□□高□□□□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
扉□〓〓〓□〓〓〓〓□□□□〓〓□〓〓〓□扉
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓井ハ〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□〓〓〓□〓〓〓〓□□〓〓〓〓□〓〓〓□■
■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■
■■■■■■■■■■扉扉■■■■■■■■■■

□:約1m×1m ■:壁 〓:椅子
祭壇:倒れている

988エイノー『フィストフル・オブ・クォーターズ』:2016/08/23(火) 19:21:50
>>986-987
『計算違い』はあるとして、当座自分は
あれが『終末のラッパ』とは思っていない。
それなり不都合は起こるとしてそこまで
差し迫って危険ならこの数十秒を
『ルンクス打倒』に費やす賭けをしていただろう。
なので鐘楼に駆け上り鐘の下から出て
まず鐘に『『f・O・Q』でスロットを作成し
『可塑性』カートリッジを装填する。
これでちぎれないまでも鐘は『可塑性』により
自重で真下の階段まで伸びて落ち被さる。
確認して『可塑性』カートリッジ解除、菊川に確認。

「菊川氏『、上を塞ぐ』のはこのあたりで良いだろうか?」

可能な限り不足はフォローするが、次は『天使像』だ。
正直本当にあれが『終末の7回目のラッパ』でない保証はない。

989ウィル『ヴェノム&ファイア』:2016/08/24(水) 23:22:32
>>985

「そうね 次はもっと激しいのがお好みかしら?」

『ルンクス』に対し軽口を叩きながらも、内心、改めて確認する。
この男は、そして『エンジェルズ・ラダー』は『強い』。
あの『三本目の足』も、十分に武器として使える強度とリーチを備えている。
だがそれよりも、針弾を確認し、即座に適した防御に移る判断力。
やはり『地上最悪』は伊達ではない。

「厄介なアイテムね・・・『スタンド』以外にもそんな未知の道具があったとは知らなかったわ」
「その情報からして 私たちはあの『水溜り』を消し去るのが最善の解決策のようね」

若かりしハマオカと同等の戦闘力を持った相手に挑むのは無謀だ。同じく『ルンクス』も相手にしなくてはならない以上。
ただ、あの水溜りは迂闊に触れてはならない。当然敵もそれを利用して来るだろう。
どちらにしろ、楽な道では決してない。

「ミス・ハマオカ・・・わたしにも『ブランケット』を貸してくださる?」「もちろん寝具の方だけれど」

飛び散る『水滴』を自分で防御しなければならない状況を考え、頼む。
幸い『ファイア』の反動はかなり弱い。片手でも扱うのには苦労しない。


「・・・・・ミス・ハマオカ」
「わたしはあなた達の事情は全く知らないから 迂闊なことは言えないわ」
「でも あなたは『ナツメグ』に何も声をかけなくて良いの?」

990井上正『ハッピー・オルガン』:2016/08/25(木) 09:46:16
>>986-987

【どォ〜でもいィ〜〜〜事をグダグダとよォ〜…】

「ビビッちまったって言うんなら」

【「帰ってピザでも食ってろデブ」】

女に向けて猛然と突進、そのままの勢いで鳩尾に向けて蹴りを放つ。パス精AAA
井上は途中で『ハッピー・オルガン』の手を離れ、『水溜まり』の前に跪く、そして…

「オゲーーーーッ! オゲゲゲゲゲゲゲェーッ!」

その中目がけ、猛烈にゲロを吐いた。

目の前にはルンクスがいるだろうが、まぁ俺以外誰も動いてないっていうんだったら順当に死ぬだろうな。

991高遠 嶺『クレモンティーヌ』:2016/08/26(金) 20:44:26
>>987
待って。

もう衝撃ばっかで待って。
整理させて、混乱するから。


便宜上『深淵』とそのまま呼ぼう。そいつは昔の浜岡さんの外見に、
捨てていた本音や影の側面をもつ『殺し屋』で、
浜岡さんの子は『セージ』ではなく『ナツメグ』で
(確かに悪感情を込めて母親をババア呼ばわりはある事だ。思ってた線とは全く違ったが)
ナツメグはなんかわからない経緯で浜岡さんが捨てるなりして『深淵』の手にわたって育てられた…?

セージは……ナツメグの態度を吸収して浜岡さんに食ってかかっていたって事なのだろうか。

で、菊川さんのことについても『深淵』の奴は知っていて見逃し
それや普段の言動を餌にナツメグの抗戦意志をへし折って、より確実に殺そうってか。

OK、多分こんなところか。


しかし、だ。

この場には他の者達もいて、もちろんターゲットである『ルンクス』も居て、
そこに向かって『ハッピー・オルガン』が動きたそうにしている以上

『護り屋』が動かないわけにはいかないんですよ。

あいにく遠距離に対してはシンプルな行動しか出来ない。
椅子の端(今から蹴る箇所)がルンクスめがけて、地図で言う逆時計に回転しながら飛んで行くように蹴り、飛ばす。 パス精ABB
狙いは中から下段。あまり上には飛ばないよう。

「……部外者から一つ、余計なことを言うとしたらさ。
 殺したいんだったら自分の手『だけ』でしたらどうなの『ナツメグ』!」

992『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/09/01(木) 18:37:39
>>988(エイノー)

小部屋に鎮座する鐘楼にスロットを設け、
ティッシュから得た『可塑性』を与える。

──が、鐘にさしたる変化はない。
『可塑性』とは、
力を加えられた物質が変化し、そのままの状態となる性質のことだ。
鐘の材質である青銅でも、ティッシュのパルプでも、
その点において、極端な違いはない・・・・
『強度』が変わるわけでもないので、落下もしない。

(──鐘を落として塞いでくれれば、それで十分だよ)

柱に耳をつけると、菊川の声が届いた。

同時に、石像の『天使』の姿が目に入る。
ラッパを手にしたそれは、すでに石像とは思えない
生々しい姿を得ている──両翼は本物の羽毛のようだ。

             バサッ バサッ

体に比べ、物理的には明らかに小さなその羽を羽ばたかせながら、
宙空で制止している──エイノーと同高度。距離は『8m』。
こちらに気付いているのは明らかだが、
現時点で、動く様子はない・・・・ラッパを奏でるのみだ。

(──下もね。結構厄介なことになってきたよ。
 一番は、ぼくについてなんだけどね)


>>989(ウィル)

浜岡:
「スタンドってのは、道具に宿るものもあるのさ。
 中世貴族ってのは、厄介な連中が多かったらしいねえ」

軽口を叩く浜岡だが、鏡映しの『深淵』から、
一時たりとも目を離さないでいる。

「あの水たまりは危険だし、排除すべきだけどね。
 出てきちまった『深淵』は、鏡を壊しても消えたりしない。
 それより、『深淵』の持ってる『鏡』を奪うことさね。
 傍に鏡があるか、『鏡』を身に帯びてないと、
 連中は『こちら』には居続けられないのさ・・・・
 よく観察おし、ウィル。鏡ならおまえさんの『銃』で壊せる」

「ブランケットかい・・・・交換条件になるがいいかい?
 実は、あたしの『寝具』は『3つ』までしか出せない。
 両手に『1つづつ』と、視界『5m』内に『1つ』──こっちは『奥の手』さ。
 上の女に一枚使ってるから、それをあんたに貸そう。
 代わりに──」

                フシュ!

シャンデリアに引っかかった毛布が消え、半裸の女が姿を現した。

「その女を、動けないようにしといておくれ」

高さ『4m』ばかりから、
女は力なく腕をぶら下げ、ずるりと落下してくる──

993『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/09/01(木) 19:38:22
>>990(井上)

『ナツメグ』:
「・・・・・・ク・・・・・・・ソ、が・・・・ッ」

『ハッピー・オルガン』の悪態にすら応じられぬまま、
ナツメグの巨体は、その場を動かぬ彫像と化した。
育ての母と戦うか、それとも『裏切る』か──
即座に決められないことは、
一行にとって幸運か、それとも悪夢なのか。

ただ一つ、間違いなく言えるのは、
ルンクス側は労せずして、戦士一人分の戦力を、
一行から削ることに成功した、ということだ。
『ナツメグ』が悩み、動きが取れぬ間にも、
当然の如く『ハッピー・オルガン』は動き、戦いを仕向ける。


        ────ビュ バッ!

猛然と『深淵』に距離を詰めながら、
武器の様に持った井上を水たまり傍に投げ落とす。
四つん這いになった井上が、犬のように大口を開けると同時に、
『ハッピー・オルガン』は深淵を護るスタンド、『熊頭の戦士』に向かって、
中段蹴りを繰り出す──
直撃すれば、背中を突き破った背骨が、天井に激突するような代物だった。

    ク  クン

如才なく女のスタンドが両掌を広げ、防御の構えを取る。
遅い──スピードは人間程度だが、構えに入るのが早い。
蹴りを繰り出すと同時に、狙った箇所に手が移動している。
予知じみた『予測』が、スピード差を埋めているのがわかった。

だが──

               ズギュ! バウゥン

蹴りが命中するよりなお早く、
広げた掌に出現した、真っ黒な『壁』は『予想外』だった。

高さは『2m』。左右にも長いその『壁』は、
『ハッピー・オルガン』の視界から女とスタンドを完全に隠し、

            ドッ ゴォォオオ!!

天も貫けとばかりに叩き込まれた蹴りを受け止め、
同時にひしゃげて折れ曲がりながら、
その勢いをもって、左右から『押し寄せて』きた!(パスA)

                     グ ォ  ォォ オオン !!

四つん這いだった井上もその範疇だ。
態勢的にも逃げようなく、迫る壁に引っかけられる。
『壁』の幅は確実に『2m』以上ある──

予想外の『カウンター』を避けるすべは、さしもの『ハッピー・オルガン』とてない。
それが予想外かつ、自身の攻撃の力を転化して行われれば、なおのことだ。


        バッ チィィィ ────ィン!!!

井上と『ハッピー・オルガン』。
主従を逆とする本体とスタンドは、折れ曲がった『壁』の中で、
仲良く『サンドイッチ』と化した。

『深淵』:
「・・・・『スイート・バイト』!
 あたしの仇名の由来になった技さね」

994『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/09/01(木) 19:38:59
>>991(高遠)
衝撃的な展開に頭が追い付かない。
だが、直感はある──今の自分の理解で、おそらく正解だ。

とはいえ、今まさに、戦いは火ぶたを切って落とされたところだ。
深く考えている余裕はない──
血に飢えた『ハッピー・オルガン』が味方ならば、なおのことだ。


        ── ♪
                 グ ルン
                                 バッ キャア!!


目星をつけていた長椅子の横腹に、回転を乗せた蹴りを叩き込む!
爪先に引っかけるようにして狙いをつけたそれは、
凄まじいスピードで回転しながら、まっしぐらにルンクスへと放たれた!
蹴りによる狙いは『クレモンティーヌ』の職能ではないが、
今回はうまくいった──弾道は足から腹部にかけて。狙い通りだ。


          ギャン ギャンギャンギャンギャン──!

「次の贈り物は、こっちカ?」

だが──、やはり。
本体の呑気な台詞とともに、『エンジェルズ・ラダー』が応じて来る。


  ギャンギャンギャン──z_____________
                                         ガッ! キィィイ

サッカーでパスを受けるように無造作に、
馬頭のスタンドは片足で荒れ狂う長椅子を止めて見せた。
それも、弾くより防ぐより困難な応対──床と足の間に挟んで、『キャッチ』した!
高度な精密性もさることながら、
『クレモンティーヌ』に匹敵するパワーがなければ、こんな対処は『不可能』だろう。

見れば、突っ込んだ『ハッピー・オルガン』は、
いつのまにか出現した大型の黒い『パイプベッド』に、井上もろとも挟まれている。
中央で折り曲げ、収納できるタイプのものだろう。
『破壊不可能』な物質で捕縛される──その危険を、高遠は身をもって知っている。

 
          ゴ    ゴ             ゴ ゴ ゴ

                  ゴ   ゴ

「ところで、『スイート・バイト』。
 さっきの『ネズミ』の話がジョークでないなら、
 放置しておくのはオレの流儀じゃアないな」

「あら、そうだったのかい?」

「こいつらはここで潰しておくにしても、万が一がある。
 逃げ道をあえて塞いでおく必要はない。
 『ネズミ』は潰しておくとしよう。おまえ、やれるか?」

「無理さね。あの部屋に大きな鏡はなかったよ」

「なら・・・・『新婚』のあいつに来てもらうしかねェな。
 おまえは気に入らないだろうが・・・・な」 
 

                                 ゴ  ゴ    ゴ ゴ       ゴ ゴ 


             
                                        (TO BE CONTINUED)

995『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/09/01(木) 19:42:52
次スレ:

【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その2
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