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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

927『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/06/14(火) 01:14:12
>>921(エイノー)
ウィル、浜岡とともに扉内に急ごうとしたその時。

 ピィ―――――――――――zノイッ!!

鋭い笛の音が、南方向から聞こえた。
思わず振り向いた視界の端に掠める、赤い色彩。

それはまるで絨毯のように地面に広がる、真紅の『何か』だ。
正門前から反物のように細長く、こちらへ、教会方向へと向かってくる。
スピードは人間並で、すでに残り『5m』まで迫っているが──

            ダ ッ

『優先順位』は、いずれにせよ変わらず、エイノーはチャペル内に足を踏み入れた。
ウィル、高遠、浜岡もそれに倣うが、
マリアと踊る『クレモンティーヌ』と井上のみ、外に取り残される。

そして、いち早くチャペル中央に陣取った『ハッピー・オルガン』の向うに、
祭壇に腰かけた不埒な黒人の姿を、エイノーは認めた。

>>924(ウィル)

「ルンクスは『供与者』に等しい存在」──
そう言ったのは、あのエルガマルだっただろうか?

非生物までも『嫁』に変えたことも衝撃だったが、
『才能』のみならず、スタンドまでも与えるとは。

いや・・・・並苗は口にしたはずだ。
自分にはスタンドの素質はなかった。だが別の才能があった、と。
即ち、素質さえあれば・・・・スタンドも発現するのが道理ではないか。

 ピィ―――――――――――zノイッ!!

ウィルの思考を阻むように、笛の音が鳴り響く。
振り返ったウィルもまた、背後に迫る赤い絨毯の存在を見た。
かなりの早さだが、自分たちはもう、扉の目の前だ。

エイノーを先頭に、浜岡、高遠と並んで、
ウィルはチャペル内に飛び込んだ。
小さな礼拝堂は、学校の教室を一回り大きくしたサイズだ。
無数に並ぶ長椅子、正面の祭壇、説教台などは、
国を問わず変わりなく、英国人のウィルでも落ち着ける。

だが──その祭壇の上で。
モヒカンが特徴的なその黒人は、
不遜極まりない場所で、神を神とも思わぬ『プレイ』に励んでいた。

>>925(高遠)
扉を開けた人物の姿はない。
おそらくは菊川が、『開けて』くれたのだろう。

その時、外から警笛の音が聞こえてきた。
とっさに振り向いた高遠もまた、正門から向かってくる『赤い絨毯』に気付く。
扉からは『5m』の距離。速度は人間が走る程度。

考えることもなく高遠は扉内に退避したが、
問題は『クレモンティーヌ』だ。このまま残せば、
『絨毯』に接敵するのは間違いない。
時間はなかったが──高遠は素早く壁に耳をあてがう。

(──やあ。間に合ったね)
(──ぼくには外の様子はわからない。
 せいぜい壁際までが認識範囲なんだ。 
 敵がまだ残ってるなら、引き離してから合図してほしい。
 ──扉はいつでも閉じられるから)

(──井上君と君のスタンドは傍にいるね。
 ロンパリくんは?まだ来てないのかい?)

高遠は、接近する『絨毯』を睨み付ける。
扉を閉ざすなら、今しかない──
だが、ロンパリもマリア像も天使も、片付ける策はあるのか・・・・?

(チャペル内を確認する余裕はない)

>ハッピー・オルガン、ウィル、エイノー


                 パン!         パン!

          パン!         パン!


汁まみれの『肉』を叩き付ける卑猥な音が、聖なる祠の中に響き渡る。
黒と白、ともに上半身を肌けさせた男女は、
黒が白を膝にまたがらせ、精確なリズムを刻んでいる。
その足元には、得体のしれぬ液体が広がり、
床に大きな水たまりを作っている。

祭壇──教会の心臓ともいうべき聖なる場所。
敵──教会に乗り来んだスタンドと、複数のスタンド使い。
それらの事実を意に介することなく、
モヒカンの黒人──ルンクスは、抱え上げた肢体を楽しんでいる。

「おまえら・・・・もうちょっと待ってろ」

荒い息の合間を縫って、唐突にルンクスが言葉を発した。

「あと少しで終わるんだ。
 でないと、オレもコイツも満足できねェ。
 『満足』は何より大事だからなァ・・・・!」


                 パン!         パン!

          パン!         パン!


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